熊本地震で、倒壊した家屋の下敷きになって、91歳の女性が亡くなりました。
現地調査で判明した、建物が倒壊した可能性がある周期の異なる2つの揺れ『キラーパルス』と『長周期パルス』について見ていきます。
■熊本地震 相次ぐ木造家屋の倒壊 91歳女性死亡
今回の熊本地震で木造家屋が倒壊し、震度7を観測した氷川町で、91歳の女性が亡くなりました。
「(亡くなった女性は)1階のベッドで寝ていた。そこに2階がストンとい落ちている状態。『助けてくれ』と言っていたが、だんだん声がか細くなった」と話しています。
住宅の被害です。
氷川町で、全壊が163棟、半壊が195棟。
熊本県全体で、全壊が181棟、半壊が245棟です。
■木造に危険 『キラーパルス』 倒壊増の原因か
愛媛大学客員教授の森伸一郎さんは、熊本の現地に調査に行っています。
「木造建物にとって危険な、1〜2秒の周期の波である『キラーパルス』で被害が増えた」のではないかということです。
キラーパルスが観測された、阪神・淡路大震災の揺れを再現した実験では、約9秒で木造建物が倒壊しました。
そして、能登半島地震でもキラーパルスが発生して、住宅被害は16万棟以上になりました。
地震の揺れの周期というのは、地面の揺れが1往復する時間のことです。
キラーパルスは、周期が1〜2秒です。
低い木造の建物が共振して、揺れが増幅して倒壊します。
地震の揺れの周期による、共振の違いです。
短い周期の揺れだと、背の低い建物は、共振で揺れが増幅します。
一方で、高層ビルなどは、揺れは小さいです。
長い周期の揺れだと、背の高い建物は、共振で揺れが増幅します。
一方で、背の低い建物は、揺れは小さくなります。
■『揺れ』に異変 『長周期パルス』一方向に強い力
今回、愛媛大学客員教授の森さんが、現地調査で感じた“異変”です。
「灯篭や一部の建物が、すべて同じ方向に倒れていた」といいます。
「通常は、何度も揺れた後に倒れるが、一方向に倒れたということは、長い時間一方向にだけ力が加わったのではないか」ということです。
“通常”と、今回の違いです。
通常は、住宅や建築物は揺さぶられて、いろいろな方向に力が加わります。
今回は、一方向に強い力が加わるような倒れ方だったということです。
「非常に長い周期の揺れ、『長周期パルス』が発生したのではないか」
短周期の揺れであるキラーパルス以外の揺れも発生したことになりますが、同じ地域で同じ地震でも、地盤によって揺れ方が違うため、起こり得るということです。
実際に、地震計が記録した波形を見ると、八代市では4秒周期の揺れも起こっていました。
「長時間一方向に力が加わるのは、もはや『揺れ』と言えないのではないか。研究を進める必要があるが、地震の揺れをはかる『震度』や地震対策について、根本から考え直す必要が出てくるかもしれない」
■“耐震性不十分”熊本県に7万戸超 被害拡大か
震度7を観測した、熊本県氷川町野津の古い木造住宅の耐震性についてです。
「この地域は、全壊被害が多かった地域。柱やはりにL字型の接合部がないなど、現在の耐震基準を満たしていない木造住宅が多くあった」ということです。
熊本県内の耐震化率です。
約71万1000戸のうち、10.5%にあたる約7万5000戸が旧耐震基準以前に建てられ、耐震性が不十分だということです。
耐震化について、熊本県の取り組みです。
2000年までに建てられた木造住宅を対象に、耐震診断費用や耐震改修費用を支援しています。
震度7を観測した氷川町では、2020年末までの耐震化率は55%で、2027年度末までに、90%の耐震化を目指しています。
築30年以上の家に住んでいましたが、今回の地震で全壊になりました。
「耐震基準について、あまり知らなかった」
「10年前の地震で半壊し、給付金で修繕して、耐震も多少は意識したが、それでも今回ダメだった」
「できれば、慣れ親しんだ場所に住み続けたい。給付金にもよるが、今度は耐震基準を知って、建て直したい」と話しています。
「自分の家が耐震基準を満たしているかどうか知らない人が多い。耐震診断をしてもらうことが重要」ということです。
■被害集中“旧耐震”住宅 全国でも課題 建て替えに壁
耐震性については、熊本だけではなく、全国的な課題です。
全国で、耐震性が不十分な住宅は、570万戸と言われています。
「今回の地震と同程度の揺れで、倒壊する恐れ」があるということです。
さらに、空き家はこの推計の対象外なので、空き家を含めると、耐震性が不十分な住宅はもっと増えます。
空き家が倒壊し、近隣に被害が及ぶケースも考えられます。
能登半島地震での人的被害を見てみると、地震による直接死の死因のうち『圧死』が約4割、『窒息・呼吸不全』が約2割で、多くの人が倒壊した建物の下敷きになったとみられます。
能登半島地震で倒壊・崩壊した軒数を建築年代別で見ると、旧耐震基準で建てられた1981年以前の建物が662棟と、圧倒的に多いことがわかります。
国の方針として、住宅の耐震化の問題は、2035年までにおおむね解消したいとしています。
ただ、市町村別に見ると、高齢化が進んでいる地域ほど、耐震化率が低い傾向にあるというのが現状です。
「少子高齢化が進み、家を受け継ぐ人がいない中で、わざわざ建て替えや工事を行う人は少ない」
■住宅の耐震化 今からできること 支援制度の活用も
住宅の耐震化で、今からできることです。
1つ目は、耐震化工事です。
●壁を強くする
●家を軽くする
●柱やはりなどの接合部を強くする
●基礎を強くする
などです。
住みながら工事ができるケースもあるということです。
国や自治体などの取り組みとしては、住宅の耐震化推進のための補助金・支援制度があります。
自治体などによって異なりますが、耐震改修等にかかる費用の補助や融資制度があります。
愛媛大学客員教授の森さんによると、他にも必要な地震対策として、家具の固定、そして地震保険への加入があります。
(「羽鳥慎一モーニングショー」2026年8月3日放送分より)



















