社会

ABEMA TIMES

2026年8月9日 11:30

「話しても何もしてくれない」大人に失望した“トー横”の若者たち 本当に求められる関わり方 EXIT兼近大樹「搾取しようとする大人をどう除外するか」

「話しても何もしてくれない」大人に失望した“トー横”の若者たち 本当に求められる関わり方 EXIT兼近大樹「搾取しようとする大人をどう除外するか」
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 新宿・歌舞伎町の「トー横」や大阪の「グリ下」をはじめ、家庭や学校に居場所がない若者たちが集まる現場において、警察による見回りや補導といった介入が強まっている。一方で、そこに集まる若者の多くは大人や公的機関に対して深い不信感や失望感を抱いており、差し伸べられる手との間に大きなギャップが生じている。

【映像】トー横界隈に設置されたライブカメラ(実際の様子)

 若者たちはなぜ大人に失望し、どのような関わりを求めているのか。当事者である若者3人と支援者らが出演し、現場のリアルな声と今後の関わり方について『ABEMA Prime』で議論が行われた。

■「具体的に助けてくれない」当事者が語る大人たちへの失望感

トー横で集まれない?

 大人に対する不信感について、トー横歴約3年で浪人中の虚無ぷりんさんは、「大人の人は『相談に乗るよ』と言って自分の悩み事を話したら、『そうなんだ、それは辛いね』で終わる。根本的に家庭環境やいじめをどうにかしてほしいのに、誰も何もしてくれなかったら、その環境から逃げるしかない」と語る。さらに、オーバードーズ(薬の過剰摂取)や自傷行為を打ち明けると否定的に受け止められる経験から、「綺麗事や綺麗な悩みしか聞いてもらえないと感じてしまう」と当事者の抱える切実な胸の内を明かした。

 また、トー横歴2年半で大学生の急アルゆーたぐさんも、「家庭環境や学校、親とのトラブルについて相談しても、具体的に次の日何かが変わるわけではない。自分自身の頭で考えて困っているのに、具体的な施しや助けをしてくれないのに『話を聞く』と言われても、期待した分だけ傷つく」と指摘した。

 その上で、急アルゆーたぐさんは行政機関や公的な相談窓口との壁について、「相談できないのは、行政関係など法律で動いている人たち。(自分たちが)法律で引っかかってしまうため具体的な助けが得られず、結局無駄になってしまう」と述べた。

 一方で、自身が救われた経験として、「行政ではなく、個人的な50代の友だちに本気で相談して助けてもらった。その人から助けてもらったことで、『私も人を助けたい』と行動や気持ちが良い方向に向かった。そのまま放置されていたら悪い方向に行って、檻の中にいたかもしれない」と明かし、公的な制度や枠組みを超えた個人間の深い信頼関係こそが転機になったと語った。

 トー横歴約5年でほぼ毎日通ううにさんは、支援や福祉に対する当事者側の心理について、「福祉やNPOに助けてもらうとなると、助けられる側は完全な『弱者』になってしまう。親の愛を受けられなかったからといって弱者なわけではない。綺麗な場所(福祉)に行くと道が決まってしまい、選択を迫られると自由が剥奪されたような感覚になる。可哀想な人や弱者というレッテル、ラベリングをしすぎないことが大切だ」と主張した。

 これに対し、EXIT・兼近大樹は、若者が悪事に巻き込まれる構造について「悪い大人が悪いことを教え、それが数珠つなぎのように下の世代へ広がっている。これは大人側の問題だ」と分析。その上で、ちゃんとした居場所を作ることが「予防」に不可欠だと訴えた。

 「事件が起きてから支援すると『お金で助かった』などの結果が見えやすいが、グレーな場所に手を差し伸べる『予防』の支援は成果が見えにくい。成果が見えないがゆえに評価されにくく、支援者も増えない。しかし、グレーな場所を残しつつ、犯罪に関わらないよう大人が環境を整備していくことが重要だ」と指摘した。

 さらに兼近氏は、当事者である3人のように現場の感覚を理解している若者の存在に着目し、「何も分からずにトー横に来た子たちに対し、『こうすれば社会に属せるよ』とアドバイスができるお兄さん・お姉さんのような存在を増やしていくことが救いになる。関わる大人を増やし、搾取しようとする悪い大人を除外していくしかない」と、現場に根ざした予防の仕組みづくりを提唱した。

■信頼を築く「段階的アプローチ」と多様な大人が関われる環境整備

トー横での一斉補導

 フリーアナウンサーの柴田阿弥氏は、若者に寄り添う姿勢を評価しつつも、命や安全に関わるリスクに対して警鐘を鳴らした。

 「孤独にさせないことはすごく大事なテーマである一方で、傾聴だけで本人が抱えている問題が解決しない場合もある。虐待が疑われるような緊急を要する事案については、本人が望んでいなかったとしても、未成年の場合は一定の強制力を持って児童相談所などの行政に繋ぎ、保護することも命を守るために必要だ」と行政介入の重要性を語った。

 加えて民間支援のあり方についても言及し、「『なんとなく良さそう』で終わらせず、NPOが行う施策についても政策と同じように成果と効果を検証するべきだ。その後を検証していかないと、本当に必要な支援が日本全国で再現性を失ってしまう」と、客観的な効果検証の必要性を求めた。

 認定NPO法人「D×P」理事長の今井紀明氏は、大阪・ミナミの「グリ下」での活動を振り返り、行政や公的機関に繋がりにくい若者との関係構築の難しさを語った。

 今井氏は「最初は施設を作るのではなく、道頓堀でのテント活動から始めた。食事を提供しながら週1回関わり、7カ月ほどかけて少しずつ喋れるようになっていった。初めて来た子が個別の面談や相談に繋がるまでには平均で9カ月かかる」と説明。初めから悩み相談を求めるのではなく、否定せずに雑談を重ねる重要性を強調した。

 その上で、若者が安心して関われる環境づくりについて、「髪色や背景を含め、多様な『バラエティに富んだ大人』が支援に関われるような設計が必要だ。男性への恐怖心や初対面への警戒心を持つ子もいるため、社会の側がどのようにして喋れる環境や居場所を整備していくかが問われている」と述べた。 (『ABEMA Prime』より)

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