社会

ABEMA TIMES

2026年7月25日 13:00

「動物病院は圧倒的な人手不足」現役獣医師が語る現状 新人も次々に離職…命に対する向き合い方に飼い主とギャップも 15歳未満の子どもより多いペット数

「動物病院は圧倒的な人手不足」現役獣医師が語る現状 新人も次々に離職…命に対する向き合い方に飼い主とギャップも 15歳未満の子どもより多いペット数
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 ペット産業は拡大する一方で、動物医療を支える現場には人手不足が広がっている。15歳未満の子どもの数が約1500万人であるのに対し、ペットは約1700万頭に上るとされ、ペット産業はここ2、30年で急成長を遂げた。しかしその陰で、動物医療を支える獣医師の数が深刻に不足している。獣医師の8割以上が「人手が足りない」と感じているという実態もある。人手不足が課題となる医療・獣医療の中でも、動物病院の現場はとりわけ厳しい状況に置かれている。『ABEMA Prime』では、獣医師不足の実態と打開策について考えた。

【映像】犬、猫から豚、クジャクまで!“動物園状態”の病院

■新人獣医師の不足、さらに離職も

徳田竜之介氏

 熊本県にある龍之介動物病院の院長、徳田竜之介氏は「動物病院は圧倒的な人手不足だ」と訴える。獣医師として毎年新たに輩出されるのは全国でわずか1000人。そのうち半数は大動物や公務員の分野に進むため、小動物を診る動物病院に来るのは500人にすぎない。一方、人間の医師は毎年約1万人が新たに誕生する。

 徳田氏の病院では獣医師はわずか2人、動物看護スタッフは21人体制で、朝7時から夜9時まで毎日診察を行っている。かつては24時間対応していたが、人手不足により断念せざるを得なかった。看護師は「動物の管理から飼い主さんのメンタルケア、清掃まで、何でもしなければいけない。人がいないから大変だ」と吐露する。

 さらに、この病院では事故に遭ったカラスや高速道路で保護されたクジャク、野生の猿など、行き場のない動物の保護活動も行っている。徳田氏は「助けてくださいと言われたら助けなければいけないが、それができないというのが本当に葛藤だ」と述べる。

 小学生のなりたい職業ランキングに入るほど人気の高い獣医師だが、離職率の高さが深刻な問題となっている。徳田氏は「入ってはくるけど辞める人が圧倒的に多い。自分が思い描いていた職業と違う。動物に噛まれるし、引っかかれるし、逃げるし危険」と説明する。

 精神的な負担も大きい。「動物の命を低く見ている人と、家族以上に大切にしている人とのバランスが非常に難しい」という。同じ手術で10万円と伝えると「10万円も掛かるんですか」と驚く人がいる一方、「1万円でいいんですか」という人もいる。人間の場合、健康保険が適用されるため患者の自己負担は3割だが、動物病院は自由診療のため全額が飼い主の負担となる。

 また、「足が折れているのに、犬だから死にはしないでしょ」と言い放つ飼い主もいると明かし、「治せばちゃんと歩くのにと思うが、そういう人もいる。動物病院や獣医師を目指した人たちが、人の命と動物の命のギャップにくじけてしまう」と語る。

■全国1700万頭 ペットはこのまま増え続けてもいい?

人手不足の動物病院

 こうした状況に対し、出演者からはさまざまな意見が上がった。2ちゃんねる創設者・ひろゆき氏は「職業は需要と供給で価格が決まる。動物病院が少なくなれば、ここしか助けられる場所がないから『500万払え』と言える。自由診療なのだから値上げすればいい。すごく高くして、従業員に分配すればいい」と市場原理による解決を主張する。

 保育士・てぃ先生は、ペットを3匹飼っている。ただ、「誰でもペットを飼える状況になっていることも考えものではないか。ペットショップでローンを組んで購入するような場合、その子が病気になった時に費用を払えるのかを基準として考えるべきではないか」と問題提起した。ギャルタレント・あおちゃんぺも「病院代100万円も織り込み済みで、それでも払えるから飼育したいという人だけが飼うべきだ」と同調した。

 ひろゆき氏はさらに、「ドイツでは犬を飼う場合、年間に100ユーロ程度の犬税を払う制度がある」と紹介。徳田氏もこれに応じ、「犬税などを取って国が守る仕組みがある国では、飼い主が税金を払っているから堂々と飼える。日本は国や行政が保護しないから、飼い主の思い込みに左右されてしまう」と述べた。

 人材確保に長年頭を悩ませてきた徳田氏が打ち出したのが、「採用より育成」という発想だ。約20年前から動物専門学校を設立し、現在は1学年60名、全体で160〜180名の学生が学んでいるという。「動物看護師はこうあるべきだ、動物の命はこういうものだということを教えて3年待てば、結構な即戦力になる。人を確保するよりも、そういう仕組みを作った方がいい。教育が一番重要だと思う」と力を込める。

 外国人雇用については慎重な姿勢を示す。「日本人の命に対する考え方は独特だ。キリスト教やヒンドゥー教など、外国人が持つ動物の命の価値観とは異なる部分がある。命の現場では外国人雇用は少し難しいと思っている」と説明した上で、「だから今も専門学校で私の考えを教えて、各動物病院に送り出している」と述べた。ペットへの需要が拡大し続ける中、次世代の担い手をどう育てるかが、獣医師不足を解消する鍵になるという。 (『ABEMA Prime』より)

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