社会

ABEMA TIMES

2026年8月1日 09:30

「どうせ言っても無駄」と心が折れた…父ギャンブル依存・母統合失調症で育った30代女性が語る“体験格差”の実態「親に愛されなかったのも一つの体験」

「どうせ言っても無駄」と心が折れた…父ギャンブル依存・母統合失調症で育った30代女性が語る“体験格差”の実態「親に愛されなかったのも一つの体験」
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 夏休みが始まり、新幹線のホームには多くの家族連れが並ぶ。長期間の休みは子どもたちがさまざまな場所に行き、さまざまな体験をする機会になる一方、保護者や家庭の経済状況により体験に差が生じる「体験格差」が問題となっている。

【映像】「下着や生理など1人で悩んだ」父ギャンブル依存・母統合失調症で育った30代女性の“思春期”

 先日開かれた党首討論でもこのテーマが取り上げられ、子どもの貧困対策や体験格差を埋めるための予算措置を求める声と、経済成長なくして支援は実現できないとする声が交わされた。

 『ABEMA Prime』では、体験格差の実態と解消に向けた方策について考えた。

■「どうせ言っても無駄」親の無関心が生む子どもの絶望感

 父親がギャンブル依存症、母親が統合失調症という家庭環境に育ち、親戚の家で生活してきたというたまさん(30代・女性)は、体験格差の具体的なエピソードについて、「夏休みの自由研究で親が手伝ってくれないので一人でやらなきゃいけない。いざ展示されてみると、他のお友達よりも明らかにクオリティが低くて惨めで恥ずかしかった」。習い事についても、「やっぱり親に意欲がないとなかなか難しいし、そういった関心や成長を楽しみにしている様子も、親の中で感じられなかった」と語る。

 その結果、「お願いするたびに断られている状況だったので、だんだん心も折れて、どうせ言っても無駄だなという状況になっていった」。夏休みの過ごし方を問われると、「家にいました。ずっと本を読んだり、図書館が好きだったので、図書館は自分で行けるし無料なので、そういった過ごし方をしていた」と振り返った。

 貧困家庭で育った経験を持ち、格差問題を取材するライターのヒオカさんは、長期休みの孤立について「そもそも涼しい家にいること自体が難しい子もたくさんいる。エアコンを我慢していたり、ご飯が十分に食べられていなかったり、周りはみんな塾や旅行へ行く中で友達がみんな出払っていて孤立ということも起こりやすい。『家で涼しければそれでいいじゃん』という意見もあるが、孤独だったり思い出がないのは、良い悪い以前に単純に寂しい。共有するものがないのはすごく悲しい」と述べた。

■「全体が地盤沈下している」体験機会の構造的な消滅

 体験格差の解消に取り組んできたリディラバ代表の安部敏樹氏は、この問題について、「体験を通じてしか得られないコミュニケーション能力、自立心、主体性、協調性といった能力が非常に重要であることがわかってきている」とした上で、現状については「基本的にはどんどん地盤沈下していって、一部の人だけがお金や時間を投入して維持しようとしているが、全体として地域活動がなくなっていき、公的機関が撤退している。学校の体験機会も減り、部活動もなくしたし、行事も減っている。公民館や青少年向けの自然体験施設もどんどん撤退傾向にある」。

 さらに背景として、「アベノミクスで高齢者と女性の労働参加が800万人から900万人規模で増えた結果、女性と高齢者が地域から抜けていって、地域活動をみんなやらなくなった。子どもたちに関わる大人の数が減り、体験を提供する人が減り、全体が沈下している」と説明する。

 また、体験をさせてもらえなかった子が次世代の親になった場合、「体験を次の世代にしなくなるというデータが出ていて、そうすると能力が下がり、国家全体でいうと国力がどんどん落ちていくサイクルに入っている。皆さんが将来高齢者になったとき、次世代の人たちが稼いで税収をもたらし、介護の費用を出してくれるかという問題に直結する」と語った。

 ヒオカさんは「無料でも交通費がかかる。田舎だと20〜30キロ山を越えないと図書館がなかったりして、親が送ってくれないと子どもがたどり着けない。それぐらいすればいいじゃんと言われているものが普通ではなく、叶えるコストもハードルも全然見えている景色が違う」との見方を示した。

■「親に愛されなかったのも一つの体験」

 安部氏は体験の定義について、「地域のおじいちゃんが『今日はどうしたんだ』と一言声をかけるといったことも含めて体験だ」といい、「いずれにしても安心安全を子どもにまず提供することが必要。その後自分が熱中して社会とつながり自立していくプロセスにおいて、社会とのつながりを得ることが体験の中でかなり提供されていることがわかってきている」と説明する。

 たまさんが「親に愛されなかったのも一つの体験だと受け止めて、それを糧にどう生きていくかと思っている」と語ると、安部氏は「逆境体験があって、その後ポジティブな体験を重ねていくと、逆境体験をむしろ前向きにできるという研究がある。状況が悪い体験があったからといってそれで終わりというより、その後ポジティブな体験を積み重ねることでその人の重要な資産になっていくというデータが出てきている」と補足した。

 たまさんは最後に、「体験格差はどうやっても生まれてしまうものだと思うが、その差を埋めるのは周りの大人が重要。何をしたいか聞いてくれる人、やってみようと言ってくれる人、成長を楽しみにしてくれる人、そういう大人とのつながりだと思っている」と語った。

 ヒオカさんは「親が何とかしてあげようと思っている時点で一定の基準に達してしまう。そうでない家庭に生まれた子どもに、その親のもとに生まれた責任はないので、そこをどうにかしてあげてほしい」と述べた。

(『ABEMA Prime』より)

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