社会

ABEMA TIMES

2026年7月26日 11:30

食欲が減退する「マンジャロ」+筋肉増強の男性ホルモン「テストステロン」ボディビルダーによる“究極のドーピング”リスク…泌尿器科医「安全というデータがない」

食欲が減退する「マンジャロ」+筋肉増強の男性ホルモン「テストステロン」ボディビルダーによる“究極のドーピング”リスク…泌尿器科医「安全というデータがない」
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 アメリカ国防総省が30歳以上の兵士に対してテストステロン(男性ホルモン)値の定期検査を義務付ける方針を発表するなど、男性ホルモンの役割や補充療法に大きな注目が集まっている。こうした中、本来は疾病の治療に使われる医療用医薬品を、筋肉増強や肥満解消といった「見た目」や「運動パフォーマンス向上」の手段として利用する動きが広がっている。特に海外や一部のボディビルダー間では、筋肉量を保ちつつ減量するためにテストステロンと糖尿病治療薬を「併用」する手法まで登場しており、医療の目的外使用や薬剤依存に対する懸念の声が上がっている。薬物に頼った肉体改造の妥当性とそれに潜むリスクについて、『ABEMA Prime』で考えた。

【映像】加齢によって低下するテストステロン(グラフ)

■筋肉増強と減量を薬で両立?ボディビルダー間で広がる「テストステロンとマンジャロ」併用の現実

目的外使用

 テストステロンは主に男性の精巣で作られる男性ホルモンの一種であり、筋肉や骨の形成、認知機能、性機能など全身の健康維持に関わっている。加齢やストレスで低下すると、抑うつや筋力低下などを引き起こす「男性更年期障害(LOH症候群)」の原因となるため、医療現場ではホルモン補充療法が行われている。一方で、糖尿病治療薬である「マンジャロ」などは、強い食欲抑制効果を持つことから自由診療でのダイエット目的の利用が急増している。

 本来は全く異なる疾患の治療薬であるこの2つが、特定の目的のために同時に使用されるケースがあるという。オクシデンタル・カレッジ准教授のジュリアス・フィンク氏は、ボディビルダー間における薬剤活用の実態について次のように解説した。

 「テストステロンと、マンジャロやオゼンピックといった糖尿病治療薬の併用は、ボディビルダーの間でよく見られる。食欲を抑えるためにマンジャロなどを使い減量を行うが、これ単体でダイエットをすると、アメリカで言う『スキニーファット(見た目は痩せているが体脂肪率が高い状態)』になってしまい、筋肉がつきにくく不健康な外見になりやすい。そこで、代謝を上げて筋肉を維持・増強するためにテストステロンを併用する手法がとられている」。

■薬物使用のデメリット「補い続けると本来の機能が低下する」恐れも

米国で流行

 これに対し、2ちゃんねる創設者・ひろゆき氏は「痩せたいのであれば、マンジャロで食欲を減らすよりも、テストステロンを補ってから筋トレをして筋肉をつけ、基礎代謝を上げた方が健康的な体型になるのではないか。マンジャロで痩せても、やめれば食欲は元通りになり、タンパク質摂取量の低下で筋肉や基礎代謝まで落ちてしまうため、リバウンドや副作用のリスクが高いのではないか」と疑問を投げかけた。

 医療法人インテグレス代表で泌尿器科医の伊勢呂哲也氏は自身が減量薬を使用した経験にも触れつつ、「食欲を減らすことが最も容易な痩せ方になるため頼る人が多いが、テストステロンとマンジャロの併用について安全性を裏付ける明確なデータや推奨される使用法は存在しない」と釘を刺した。

 安易な目的外利用や薬物投与には身体的リスクが伴う。美容クリニックでの勤務経験を持つギャルタレント・あおちゃんぺは、実際に現場で目撃した「マンジャロダイエット」の実態を明かした。

 「美容クリニックで働いていた際、マンジャロの取り扱いがあった。女の子たちは、みんなスキニーファット。ガリガリなのに体脂肪率が高い。だからすごく不健康で鬱になったり、毛が抜けてしまう子も多かった。タンパク質をとっていないから、髪が抜ける。それに肌もガサガサだった」。

 また、過剰なテストステロンの摂取や投与に関しても、深刻な健康被害が指摘されている。伊勢呂氏は、治療目的を超えた投与が引き起こす副作用について次のように警鐘を鳴らした。

 「男性ホルモンを体外から過剰に投与すると、血液が濃くなってドロドロになる『多血症』を引き起こす危険がある。さらに深刻なのは、外からホルモンを補い続けることで、体内本来の分泌機能や精巣の働きが低下し、最終的に不妊につながったり、薬を投与し続けなければならない状態に陥ったりすることだ」。

 安易な薬物使用に頼らず、体内のテストステロン分泌を自然に高める方法として、伊勢呂氏は日常の生活習慣の改善を強く推奨している。「下半身を中心とした筋トレ」「ストレッチ」「アルコールを控える休肝日の設定」「毎日30分以上の有酸素運動や散歩」「タンパク質や亜鉛の積極的な摂取」「朝日を浴びて睡眠リズムを整える」といった基本的なアプローチを実行することで、安全にホルモンバランスを改善できると説明した。

 また、フィンク氏は「50代以降などで筋トレの効果が出にくい場合、低テストステロン状態によってハンドブレーキを引いたまま走っているような状態になっている可能性がある。まずは医療機関で正確な血液検査を受け、自らの身体の状態を科学的に把握した上でトレーニングに取り組むことが重要だ」と提言した。 (『ABEMA Prime』より)

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