25日も各地で厳しい暑さとなりました。国内で40℃以上の酷暑日が5日連続となるのは、統計史上初めてです。さらに関東では突然のゲリラ雷雨も。極端な天気に加え、長引く物価高にも翻弄された、隅田川花火大会。熱狂と混乱の一日を追いました。(サタデーステーション7月25日OA)
“約100万人”殺到 隅田川花火の裏側
「いよいよクライマックスとなりました。隅田川一帯に轟音が鳴り響いています。上空は黄金色ですね、輝かしい!圧巻です!」
日本で最も歴史のある花火大会、 「隅田川花火大会」。 ”国内最大級” のおよそ2万発が、下町の夜空に大輪の花を咲かせました。 毎年およそ100万人の観客が集まる一方で、今年初の試み、物価高への対応、そして極端な天気。 サタデーステーションは、この花火大会の舞台裏を総力取材。 2026年ならではの変化が色濃く映し出されていました。
なぜか早朝4時半からスーパーに行列
花火大会当日、取材を始めたのは、午前4時半。 意外な場所に人影がありました。
「スーパーの前に、すでに人が並んでいます」
「毎年この時間くらいに来ています」
開店の2時間以上前にもかかわらず 、入り口が開けられると…
「みなさん店の中で、また待機するようです」
午前9時ごろには、300人ほどの大行列に。 そして…
「列が動き出しました。 みなさん上にあがっていくようです」
向かった先は…屋上。実はこのスーパー、 10年ほど前から花火大会の日に、 観覧席として屋上を無料開放しています。
「去年はもうちょっと離れた所で見たんですけど、花火全く見られなくて、今回は見たいですね」
隅田川花火大会では、打ち上げ会場に近いエリアでの場所取りは、原則禁止となっていますが、 このスーパーの屋上であれば、一時的に離れてもOK。 人気の理由は他にもありました。
「お手洗いがきれいですぐに行ける。ご飯は下で買うつもりです。やきそばとか枝豆とか」
階段を下りれば、 そこは、これ以上ない買い出しスポット。 この日のための商品も、数多く用意されていました。
「多くのお客様が楽しんでいただければ、当店を利用して頂ければいいかなと思う」
花火客を襲う猛暑 5日連続の酷暑日は国内統計史上初
「打ち上げ4時間前ですけども、もう既に雷門周辺、多くの人がいます。少し立っているだけで汗が噴き出してきます」
25日、東京都心では、37.1℃と、今年一番の暑さに。 これで6日連続の猛暑日となりました。 最も暑かったのは、 岐阜県美濃市で、40.8℃を記録。全国6地点で40℃以上と、災害級の暑さとなり、国内の統計史上初めて、5日連続の酷暑日となりました。
こちらの人力車観光を提供している会社では、 今月から熱中症対策として、 利用客にハンディファン。 そして、24日から、冷やした甘酒の提供を始めました。
「どうしても信号で止まっているとき、なかなか風が通らないときに、これ(ファン)を使ってもらって涼しく」
「これがあるだけですごく快適」
「午後1時半ごろの会場周辺なんですが、かなり暑い中、すでにレジャーシートで、多くの人が場所とりしています」
打ち上げ場所から、1.5kmほど離れた、荒川区の隅田川沿い。
「むこう(会場周辺)はめっちゃ混んでいるからここにきて、暑いんだけど…。(水が)なくなったばかりです…」
暑さ対策で持ってきた水も底を尽きたため、 これから買いに行くといいます。 サーモカメラで見てみると…
「木陰の下は40℃となっていますが、 地面は60℃超えとなっています」
先ほどのスーパーの屋上もコンクリートです。 下のスーパーで、熱中症対策のためにアイスを買った人たちは…
「マジで暑いです、ずっと座っていたら。やばいっす、サウナみたい」
夕方に差し掛かっても、厳しい暑さは続き、場所取りをしたシートの上は40℃を超え…
「屋上のコンクリートは50℃近くなっています」
「アイス溶けちゃいましたすごい…。買ったばっかり、10分前」
都内では、午後3時までに、「80人」が熱中症の疑いで搬送されました。 このうち6人が重症で、1人が重篤です。さらに気がかりなのが、空模様です。 午後5時すぎ、 東京都町田市では雷が鳴り響き、ゲリラ雷雨が。 横浜市では強烈な雨が。地面から水が 何度も噴き出していました。
