2023年に不同意性交等罪が新設されて以降、「性的同意」という言葉を耳にする機会が増えている。
【映像】30代男性が“生々しい性的同意”をLINEで確認する様子(実際の画面)
街行く男性20人に聞くと、そのうち15人が性的同意を取っていると回答した。一方、2024年の不同意性行動罪の認知件数は前年から1.5倍に増加しており、加害者と被害者で認識が乖離しているケースも依然として多い。Xでは「男の部屋に入ったらOKでしょう」「どう同意を取ったらトラブルなく交際できる」といった声も見受けられる。
必要と分かっていながら、戸惑う人も多い性的同意。『ABEMA Prime』では、男女それぞれの立場から性的同意の現状と課題を考えた。
■記録を残す「同意の取り方」

ウェブサービスやLINEを活用して相手の意思を確認するようにしている30代後半の男性・高橋さんは、こうした方法をとるようになった経緯を語る。20代の頃、グループ交流の中で仲良くなった女性と、明確な関係性のないまま「雰囲気でそういうことになった」という経験があった。行為の後は「関係性をゆっくり深めていければ」と思っていたが、相手側は「もう結婚だよね」という認識でいた。温度差が生じ、周囲のグループからも強く非難されて友人を失う結果になったという。「自然な流れがいいけど、今までの経験上そうせざるを得ない」。
LINEでの同意取得については、行為の名称をそのままダイレクトに文字で送るという。「後日トラブルになった時に、『こう言っただろ』というものがなくて困る。そんなことは言いたくないんだけど、やっぱり記録として残しておきたい」と説明する。
もう一つの方法として高橋さんが利用しているのが、性的同意を双方で確認するウェブサービス『キロク』だ。一方が「脅されていないか」「冷静に判断できているか」など10項目にチェックを入れると同意のQRコードが生成され、相手がそれを読み込んで同じく10項目を確認する仕組みで、日時と同意項目が記録として残る。「部屋に入った後、ゴロゴロしながらピッピってやる感じ」だと使用場面を説明する。一方で、受け入れてもらえない場合もあり、「ふざけてるのかと怒り出す方もいる。せっかくこんなムードなのに10項目入れさせるなんてということになる」とも明かした。
性犯罪、男女間トラブルに詳しい弁護士の加藤博太郎氏は「ホテルに行ったからOKではない、性行為するつもりはなかったと言われて、実際に有罪・実刑判決になったケースを私自身も経験している」と語った。
また、同意記録の意義について、「同意したことで、実際に被害を訴えるのをやめようかという方向に働く可能性もある」と述べる。一方で「同意後に気が変わることはいくらでもある。同意はいくらでも撤回できるものであり、アプリを使ったからといって万全ではない」とも付け加えた。
■同意を取らなかったことで200万円支払った男性

同意を取らなかったことでトラブルになり、示談金200万円を支払うことになったという30代前半の男性、山本さん。定期的に経営者や個人事業主が集まる交流会に参加した際、司法書士を名乗る男性と女性と知り合った。その男性が「あの子はあなたに気があるようですよ」とアシストする形で距離が縮まり、会の後に女性から「送っていってほしい」と頼まれ、道中でくっついてくる場面もあって、最終的に駐車場で行為に至ったという。
ところが2週間後、その女性から「あなたから性的暴行を受けた」として対応を求める連絡が届き、代理人として記載されていたのが、交流会にいた司法書士の男性だったと明かした。「あの時点で繋がっていたんだと知った」。
この案件を担当した加藤氏は、当時の状況について「同意を立証できるものがあるかを確認したが、ドライブレコーダーの映像など何も残っていなかった。お酒を飲んだ後に性的関係を持ったという状況では、『覚えていない』『車の中で抵抗できなかった』と言われると何も証明できない。警察は証拠がほとんどない状態でも被害届を受理するという運用になっているため、事件化すれば逮捕もあり得ると判断し、速やかに示談するしかなかった」と振り返る。
山本さんは「女性は積極的で、嫌がっている感じは全くなかった。自分が悪いことをしたという認識がなかった」としながらも、調べるうちに逮捕のリスクを知り、お金で解決する判断をしたと述べる。「その後、正直、女性全般に対して、もしかしてこういうことを考えているんじゃないかと思ってしまうようになった」と、心境の変化を打ち明けた。
■「突然触られるのに対応しようがなかった」同棲パートナーとの性の不一致

一方、交際していたパートナーから性的同意のないまま行為を求められ続けたという30代女性・易しいクジラさんは、同棲を始めた後、ふざけたテンションの中でいきなり胸やお尻を触られることが繰り返されたと話す。「突然なので対応しようがない。完全に拒絶できなかった」。性交渉を断ると「そこまでしなくていいから、手を使って手伝ってほしい」と求められ、断りが通ることもあったが、毎回断ることへの引け目も感じていたという。「本意ではないけど、まあやろうかな、という感じで応じることもあった」。
交際相手に「外でしてきていいよ」と提案したこともあったが、「あなたとだからしたいんだ」と返されたという。加藤氏は「婚姻関係の有無にかかわらず不同意性行動罪が成立すると法律上明記されており、今回のような行為も不同意わいせつや不同意性行動にあたる可能性が十分ある」と指摘する。その上で「法律ができた以上、パートナーや夫婦の間でも、明確な同意を一つひとつの行為ごとに取っていくことがとても大事な時代になった」と述べた。
クジラさんは交際の終盤について、「お互いが折り合いを見出し始めていたかなという感じもあって、挿入まではしなくていいから踏み込んだスキンシップをしてみようか、という段階になっていた」と明かす。破局については「こういう結末は仕方なかったと思う。最初に交際し始めた頃は、こんなことをしてくる人だと思っていなかった」と語った。
加藤氏は、トラブルを防ぐためには「相手の立場に立って考えることがとても大事だ。そしてもう一つ重要なのが、関係性ができていない相手とは性行為をしないことだ。万が一、ワンナイトで不同意と言われてしまえば、5年以上の実刑リスクもある。そのリスクを犯してまでするかという話になる」とした。
(『ABEMA Prime』より)