社会

ABEMA TIMES

2026年7月23日 07:30

子どものために夏休みも「学校開放」文科省が要請 場所はあっても誰が担う?現場の教師からは悲鳴

子どものために夏休みも「学校開放」文科省が要請 場所はあっても誰が担う?現場の教師からは悲鳴
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 酷暑や家庭環境の多様化が進む中、長期休業期間中における子どもの安全な居場所確保が急務となっている。これを受け、文部科学省は、空調設備のある学校施設や公民館、図書館などの積極的な活用を各自治体に要請した。しかし、この方針をめぐっては、保護者側の切実な生活課題や、具体的な運営体制が示されないまま要請を受ける学校現場の困惑など、多様な課題が浮き彫りとなっている。夏休みにおける子どもの居場所確保や支援のあり方について、『ABEMA Prime』で議論が行われた。

【映像】学校の先生、夏休みは何してる?

■夏休みの学校開放 助かる家庭も

夏休みで不安なこと

 保護者の立場として出演したリサさんは、中学1年と小学5年の娘を育てるひとり親であり、週5日の夜勤を含む不定期なパート勤務で生計を立てている。間もなく迎える夏休みへの不安について次のように語った。

 「私が住んでいるところには、子どもの居場所があまりないので、あったらいいなと率直に思う。(夏休みは)私も仕事なので、子どもは家でお留守番。例年、給食がないので昼食の用意をしないといけないし、暑くて外にも行けない。エアコンの光熱費も高くて不安」。

 給食がなくなることで食費が増え、エアコン稼働による光熱費も増加する夏休みは、困窮する家庭にとって大きな負担となる。教育NPO「カタリバ」が2026年に実施した支援プログラム利用者250人を対象とした調査でも、この1年で家計が苦しくなったと答えた割合は82.0%、物価高騰を非常に負担に感じると答えた割合は84.3%に達している。

 こうした子どもの居場所として期待される「学童保育(放課後児童クラブ)」も、2026年の速報値で登録児童数が160万人を超える一方、待機児童数は1万4713人に達しており、すでに飽和状態にある。

 文科省が要請した学校開放について、公立小学校教員の松尾英明氏は「学校開放自体はいいと思う。学校という場所はインフラとして整っているし、冷房も使える」と一定の理解を示しつつも、組織の主体や運営体制が不透明な現状に強い懸念を示した。

 「問題は、場所ではなく運営、組織の主体だ。どこが運営して、どれぐらいの人員がいて、予算はどうなのか。子どもを預かることは簡単ではない。ただ子どもが集まる場所があればなんとかなる問題ではない。学童保育を見てもらうとわかると思うが、とてつもなく大変だ」。

 さらに松尾氏は、安易に人員を外部募集すれば解決するという意見に対し、子どもを預かる現場のリスクと専門性の必要性を訴えた。

 「お金と人さえつければいいという話でもない。子どもたちを預かるのは大変で、第一が安全。何かしら資格を有していたり、専門性を持った人が見ないと、子どもたちは集団になると予想しない行動をする。夏休みに預かるリスクは高くて、食中毒もあるし、けがもある。トラブルが本当にあちこちで起きる」。

 文科省の要請が、具体的な予算や人員配置の設計がないまま現場へ下りてくることについて、「最終的に『学校の創意工夫で』と言われるが、我々には余力が残っていない」と指摘。学校の本分である学力形成や人格形成の分野ですら、不登校やいじめ問題が積み重なり解決しきっていない現状を挙げ、厚生労働省やこども家庭庁が担うべき福祉の分野まで学校側が背負わされる「ビルドアンドビルド(増える一方の業務)」の構造に危機感を示した。

■厳しすぎる「世間の眼差し」と排除の空気

学校教育が崩壊する?