花火大会開始3時間前 会場周辺は厳重な警備体制に
25日午後4時、花火大会開始まで3時間となり 警察官の数が一気に増えました。
「このあたり一帯、ものすごい数の警察官が動員されています。いま警戒活動に当たっていますね。物々しい雰囲気です」
「信号は赤なんですが、歩行者の方が多すぎて渡り切れません」
歩行者の横断を待っていた車からは、クラクションが鳴らされる場面も。25日午後6時、交差点を塞ぐように警察車両が横付けされ交通規制が始まりました。第一会場近くの交差点では、まるで「人の波」が一斉に流れていきます。 この人混みに“困惑”している人がいました。
「ただホテルにいきたい。たまたまここを通っちゃって」
「(Q.きょう花火大会があること知っていた?)知りませんでした」
数秒で道路が埋まる 壮絶「場所取り合戦」
ちょうどその頃、別の場所では…
「警察の合図を今か今かと、 今にも走り出しそうな勢いで準備をしていますね」
交通規制の後に待っているのが、毎年恒例となっている「場所取り合戦」です。 沿道には、ズラリとブルーシートを持ち、 スタンバイしている人たちの列が…。
「ちょっともう待ちきれずに出てきてしまっている方もいますね。ご自身も早く座りたいという事もあるんでしょうか、警察の方、警備員の方の手伝いをしている方もいますね」
警察の合図が出てから、 歩行者天国となった道路で場所取りができるようになりますが…
「ちょっといま出てきてしまいましたね。警備の方々に注意されてます」
「みなさんのこっちに来たいという気持ちは分かるんですけど、もうちょっと待ってください」
そして、「その時」は突然、訪れました。
「いま皆さん一斉に場所取り合戦です。ものすごい勢いです。走っている方もいます。手前からずーっと奥の方までこの2車線道路、レジャーシートが敷き詰められてます」
ものの数秒で歩行者天国となった道路は見物客で埋め尽くされました。
「場所取りが、まず目的。だから戦い終えたみたいな」
物価高でも1人3万8000円のBBQが大盛況
打ち上げ開始時間が近づくにつれ、“特等席”も賑わってきました。 1人あたり3万8000円という、バーベキューが大盛況。 この会場は、 東武鉄道浅草駅が直結しているビルの屋上。 2カ所の打ち上げ場所の中間に位置する、“特等席”です。一方で…
「こちらお肉とかフランクフルトになります。昨年より1割くらい増しで高くなっています」
「原油価格高騰の影響により、各消耗品が不足しております。必要な分だけお取りください、という貼り紙を貼らせてもらった」
食べ放題の和牛肉などが、約1割値上がりしていて、使い捨て容器も、イラン情勢の影響から2倍ほどの価格に。去年から5000円の値上げとなりましたが、 それでも約400人の予約枠が満席に。
「今月誕生日なので花火を一緒に見ようって。 貯めてたお金を使って楽しんでいる」
「高いけど、思い出にはかえられない。子供が大きくなった時に、あの時見た花火がまた見たいって話せればと」
1人350円で“特等席”確保する集団も
一方、一人あたりわずか350円ほどで、“特等席”を確保した人たちもいました。学生時代の同級生の6人組は、レンタルスペースのサービスを使って、ビルの屋上を2時間半だけ貸切に。その費用はわずか2000円ほど。1か月前から予約していたといいます。
「混雑していなくて楽しい仲間でワイワイできるのは楽しみ」
今年は警備態勢・外国人対策強化
「雷門の前です。浅草にはきょうも多くの外国人観光客が訪れています」
隅田川花火大会は、他の花火大会と比べても外国人観光客が多いといいます。メキシコからやってきたアナさん夫婦。日本の夏は初めてだといいます。
「花火はとても楽しみにしています。昔は多くの人が浴衣を着ていたと聞いたので、その文化を体感したいと思っています」
「とても美しいです」
浴衣を着て、 花火の時間まで周辺を観光するといいますが…
「メキシコも暑く、地域によっては50度行くときもありますが、日本は湿度が高いですね」
外国人観光客が多いことから、警視庁は主催者に対し、多言語での広報や、矢印、ピクトグラムを使った案内板の設置を要請しています。
