将棋の早指し団体戦「JEMTCスペシャルABEMA地域トーナメント2026」予選Bリーグ2位決定戦、東武鉄道 北関東ブリッツァーズ 対 サウスゴッツ大阪が8月1日に放送された。勝てば本戦進出、負ければチーム解散となるヒリヒリする戦いが続く中、北関東の3勝、大阪の1勝で迎えた第5局は“絶対王者”と現役最年少棋士が激突。藤井聡太竜王・名人(王位、棋聖、棋王、王将、24)が「全宇宙」最強の証明とも言える貫禄勝ちを見せつけた。
両者は今回が待望の初手合い。対局前、藤井竜王・名人が「(山下四段の)情報がなくて困っています」と苦笑いを浮かべれば、注目の新ルール「先手番入札制度」でも両者の思惑が激しく交錯した。藤井竜王・名人は「(先手を)取りに行くという気持ちで。強く」と1分16秒という強気の入札を行う。
一方、現役最年少棋士である大阪の山下数毅四段(18)は持ち時間を重視し「後手で頑張ります」とまさかの0秒を決断。これには藤井竜王・名人も「なるほど。意表を突かれました」と驚きの表情を見せたが、山下四段には「(藤井竜王・名人は)角換わりを志向される可能性が高いと思うので、受けて立ちたっていたい」という若武者らしい真っ向勝負の狙いがあった。

山下四段の予想通り、注目の対局は角換わりの出だしとなった。この強気な姿勢に対し、解説を務めた門倉啓太六段(39)は「“藤井竜王・名人の角換わり”というのは、恐ろしすぎて避ける傾向にあるが、堂々と受けて立つ。山下さんの大物感が見られた」と驚きを隠せない様子で称賛を送った。しかし、盤上が進むにつれて“絶対王者”が徐々に牙を剥く。序盤の作戦勝ちから藤井竜王・名人が早々にペースを掌握すると、一切の隙を与えずに一気に相手玉へとにじり寄っていく厳しい展開となった。
終盤戦、藤井竜王・名人は三枚の桂馬を使って後手玉を完璧に包囲し、受けのきかない絶望的な状況へと追い込んだ。その辛すぎる指し回しに、実況解説の伊藤真吾六段(44)が「将棋界で一番詰ますの得意ですからね」と唸ると、門倉六段は「将棋界というか、人類(笑)」と驚嘆。さらに伊藤六段が「全世界で、全宇宙で(笑)」と被せるなど、放送席も大興奮の展開となった。

そのまま109手で完璧な勝利を収め、気鋭の最年少棋士に対して貫禄勝ちを見せつけた姿に、視聴者からも「隙なし完封」「まじで無理ゲーすぎる」「えげつなさすぎ」「激辛口流」「全宇宙で」「心を折る完勝」「力に差があるなあ」「味方も引いてるやろ」「後手がついていくのが大変すぎる」「これ見せられたら先手は渡せないな」と感嘆のコメントが相次いだ。
激戦を終え、敗北を喫した山下四段は「序盤からあまり策もなくと言いますか。あまり独自性も出せないまま悪くなって、押し切られてしまった。悔いが残る一局ですね」と肩を落としつつも、「今後もっとより良い内容の将棋を指せるように努力していきたいと思います」と真っ直ぐに前を向いた。
一方、圧巻の指し回しを見せた藤井竜王・名人は「こちらが先手番になったので積極的に勢いよく指そうかなと思っていて、ちょっと勢いが良すぎたところもあったかなとは思うんですけど、結果的にそれが幸いして、なんとか有利に持っていくことができたのかなと思います」と冷静に振り返った。全宇宙最強の証明を果たした絶対王者の進撃は、とどまることを知らない。
◆JEMTCスペシャルABEMA地域トーナメント2026 超早指しの『ABEMAトーナメント』と『地域対抗戦』が融合した新シリーズ。全国を6つの地域ブロックに分け、全8チームによって競う団体戦。各チームは監督1名とドラフト会議で指名された棋士4名の計5名で構成される。予選は4チームずつ2リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出。試合は5本先取の9本勝負で、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。今大会より「先手番入札制度」を採用。対局開始前に持ち時間を「競り」にかけ、提示した時間がそのまま対局時の持ち時間からマイナスされる。 (ABEMA/将棋チャンネルより)