 学校や学童が限界を迎える中、民間のNPO法人などが子どもの居場所づくりを担うケースが増えている。しかし、NPO法人「カタリバ」代表の今村久美氏は、民間団体に対する世間の厳しい目が活動の障壁になっていると吐露した。

 「こども家庭庁の財源がNPOに行くと『どうなっているんだ』というように、民間団体に対する厳しい眼差しがあり、我々も活動しづらい。『公金チューチュー』などと言われるが、これが宇宙開発のスタートアップだったら、絶対に言われない。子ども政策において、非常に国民の眼差しが厳しいので、人も育たないし団体も育たない。そうすると、学校の先生がやるしかない、となっている」。

 今村氏は、居場所の不足が子どもの犯罪リスクに直結している現状も指摘する。少年院などに収容されている少年のデータをもとに、「悪いと思っているけれども、友達に誘われてライトに特殊詐欺に行く子たちがすごく多い。親だけでは子どもたちを見守れないのだとしたら、社会的に整備された第三者が居場所を安全に整備していくということは必須のインフラになっていく」と語った。

 これに対し、PTA活動に参加している元経産官僚の宇佐美典也氏は、地域行政の効率化によって学校周辺の職員や「緑のおばちゃん」などの人員が削減され、地域と学校の距離が開きすぎた構造的問題を指摘。「学校が見えなくなっているから、NPOはもっと見えない。もう一回、区や市といった行政が学校を使い、親を巻き込むという方向にお金を使わないと、みんな人任せになってしまう」と持論を展開した。

 一方で、外部からの新規参入の難しさについて、ハヤカワ五味氏は自身の体験を明かした。「子どもに普段関わってる界隈が、普段から厳しい目にさらされてるからこそ、外部から入ろうとする人にも、厳しい目を向けている。私もすごくやりづらいと感じた。子ども向けの勉強会をやりたいというだけで、『いや、こういうリスクが…』とか『子どもがいないのだからやるな』と言われて、『じゃあ、もういいです』となった。逆に私たちが参加しやすい場所や、関わる機会も欲しい」と述べ、過剰な安全管理や排除の空気が障壁になっていると語った。

 また、EXIT・兼近大樹は、子どもの心理に寄り添った居場所の多様性を主張した。

 「子どもたちは、グレーなところを好む性質がある。きれいなところに行けば行くほど、なんだか苦しい子たちもいっぱいいる。単に居場所が欲しいだけではなくて、ちょっと刺激のある居場所、楽しい場所を求めて来る。グレーに見せておいて、本当はちゃんとした大人が運営してるような場所があればいい。でも今は、グレーの場所を(本当に危険な)黒い人が運営してるから、子どもたちが割と染まりやすい」と述べ、大人が優しい目を持つ重要性を訴えた。

■善意頼みの限界、求められる国の仕組みづくり

若者が特殊詐欺に巻き込まれる

 パブリックテクノロジーズ取締役CTO・Tehu氏からは、「お金さえあればこの問題はきれいに回り出すものなのか、それともそれだけではどうしようもないポイントがあるのか」と問いかけると、松尾氏と今村氏は共に予算の必要性を強調した。松尾氏は「一番かかるのは人件費。お金があれば結構できるのにというところ」とし、今村氏も児童館の常勤スタッフが平均2人である現状を挙げ、「圧倒的にお金が必要」と応じた。

 議論を受け、EXIT・りんたろー。は「善意の第三者頼みになっている現状がある。国や自治体が動いて、しっかりそこにお金をつぎ込んでいかないと、やりがい頼みではない場所を作らないといけない」と、行政主導の財政出動を求めた。

 最後に兼近氏は「間に入ってくれてるのは、今のところNPO法人。今できることはNPO法人に全力を出していただく。我々としては、そこに対して優しい目を持つ。学校の先生方が頑張っていることに関しても優しい目を持つ、寄り添い型でやっていく。民間ができることは、今のところそれしかない」と語り、余裕のある民間が関われる連携の仕組み作りへの期待を示した。 (『ABEMA Prime』より)

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