「英語表記はすこし足りない気がします。例えば、地図などがあればかなり役立つと思います」
アナさんが浴衣をレンタルしたのは、浅草にある店。ここにも値上げの波が…
「仕入れの価格は少し上がっていますね。 2割、3割ぐらいは上がっているかな」
ほぼ全ての商品の仕入れ値が、この数年で、3割ほど値上がりしたといいます。 こうした状況を受け、今年は花火大会当日に限り、実質的な値上げに踏み切りました。 去年までは浴衣の返却時間を午後9時半までにしていましたが、今年は午後5時半をすぎたら延長料金を取る形に。
「(今後は)多少レンタル料に上乗せしないといけないのかなという考えもありますね」
“異常気象”と物価高で変わる「夏の風物詩」
さらに、花火大会の主役、「花火玉」自体も値上がりしていて、大会運営費圧迫の一因になっていると言います。
「業界全体で値上げになっています。隅田川(花火大会)に出ている2つの会社は製造業者なんですけど、(花火の)値上げは当然していますし」
静岡県で3代続く花火の製造会社。
「やっぱり原材料費ですね。打ち上げ火薬も当然上がっています」
他にも、花火の色を決める金属粉の仕入れ値が2倍になるなど、ほぼ全ての材料費が高騰。そのため、およそ6000円だった4号玉を、1万円に値上げするなどして対応しています。
「むやみやたらに原価が高いものを作っても利益につながらない。(作るのを)やめてしまった製品もある」
そして、ついにその時が訪れました。
「今打ちあがりました。一気に緑色の花火です。隅田川の夜空を鮮やかな花火が彩っています」
隅田川花火大会は、約300年前の江戸時代、八代将軍・徳川吉宗が始めた「両国の川開き」の花火が起源とされる、日本最古の花火大会です。大会の運営費は、警備員の人件費高騰や物価高の影響により、去年から3000万円増え、約3億8000万円に。一方で有料席を増やし、最低価格を1000円値上げしました。他の花火大会でも、予算を圧迫する状況が続いていることから、開催維持のために有料に踏み切るケースが多くみられるといいます。 会場周辺では花火が上がっても身動きが取れなくなるほどの大混雑。花火が見えない人たちもいました。
「場所を間違えました。(花火が)向こうの辺りに出てたら見えたが、全然見えなかった」
花火大会に“便乗”新たな試みも
日本最古の遊園地「浅草花やしき」では、今年から隅田川花火大会に“便乗した”初の試みを始めました。
「花火絶対見たいので頑張ります」
アトラクションに乗りながら、1キロ以上離れた場所で打ち上げられている花火を見ようと試みる人たち。ところが…
「必死になってて見えなかった」
「浅草花やしき」は、例年、隅田川花火大会の開催日は午後6時で閉園していましたが、今年は午後9時まで営業することに。 屋上エリアも今年、リニューアルオープン。隅田川花火大会の“穴場スポット”として、定着を図ります。
「今年の様子次第ではあるんですけども、 せっかくなら『花やしき』、夏もいろんな楽しみ方があるぞと皆さんに知っていただけたらなと」
帰宅ラッシュ時に雷雨も
そして、午後8時半ごろ、花火大会が終了。その時間と前後して稲光が見え、雨も降ってきました。主催者は午後9時ごろ、この日の観客数を約92万人と発表しました。
「銀座線浅草駅前は大勢の方で混雑しています。花火大会を見終わった大勢の方が駅へと向かっていきます」
例年、花火大会が終わると大混雑となる、東武鉄道・浅草駅の周辺。 警視庁は今年から、少し離れた駅まで迂回するよう、呼びかけることにしました。 都心の気温も下がりきっておらず、引き続き、熱中症への警戒が必要な状況が続いています。
5日連続の酷暑日 国内統計史上初
「砂漠みたいな暑さ。めっちゃ暑くて日陰とか日傘がいる」
三重県桑名市でも、25日は花火大会。会場では、最高気温40.6℃の中、屋台などの準備が行われていました。これで国内の統計史上初となる、「5日連続の酷暑日」を記録しました。 25日に最も暑かったのは、岐阜県美濃市で最高気温40.8℃。25日は東海地方を中心に危険な暑さに見舞われ、40℃以上の酷暑日は6地点で観測されました。