社会

ABEMA TIMES

2026年7月25日 11:30

男性ホルモン「テストステロン」筋肉トレなど“目的外使用”日米でイメージの差もくっきり

男性ホルモン「テストステロン」筋肉トレなど“目的外使用”日米でイメージの差もくっきり
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 加齢に伴うテストステロン(男性ホルモン)の低下による男性更年期障害(LOH症候群)への関心が高まる一方、筋肉増強や美容を目的とした「目的外使用」や、安易な補充による副作用リスクも懸念されている。テストステロン補充によるメリデメ、さらには医療の目的外利用を巡る課題について、『ABEMA Prime』で議論が行われた。

【映像】加齢によって低下するテストステロン(グラフ)

■加齢で減少?男性の「テストステロン」の役割

男性更年期障害

 医療法人インテグレス代表で泌尿器科医の伊勢呂哲也氏は、テストステロンについて「男性ホルモンの代表的なもので、筋肉をつける役割だけでなく、記憶力、やる気、性欲にも深く関わっている。数値が低下している人は物忘れが多くなる傾向がある」と説明する。

 テストステロンは加齢とともに減少し、40〜50代以降に心身の不調を引き起こす男性更年期障害(LOH症候群)の原因となる。経済産業省の資料によると、日本国内における男性更年期症状による経済損失は年間約1.2兆円に上り、欠勤やパフォーマンス低下、離職などが社会的な課題となっている。

 LA在住でオクシデンタル・カレッジ准教授のジュリアス・フィンク氏はテストステロンのメリデメについて「筋肉を増やすだけでなく、骨を強くし、糖代謝も向上させる。低テストステロン状態が長期化すると、糖尿病や心血管疾患のリスクが高まる」とした。

 伊勢呂氏は過剰な補充療法に伴う副作用について「血液がドロドロになる多血症や脱毛のリスクがある。また、体外から投与を続けることで、体内でホルモンを作る機能や精巣の働きが低下し、不妊につながるリスクもある」と注意を促した。

 これに対しフィンク氏は、米国における投与方法(保険適用の注射のほか、錠剤、塗り薬、鼻スプレーなど)に触れつつ、「欠乏しているテストステロンを平均レベルに戻す程度の投与量であれば、脱毛などの副作用は出にくい。ただし、一度補充治療を始めると不妊のリスクが高まるため、リスクとベネフィット(利益)を十分考慮して判断すべきだ」と語った。

■「筋トレブーム」と「目的外使用」の波 マンジャロとの類似性と“スキニーファット”の懸念

テストステロン

 アメリカでは男らしさや筋肉質な体が社会的成功の象徴と見なされる文化的背景があり、テストステロンの処方件数も増加傾向にある。日本国内でも近年の筋トレブームに伴い、トレーニング効果を加速させる目的でテストステロン補充に関心を持つ層が増えつつある。これは、本来は糖尿病治療薬である「マンジャロ」がダイエット目的で自由診療などで利用されている状況と酷似している。

 フィンク氏は、肥満や糖尿病のリスクがある患者に対し、テストステロン補充を行わずにマンジャロ等のダイエット薬だけで減量させようとする近年の傾向に懸念を示した。「薬だけで体重を落とすと、アメリカで言われる『スキニーファット(見た目は痩せているが体脂肪率が高い状態)』になり、筋肉が落ちて不健康になりやすい。テストステロンを併用して代謝を高め、筋肉を維持することが重要だ」と主張した。

 美容クリニックでの勤務経験を持つギャルタレント・あおちゃんぺは「クリニックでマンジャロを使っていた女性たちは、まさにガリガリなのに体脂肪率が高いスキニーファット状態だった。タンパク質が不足して髪が抜けたり、肌が荒れたり、精神的に鬱になったりする人もいて非常に不健康だった」と実情を明かした。

 また、保育士・てぃ先生は「過去にベンチプレスで120キロを上げるほど筋トレをしていた時期、筋肉を増やしたくてステロイドやテストステロンについて調べたことがある。しかし、脱毛などのデメリットが大きすぎると知り、一般素人が安易に手を出すものではないと断念した」と自身の体験を振り返った。

 薬物に依存せず体内のテストステロン分泌を高める方法として、伊勢呂氏は「下半身を中心とした筋トレ」「ストレッチ」「休肝日を作る」「1日30分以上の有酸素運動」「タンパク質や亜鉛の摂取」「朝日を浴びて睡眠リズムを整える」といった日常の生活習慣改善を挙げた。

 フィンク氏は「50代以降で筋トレを始めても効果が出にくい場合、テストステロン低下が原因で『ハンドブレーキを引いたまま走っている』状態かもしれない。科学的に筋肉をつけるためにも、まずは血液検査で自身の数値を確認し、適切に対処した上でトレーニングに取り組むことが重要だ」と提言した。 (『ABEMA Prime』より)

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