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2026年7月28日 16:00

“ロマンス詐欺” 法学者まさかの被害「賢いと過信」“孤独と不安”つけ込む巧妙手口

“ロマンス詐欺” 法学者まさかの被害「賢いと過信」“孤独と不安”つけ込む巧妙手口
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恋愛感情を抱かせて金銭などをだまし取る“ロマンス詐欺”の被害が拡大しています。

法律の専門家である国立大学の名誉教授が900万円もの被害に遭いました。
ロマンス詐欺の手口、そしてどうしてだまされてしまったのか、ご本人に語っていただきます。

■急増“ロマンス詐欺”71歳法学者も925万円被害に

実際にロマンス詐欺被害を経験された高倉良一さん(71歳)の経歴をご紹介します。

▼香川大学の名誉教授で、法学者です。
約45年教壇に立ち、学生に法律を説いてきました。
▼法に関する論文を50本以上執筆されています。

高倉さんは2024年、ロマンス詐欺の被害に遭いました。
▼“愛子”を名乗る女性に5カ月間で925万円をだまし取られました
マンションも売却
▼現在、約580万円の借金が残っており、返済を続けているということです。

高倉さんは、詐欺被害に遭う以前、
「大学の講義では、物事を疑い、本質を見抜くよう学生に教えてきた。そんな自分がありふれた手口に引っかかるはずがないという“根拠のない自信”があった」といいます。

ロマンス詐欺の被害は過去最悪となっています。

ロマンス詐欺は、SNSなど、非対面での連絡手段を用いて被害者と複数回やり取りすることで、恋愛感情や親近感を抱かせ、金銭などをだまし取る手口です。

2023年の認知件数は1575件、被害総額は約177億円でしたが、2025年には認知件数は5645件、被害総額は約546億円とそれぞれ3倍以上と大幅に増えています。
また、2025年の1件当たりの被害額は約970万円となっています。

年代別では、40代から60代の被害が全体の75.6%を占めています。

高倉さんは詐欺の被害に遭った背景が2つあったと考えています。

1つ目は『孤独』です。
▼高倉さんは50代で離婚を経験し、以降、独り身です。
▼また、2020年に65歳で定年退職。
社会とのつながりを失い、気づかないうちに孤独が広がっていたということです。

2つ目は『将来のお金の不安』です。
退職金は減る一方で、毎朝、通帳の残高を確認するたびに不安があったということです。

高倉さんは、テレビの取材や、講演会などで自身の詐欺被害の経験を伝えています。

その理由について、
「詐欺被害は、みっともなく、恥ずかしい経験なので口を閉ざしがちだが、黙ってしまうと詐欺師の思うつぼ。私一人の不幸で終わらせず、次の被害を防ぐことにつなげられたら、この経験には社会的な意味がある」と考えて、活動をされています。
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■詐欺師“愛子”の巧妙手口“兄さん”関係縮め…投資勧誘へ

高倉さんを騙したロマンス詐欺の手口です。

きっかけはSNSの投稿でした。
2020年の5月、高倉さんは定年退職する際の片付けの様子をSNSに投稿しました。
その4年後、見知らぬ女性から『片付けに興味がある』というダイレクトメッセージが届きます。

メッセージを送ってきた女性は山本愛子と名乗る37歳の女性で、名古屋生まれ。
日本人の父と中国人の母と一緒に6歳の時に中国に渡り、現在は深センでアパレル会社を経営。
日本に帰るために準備中だと話していたということです。

高倉さんが心を開いてしまったきっかけです。

愛子と名乗る女性とのやり取りの中で、
『私は大切な縁の人なので私たちの今回の出会いも大切にしています。高倉さんは縁を信じていますか?』と送られてきます。
高倉さんは、
『もちろん信じています』と返しました。
高倉さんです。
「この言葉で信用する最初のハードルが下がった。自分の話を称賛してくれて特別な人間だと言ってくれた

高倉さんには同情を誘うようなメッセージも届きました。

送られてきたLINEには、
母は私が8歳の時に亡くなりました
『私の父は体があまりよくないので私は看護を探して父の世話をしました
『私は寝室に直接飛び込んだが、彼氏はなんと女性を抱いて私のベッドに横たわっていた』など、両親のことや恋人に裏切られた話など、同情を誘うようなメッセージが送られてきたということです。

そして愛子から関係を縮めるような言葉が出てきます。

最初の接触から10日たった5月12日、
『高倉さんからは今までにない親切を感じています。高倉さんは愛子の兄さんになってもいいですか?』とメッセージが届きます。
この時、高倉さんは、
『お兄さんですか?ありがたい限りです。願わくばお兄さん以上の存在になりたいものです』と返し、以降、高倉さんは愛子から“兄さん”と呼ばれるようになります。
高倉さんです。
兄さんと呼ばれ、『頼られたい』『守ってあげたい』という感情が沸き上がった。さらに返信には小説の引用なども入れてきて、知性もある尊敬できる女性で同志だと思った。この時はもう何を言われても信じるようになっていた

愛子とのやりとりを続ける中で、投資の誘いが出てきます。

投資の誘いがある前、やり取り開始直後から伯父の指導のもと投資で利益が出ていることを頻繁に持ち出していたと言います。

そして、最初の接触から11日後の5月13日、愛子から、
『愛子はおじさんに兄さんと一緒に国際金市場の勉強を指導してもらうようお願いしました。兄さんは愛子と一緒に未知の分野に挑戦したいですか?』と投資の誘いが来て、高倉さんはその誘いに乗ってしまいます。

