熊本県では5日も酷暑日に迫るなか、懸念されるのが「災害関連死」です。被害をどう防ぐのか。10年前の教訓と現場の取り組みを取材しました。
酷暑に迫る中…ボランティア
震度6強の揺れが襲った、熊本県美里町です。
地震で散らばっている家具を運んでいるのは、ボランティアの人たちです。ファン付きの作業着を身につけています。
美里町周辺では5日、最高気温が38.6℃まで上昇。厳しい暑さの中、およそ50人がボランティアとして参加しています。
「美里町は報道であまり出てなかったが、調べたら(ボランティアの)募集が出ていて。山間部なので、お年寄りも困っている人がいるのではと思って、判断して来た」
住人は79歳の男性で、地震が起きた時には外出していて無事だったといいます。
「私は足があまりよくないから(物を)抱えることができない。本当にありがたい」
県内では熊本市で38.1℃を記録するなど、連日「酷暑日」に迫る暑さが続いています。
震度7を観測した宇城市では、3000人以上が避難生活を送っています。高齢者など、持病を抱えた人も多いのが現状です。
「お医者さん、あした行くから、薬をもらう」
「(Q.どんな薬を飲んでいる?)血圧の薬と…。あと、胃腸かな」
「(Q.避難所生活で体調は?)何か、おかしくはなった」
「(Q.薬は飲んでいる?)薬は飲んでいる。脳梗塞(こうそく)の薬」
「(Q.薬がなくなっていく不安は?)足りなくなったら、どうにかしないといけない」
避難生活が長期化することが、懸念されています。
高齢者救う“移動式の薬局”
避難所になっている建物の前には、大きな車が止まっています。「モバイルファーマシー」と呼ばれる、移動式の薬局です。
「どうぞ、おかけください」
「ひねった?」
「ひねったり、足の裏をつったり。水運びで」
「どうしても、日頃使わない所を使うと」
「小指のまめが、つぶれかけている。処置してもらって」
60代の女性は、水を運ぶ時にがれきを踏んでしまい、足をけがしたといいます。
「日頃使わない所を使って、筋肉痛になっていると思う。これ湿布。ピタッと付くタイプ。1日1回。あまり熱くならない所で保管して。バッグの中など」
「(Q.薬を処方されたが?)ありがたい。まさか(処方)してもらえると思っていなかった。詳しく話を聞いてもらって、良かった。安心です」
「モバイルファーマシー」の車内は、どうなっているのでしょうか?
通常の薬局のように、薬が数多くそろっています。
「(薬局と)同様の条件下で、薬品を管理できる体制のモバイルファーマシー。今回、災害のための備蓄用の所から持ってきている」
車内には、およそ100種類の薬があるといいます。
「(Q.10年前の熊本地震の時はあった?)その時には、まだ熊本では作っていなかった」
「(Q.何年前に作った?)熊本地震が終わってから、あったほうがいいと。熊本も作ろうと」
どう防ぐ?災害関連死
10年前の熊本地震では275人が亡くなり、そのうち直接死は50人。災害関連死は、その4倍以上の225人に及びました。
今回の地震では38人が犠牲となり、そのうち1人が、地震のあと車中泊をした際に熱中症の疑いで亡くなっています。
熊本県では、今も7000人以上が避難しています。特に宇城市や八代市が多く、避難者全体の8割以上を占めています。
「移動式の薬局」は、熊本県など九州の薬剤師会が協力して、宇城市に1カ所、八代市に2カ所派遣しています。
「便秘気味になって、朝からおなかをマッサージしたり、いろいろたたいたり。便秘の薬をもらいたい」
「(Q.避難所で診察を?)そうです」
地震で被害を受けた人は、避難所にいる医師の診察を受けて「災害処方箋」を受け取ることができ、保険証や現金がなくても、氏名などの情報確認で、自己負担なしに薬を手にすることができるといいます。
「(Q.薬が避難所でもらえるのは?)本当にありがたい。どうなるかと心配するから、本当にありがたい。行き届いたことができることに感謝している」
避難所での活動を終えた後は薬剤師会の本部に戻り、倉庫から薬を補充していきます。
「臨時薬を集中的にやっている。ただ中長期続く時に、災害関連死もあるので。持病悪化を抑える定期薬も入っている。入る時期によって違う」
災害関連死を防ぐ取り組みは、各地で行われています。
高齢者の自宅を“巡回”看護
避難所や被災した人たちの自宅を回る「訪問看護」です。
「今一番困っているのは、水が出ないこと。八代市も宇城市も崩壊してしまっているので、(利用者に)高齢者や障害のある人、赤ちゃんもいるが、受け入れ先がない。情報は県からメールが来るが、パソコンも開けない状態なので」
別の事業者は、八代市に住む70代男性の自宅で看護を行います。
男性は呼吸器を付けており、看護師が1日2回訪問しています。
地震が起きたその時、看護の最中だったといいます。
「地震の時は本人の安全を一番に確保して、(物が)体に落ちてこないよう支えた。酸素と点滴をしていたので、破損していないかも確認した」
「(看護師は)我が家のことも差し置いて来てくれた。ここに来てくれて、本当に感謝しています」
(2026年8月5日放送分より)








