社会

ABEMA TIMES

2026年8月8日 11:30

「今までで一番厳しい」見回り強化で居場所を追われる“トー横”の若者たち 行き場を失う中「世間の普通より歌舞伎町の普通が合っている」と心の叫びも

「今までで一番厳しい」見回り強化で居場所を追われる“トー横”の若者たち 行き場を失う中「世間の普通より歌舞伎町の普通が合っている」と心の叫びも
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 夏休み期間中の新宿・歌舞伎町「トー横」周辺では、警察やボランティアによるパトロールが強化されている。シネシティ広場には柵が設置され、周辺の様子を映すライブカメラ配信もあり、若者たちからは「居場所を奪われている」と受け止められる状況も生まれている。

【映像】トー横界隈に設置されたライブカメラ(実際の様子)

 『ABEMA Prime』では、トー横に通う当事者のうにさん、急アルゆーたぐさん、虚無ぷりんさん、若者支援を行う認定NPO法人「D×P(ディーピー)」理事長の今井紀明氏とともに、若者たちの実態や支援のあり方について考えた。

■「今までで一番厳しい」監視強化と物理的排除がもたらした変化

夏休み トー横見回り強化

 パトロールやライブカメラの設置、広場の封鎖などにより、集まれる場所が奪われている実態について、週1回通う急アルゆーたぐさんは、「警察がたくさん見回りを強化している。新しく来た子は何も知らないため、すぐに警察に児童相談所へ連れていかれたり、物理的に離されてしまったりすることが起きているので、新規の人が減っている」と現状を明かした。さらに「自分たちが溜まっていた病院の近くで謎の工事が始まって、物理的に居場所を奪われてしまった。そうやって居場所をどんどん奪われて今に至る」と説明した。

 5年前からほぼ毎日通ううにさんも、「22時から23時くらいになると、時折警察のパトカーも張っている。しゃがむと注意されるし、立ち止まってお酒を飲んでいるだけでも注意されるため、確かに居づらい。今までで一番厳しいと思っている」と実感を示した。集合場所を失った結果については、「結局、歌舞伎町に来るのは基本的に人と会って話すために来ていると思うので、居酒屋に行ったり、自分たちの家に集まったり、各々いろいろな場所に散らばっている状態だ」と述べた。

 大阪の「グリ下」周辺で若者支援を行う今井氏は、「大阪でユースセンターを開いているが、初回に来た子から対面の個別相談に移るまでに、平均で9カ月間ぐらいかかるということがD×Pの調査で分かった。住居の支援や妊娠、性病の相談などがあり、病院や行政の窓口に一緒に行くところまで繋がったのは、3年半で来所した約2000人のうち117人だ」と、若者が支援につながるまでのハードルの高さを示した。

 こうした支援の“敷居”について、虚無ぷりんさんは、「だいたいの人は『相談に乗るよ』と言って悩み事を話したら、『そうなんだ、それは辛いね』で終わる。根本的に家庭環境やいじめを自分でどうにかできないからどうにかしてほしいのに、誰も何もしてくれなかったら、その環境から逃げるしかない」と語り、オーバードーズや自傷行為などを否定されるため「綺麗な悩みしか聞いてもらえない」と感じる絶望感を明かした。

 急アルゆーたぐさんも、「家庭環境や親との関係など、相談したからといって次の日に何かが変わるわけではない。親と仲直りするなどできないから自分で考えて困っているのに、具体的な施しというか助けをしてくれないのに『話を聞く』と言われても、期待したのに傷つくだけだ」と、大人の支援に対する複雑な心理を指摘した。

■「世間の普通より、歌舞伎町の普通」若者が求める“自滅的な自由”

トー横の若者たち

 世間の価値観と当事者の感覚の違いについて、虚無ぷりんさんは、「リストカットやオーバードーズは、世の中にとって普通の人ならしない異常なことだと思われがち。学校にも『普通に行きなさい』と言われる。それが苦しい。世の中の普通よりも、私は歌舞伎町の普通の方が合っている」と語る。

 急アルゆーたぐさんは、「家庭環境や学校など、どうしても通らなくてはいけない、正しく決められた通りの進め方に耐えられなくなった時に何が欲しいかといったら、ただ自由が欲しい。自由が欲しいから自由な場所に行きたい。綺麗な場所が苦手だから汚いところに行くのではなく、自由だからだ」と、トー横に行き着く感覚を説明した。

 うにさんは、「綺麗な福祉などに助けてもらうと道が決まってしまう。トー横の子たちの自由は、自滅的な自由だ。家や社会、学校から自由になりたいのであって、何かに向かって自由になっているわけではない。夢や行きたい大学、仕事があるか聞いてもみんな答えられない。選択しろと言われると、自由が剥奪された気がして、自滅的になるしかないのかなと思う」と、社会的モラトリアムの中での葛藤を分析した。

 支援のあり方について、今井氏は、「最初はユースセンターという場所を作るのではなく、テントから始めた。そこでご飯を食べ、徐々に喋れるようになっていった。なかなか相談には繋がらなかったので、住所非公開のユースセンターを作って来るようになった。社会側がどうやって喋れる環境を作るか、環境をどう整備していくかが重要だ。行政だと難しかったりする側面もあるため、いろいろな髪色のスタッフがいるなど、様々な大人が関われるような設計が必要だ」と述べた。

 うにさんは、「助けてほしいのか、話を聞いてほしいだけなのかは全く違う。『助ける』となると、助けられる側は完全な弱者になってしまう。親の愛を受けられなかったから弱者なわけではない。話したいだけの子がそういう時期だったりするだけだ」と指摘。「あまり弱者と思いすぎたり、可哀想な人と思いすぎないことが良い。レッテルやラベリングが剥がれることで、NPOだけでなく個々人が支援できるサイクルになればいいと思う」との見方を示していた。 (『ABEMA Prime』より)

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