なぜ、高倉さんは誘いに乗ってしまったのでしょうか。

きっかけは愛子の伯父です。
この伯父は有名な経済学者で、シンクタンクのチーフエコノミストなどを歴任。
多くの書籍を出版しているというふれこみで、このようなプロフィールと共にネット上で拾ったと思われる経済学者の写真が一緒に送られてきました。

高倉さんは、
これが詐欺の核心だったと思う。私のような経歴や肩書に弱い人間にはこれ以上に無い手だった」と振り返っています。

最初に偽アプリをダウンロードしてしまいます。

投資の誘いを快諾した高倉さんに、愛子から投資用のアプリをダウンロードするよう指示があり、高倉さんは言われるがままスマホにダウンロードしてしまいます。
このアプリは現在検索しても表示されません

ここから詐取が始まります。

接触から18日後の5月20日、高倉さんは最初に投資の資金として5万円を振込みます。  
最初の振込から3日後の5月23日には、伯父から資金を増額するよう指示があり、高倉さんはカードローンで80万円を借り入れして振り込みます。
さらにその3日後の5月26日には、銀行から借り入れして資金を600万円まで増やすよう、伯父から指示がありました。

詐欺師側が指示した投資の流れです。

まず、愛子から高倉さんに送金の指示が入ります。
高倉さんは愛子から指定された口座に現金を振り込みます。
この現金を愛子が高倉さんが取得した投資用口座に振り込み、高倉さんはアプリ上で確認するという流れです。

高倉さんです。
投資用アプリに自分の利益が表示され、成果が上がっていることを実感できた。成果が上がることでさらに信用し、資金を送ってしまった」

そんな中、不安をあおる出来事が起きます。

6月19日、投資用の口座が凍結されるという通知が鳴り、この凍結を解除するために検証金約500万円を納付するよう指示が届きます。
この事を愛子に相談すると、同情する姿勢を見せつつも、消費者金融のリストが送られてきたほか、マンションの売却も提案されたということです。

不安の中、希望の手が差し伸べられます。

高倉さんはイエメン在住の医師とSNSを通じて知り合いになります
この医師に融資を申し入れ、協力を取り付けることに成功します。
しかし、この日本人医師は情勢悪化を理由に融資を断り、逆に高倉さんに援助を求めてきました

そして、高倉さんはついに詐欺だったと気づきます。

日本人医師に疑問を抱いた高倉さんはインターネットで『イエメン在住 日本人医師 詐欺』で検索をかけます。
すると、同じ手口が見つかり、詐欺だったことが発覚します。

疑惑の目は愛子にも向けられます。
最後の振り込み以降、愛子からの連絡が途絶えていました。
日本人医師が詐欺だったこともあり、愛子について再び検索をかけます。
すると同じ手口が次々に見つかり、9月末ごろに愛子も詐欺だったことが発覚しました。

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■周囲からの忠告も なぜ立ち止まれず?“愛子”の巧妙な罠

高倉さんが愛子とやり取りを続けている間、周囲からは、忠告の声もありました。

高倉さんが友人に借金の相談をしていた時、から電話があり、
「兄貴の友達から電話があった。 友達にまで借金を申し込んでいるのかと愕然とした。すぐに警察と法テラスに相談してくれ」と言われました。

高倉さんはこの弟とのやり取りを、信頼していた愛子に相談しました。

すると愛子からは、
弟は無視してください。 兄さんを助けてくれない以上、相手にする必要はありません』と返信が届きます。

信頼していた愛子に言われたことで、弟の忠告は高倉さんの中で『悪い行為』という認識となり、高倉さんの人間関係が1つ絶たれました

また、大金を振り込んだ時には銀行の窓口の女性から、
詐欺ではありませんか?」と念押しをされました。

それでも愛子への信頼は揺るがず、高倉さんはそのまま振り込みを続けてしまいました。

高倉さんが愛子を信じてしまった背景には、2つの仕掛けがあったということです。

1つ目は『言葉の仕掛け』です。

愛子は、『伯父に勉強を教わるのは2人だけの秘密』と貴重さを強調することで、高倉さんの心を揺さぶり、『有名な経済学者の叔父』という権威を出すことで警戒心を封じました。
さらに『尊敬しています』などと褒めて、愛子からの好意のお返しをしたいと思わせ、『5万円でいい』と最初に少額を提示することで安心感を与えました。

2つ目は『心理的な仕掛け』です。
まず『兄さん』、『特別な人』などと特別扱いをすることで、心理的に依存させます
さらに高倉さんが周囲に相談をしようとすると、不信感をあおるような発言をして、人間関係を孤立させました
投資を始めると、『もうすぐ売れる』、『少し遅れている』と、希望と不安を繰り返すことで判断力を奪う
また、費やすお金や時間を増やすことで、引き返す選択肢を見えなくさせました

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■ロマンス詐欺 どう防ぐ?気を付けるポイント

ロマンス詐欺に遭わないために、気を付けるポイントです。

現在は翻訳アプリや生成AIで他人に成りすますことは容易です。
そのため、会ったことがない人から投資結婚費用などを理由に金銭を要求されたら要注意です。
特に、『2人の将来のため』などと投資に勧誘する手口が7割以上を占めています。

ロマンス詐欺かもしれないと不安になった時は、警察相談専用窓口『#9110』や、消費者ホットライン『188』に連絡して、相談をしてみてください。

ロマンス詐欺について高倉さんです。
「『私はだまされない』と思わず、 人間だから判断を誤ることはあると心に留めておいてほしい。 その気付きこそ、 詐欺から自身と大切な人を守る第一歩になる」

(「羽鳥慎一モーニングショー」2026年7月28日放送分より)

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