後継者不在を理由とした老舗企業の廃業が後を絶たない時代、熊本で100年以上の歴史を持つ漬物店の4代目を目指す22歳の若者がいる。
【映像】熊本地震で、今にも壊れそうな漬物屋の様子(実際の映像)
1924年創業の中村漬物で、父が営む店を引き継ごうとしている中村銀河氏だ。漬物離れや地震、コロナ禍などが重なりギリギリの経営が続く中、中村氏は廃業寸前の店を立て直すべく挑戦を続けている。
老舗をどう守り発展させるか。『ABEMA Prime』で中村氏に話を聞いた。
■「潰したくないっていうのが一番の決め手」

新卒辞退し、家業を継ぐ決断をした中村氏は、「大学3年生の時、父に『100年続いたお店を畳もうと思う』と言われて、考え込んだというか、やりきれない気持ちというか。潰したくないっていうのが一番最後の決め手になった」と語る。
幼い頃から家の工場に毎日遊びに行き、漬物を食べて育ってきたという中村氏にとって、廃業の言葉は到底受け入れられるものではなかった。「他のところに就職するぐらいだったら、家業を続けたい。人生を賭けて覚悟を決めて入った」と述べる。一方、父は業界の厳しさを理由に「やめた方がいい」と最初に言ったといい、将来を心配する親心を押し切る形で茨の道に飛び込んだ。
入社後、改めて父を見て気づいたことも多いという。「当然だが、漬物のことは何でも知ってるんだなとか。地震の時もコロナも耐え抜いて、父は本当に漬物一色だと思う。尊敬する」と話す。
■SNS発信で2カ月でフォロワー7万人超え、全国から500件の注文
入社してからまず着手したのはSNSでの情報発信だった。「Instagramとfacebook、SNSで発信をしながら、通販サイトで全国から注文をいただいている」。
動画の内容については「自分の家のことや、継ぐって言われた時に反対されたとか。そういうリアルなことを発信しながら、業界のことも話している」。お店の現状を赤裸々に描いた内容が話題となり、わずか2ヶ月でフォロワー数は7万人を超え、「全国、北海道から沖縄まで500件ぐらい注文をいただいた」という。
SNS発信について父の反応を聞かれると、「大学の時から勝手に始めて、後になって父に言った。父は『SNSとかあんま疎いんで分からないから、任せるわ。好きにやれ』みたいな感じだった」と明かす。新商品の開発にも着手しており、「製造の難しさから商品化できていない無添加の漬物にも挑戦している」。
一方で、課題も山積みだと率直に認める。「資金面が厳しくて、挑戦したくてもお金がなかったらできない。人手不足で業務を2人でやらなきゃいけないので時間がなかったりする。でも一番は、家業に入ったので相談できる相手が少ない」と明かす。同業とのつながりについても「父にはあると思うが、まわりに若い人はほとんどいない」と話す。
まだ始まったばかりの挑戦だが、今後については、「漬物はもちろん売りたいが、いろんな角度から漬物に焦点を当てられればいいと思っている」と述べた。
(『ABEMA Prime』より)