福岡県の服部知事は12日、福岡県が推進してきた『ワンヘルス』推進事業について、新規事業を当面、凍結する考えを明らかにしました。数々の疑惑に揺れる福岡県政で、何が起こっているのでしょうか。
『ワンヘルス』新規事業を凍結へ
「行革審の結論が出るまでは新規の事業には着手をしない」
福岡県知事が発表した、ワンヘルス新規事業の凍結。
「主たる目的が別にある事業までワンヘルスという冠をつけた。明確な基準なくワンヘルス関連予算として整理をしてきた。このことによって額的にも膨らみ、県民の皆様からの疑念、あるいは誤解を生じさせることとなってしまった。非常に深く反省をいたしております」
そもそも『ワンヘルス』とは。人間と動物の健康、自然環境を1つの問題として『人獣共通感染症』対策などに取り組む理念です。
福岡県は、世界獣医師会の会長を務める蔵内勇夫氏が県議会の議長です。国内でいち早く、普及に力を入れてきました。
(Q.どちらに行かれた)
「ネパール。ネパールで世界の獣医学生大会があって。ネパールは天国だった」
その“肝いり”事業の凍結。最近の福岡県は穏やかではありません。
「カツアゲ、あるいはみかじめ料的な要求であった」
ポストをめぐり金銭を支払ったと告発した、吉松氏。
「何度も申し上げますが、私はお金を受け取っておりません」
金銭を受け取ったと名指しされ、混乱の責任を取って議員辞職した、中尾氏。
「正直やってよかったと思っています」
同じく金銭を受け取ったと名指しされた松尾氏は、熊本地震の直後に政治資金パーティーを開いたことに批判が集まり、自民党県議団の会長を辞任しました。
「人と人、人と動物、国と国、これを1つにするワンヘルスの原点の言葉なのです。服部くんを福岡県のお父さんとして、頑張ってもらおうじゃありませんか」
去年の知事選で応援に立つ蔵内氏。服部知事も公約の柱に掲げた『ワンヘルス』」の推進を訴えました。
福岡県では2021年に全国で初めて、ワンヘルス推進基本条例が施行されています。この政策は、高市総理の初の施政方針演説に盛り込まれています。
「がん・難病のゲノム医療や、ワンヘルスの取り組みも推進します」
4月には、厚生労働省にワンヘルス対策推進室が新設されました。
「全国都道府県議長会でワンヘルス推進を決議しましたので、今日提案させていただいた。総理からは、真摯に地方の声に向き合っていただき、我々としては大変心強く感じたところです」
福岡県のワンヘルス推進予算は、5年間で約60億円に上ります。建設が進む全国初の『ワンヘルスセンター』は約200億円。着工済みの事業については凍結せず、建設が進められるといいます。
そして、蔵内議長の地元で、すでに完成済みの“ワンヘルスの理念を象徴”するオブジェは、約3億円です。
「私は評価されると思う、将来。ある意味ではワンヘルスの発祥の地となるでしょう。シンボルが必要なんです」
「自分たちで勝手に決めてやっているけど、民意をまずは聞いてほしい」
順調でないこともあります。6000万円の税金が投入された『ワンヘルスパーク』はわずか1年で赤字を抱えて閉園。講演会の講師に、基準を大きく上回る謝礼が支払われていたことも明らかになっています。
全国に先駆け、突出した規模とスピードで進めてきた肝いり事業に、内部からも批判が噴出する中、蔵内議長は。
「福岡県から発信した、このワンヘルスはすでにもう国策となっております。これをね“ワンヘルスのダボス会議”になるように頑張りたい」
その蔵内議長への忖度があったのではないか。記者に聞かれた服部知事は。
「やはり数十年来ですね、私も含め、私たち職員の中に根付いてきた誤った意識。その中からですね、忖度(そんたく)とか過度な配慮等々ですね、県民の皆様から疑念不信を招くような行動も出てきたということ。これを反省しなければならない」
福岡県は、ワンヘルス推進事業の妥当性などについて行政改革審議会で検証し、再開を検討するとしています。
知事と議長関係に変化か
これまでの動きを整理します。
先月の記者会見で、県議会の元議長が「議長就任前に自民党会派の幹部から、ゴルフ代など約2000万円を要求され、支払った」と話しました。また“やり取りを録音した”という音声も公開し、金銭をめぐる問題が顕在化しました。
さらに県議会では、海外視察として2023年から3年間で23回、アメリカ・ハワイやフランス、スイスなどを訪問し、総額約2億6500万円の公費が使われていたことが明らかになりました。蔵内議長は6月に「我々の視察は必ず生きてくる。海外視察は続ける。この考えは一切変わることはない」と話して、物議をかもしました。
福岡県政の取材を続ける、九州朝日放送の上月英興記者に聞きます。
(Q.服部知事と蔵内議長が二人三脚で進めてきた『ワンヘルス政策』に服部知事がストップをかけました。知事が蔵内議長と決別したということですか)
「決別したと言い切れるかは分かりませんが、2人が距離を取っていることは明らかなようです。物議を醸している“海外視察”の検証について、服部知事は蔵内議長と『全く話していない』と述べるなど、最近はコミュニケーションを取っている気配がありません。服部知事としては、蔵内議長が強い批判にさらされる中で“決別した姿勢”を示さなければいけない情勢になっているという背景があります。ただ12日、服部知事の右胸にはワンヘルスのロゴマークのバッジが光っていました。自らの政策を実現するために、議会の最大会派の重鎮である蔵内議長を完全に無視することはできない面もあります」
金銭授受疑惑真相究明は
(Q.県議会の金銭授受問題について、真相究明に向けた動きはどうなっていますか)
「金銭授受疑惑については、蔵内議長が第三者委員会で調査することを表明しています。蔵内議長は『時間がかかる』として、当初は第三者委員会の設置には否定的な発言をしていましたが、先週になって方針をひるがえしました。というのも、県や議会事務局には、この約3カ月で約3000件のクレームや意見の電話が来ています。今回の対応は自浄作用が働いたというよりも、世論に押し切られた形に見えます」




















