社会

ABEMA TIMES

2026年8月18日 07:30

「1年後には別れよう」別れ話から始まった集団暴行、ライターで髪に火をつけ全裸に…元交際相手の女は笑いながら「もっとやって」 江別大学生集団暴行死事件

「1年後には別れよう」別れ話から始まった集団暴行、ライターで髪に火をつけ全裸に…元交際相手の女は笑いながら「もっとやって」 江別大学生集団暴行死事件
広告
1

 2024年10月25日深夜、北海道・江別市の公園で、20歳の大学生が殺害された。およそ2時間にわたり、殴る、蹴るなど100回以上の暴行。頭や顔は、出血していないところがないほどだった。さらに、全裸にされ、髪を焼かれた。裁判で当時の状況が明かされた。

【映像】八木原被告と川村被告のSNS動画

 犯行に加担したのは、男女6人。その多くが10代だった。少年らは、その姿を笑いながら撮影していた。さらに異様なのは、暴行に加わった多くが被害者と面識すらなかった。

東京の就職を考え、別れ話に

 事件の関係者を整理する。被害者と交際していたのが、八木原亜麻被告(20、以下は犯行当時の年齢)。八木原被告は、友人である川村葉音被告(20)に交際をめぐるトラブルを相談していた。

 そして、川村被告の遊び仲間だったのが、主犯格とされる川口侑斗被告(18)。さらに、川村被告の交際相手だった少年A(17)と、少年B(18)、少年C(16)も加担した。

 すべての発端は、別れ話だった。大学卒業後、東京での就職を考えていた被害者は、八木原被告に「1年後には別れよう」と伝えていた。ショックを受けた八木原被告は、同じアルバイト先の同僚の川村被告に相談していた。

 翌日、被害者は八木原被告に荷物を返すため、アルバイト先へ。その後、2人は八木原被告の自宅に向かっていた。

 その時、川村被告から電話が入った。川村被告の「ちゃんと会えた?」との問いに、八木原被告は「(被害者は)全然謝ってこないし……」と返した。

 この時、川村被告と一緒にいたのが、主犯格とされた川口侑斗被告。2人は事件当時、週4回ほど会う遊び仲間だった。川口被告は電話先の八木原被告に、被害者にかわるよう求めた。そして、「1回話すべ、そこで待ってろ」。

 電話を切ると「江別に行くぞ」。新千歳空港へ向かっていた5人は、急きょ江別へ向かった。ほとんど被害者とは縁もゆかりもなかった。「川口侑斗さんは、どこ行くとか、行き先を決めるような人で、中心人物的な存在」(川村被告の証言)。

 無免許の川口被告がハンドルを握った。川村被告によれば、速度は100キロを超えていたという。「無免許なのは、知っていました。でも『いいから運転させろよ』と、どんどん強い言い方になって断れませんでした。『なんでそんなにスピード出すの』と言ったら、『誰に向かって言ってるんだよ』って」(川村被告の証言)。

殴る蹴るの暴行…被害者の交際相手は「笑っていた」

 車内ではこんな話になった。川村被告が「その人、侑斗より2〜3歳上で。もしかしたら、ボクシングやってるかも」と声をかけると、川口被告は「やられたらやるっしょ」。しかし、それは人違いだった。八木原被告が事件前、ボクシングをしている別の男性のことを話していたのを誤認していた。

 被害者男性のもとへ向かう、川口被告ら。防犯カメラが無く、人がいない場所を求め、一行がたどり着いたのが、江別の文京台南町公園。時刻は午後11時14分ごろ。川口被告は、ほとんど面識のない被害者を問い詰める。「お前何歳?」「なんで、1年後に別れよって言ったのよ」「正直に話せよ」。

 会話がかみ合わないことに腹を立てた川口被告は突然、腹へ回し蹴り。倒れたところへ、顔を右、左と殴った。そして、その暴行は川口被告だけでは終わらなかった。

 川村被告も、倒れた被害者の胸を2度踏みつけた。「被害者さんが近づいてきて、『なんで彼女に近づくの』と。いらっとして倒れた被害者さんの胸を2回、踏みました」。

 その様子を見ていた八木原被告について、川村被告は「ずっと、笑っていました」と振り返っている。一方的な暴行は続く。彼らはその姿を、笑いながら撮影していた。

「血付いた」理由に金品強奪も

 殴るうちに川口被告の服に血がついた。これに川口被告は「血付いたべや、お前、早く弁償代払えや。全部出せ。全額。小銭もな。クレジットカードもな」。金の要求には、川村被告も声を重ねていた。

 奪ったのは、現金約2000円とクレジットカード、キャッシュカード。そして、暗証番号を言わなければ、仲間にさらに暴行させると脅した。暴行は、およそ2時間にも及んだ。

 その間、被害者の歯が折れたかもしれないという話に、川村被告の声で「それくらいの罰、受けたってことだろ」と録音されていた。

 さらに川口被告は、仲間たちが欲しいタバコの銘柄をまとめ、八木原被告と川村被告に、奪ったカードで買ってくるよう指示。タバコ20箱を購入した。別れ話をきっかけに始まった暴行は、金品を奪う強盗へと変わっていった。

 タバコを手に八木原被告と川村被告が戻ってくると、被害者は土下座して謝っていた。しかし、八木原被告は許さなかったという。

 そして、一度も手を出していなかった少年Bも、川口被告の「やんないの?やれよ」との号令で、2回にわたり被害者に飛び蹴り。

 さらに、川村被告の交際相手だった少年Aは、被害者に馬乗りになり、両手のこぶしで約1分間、顔を殴り続けた。

 倒れた被害者の頭を、今度は川口被告と少年Aが挟み込み、左右から交互に蹴りつけた。公園に鈍い音が響いた。それでも、暴行は終わらなかった。

 被害者は、二度、逃げようとした。しかし、そのたびに追いつかれ、再び暴行を受けた。

 そして、川口被告と少年Aが、被害者の服をすべて脱がせた。なぜ、服まで奪ったのか。川村被告は、その理由を後になって知ったという。「(川口被告から)服を川に捨てるとき、『指紋が残るから』だと聞きました」。証拠を残さないためだった。

 川口被告がライターの火を男性に近づける。その様子を少年C(16歳)が撮影していた。「誰も、止めませんでした」(川村被告)。全体で100回以上。尊厳という尊厳を、この夜すべて奪われた。

「頭部や顔面は、出血していないところがないほど」

 10月の北海道。当時の気温は2度ほど。意識の薄れた男性は、全裸のまま置き去りにされた。被害者が死ぬとは誰も思わなかったという。そして、川口被告は「飯行くぞ!」と、その場を離れた。

 その後、被害者は通行人に発見され、救急搬送。翌朝、搬送先の病院で、死亡が確認された。死因は外傷性ショック、全身の血液の2割から3割を失っていた。「特に被害者の頭部や顔面は、出血していないところがないほど、損傷がひどく……」(札幌地裁)。

 被害者を公園に置き去りにした後、八木原被告は帰宅。残った5人は奪ったキャッシュカードで、12万7000円を引き出していた。分け前は、川口被告が9万円、川村被告ら3人は1万円。7000円だった少年Aは不満をぶつけた。「なんで、7000円よ。俺、頑張ったべ」。

 川口被告は被害者のスマートフォンを破壊し、衣類や持ち物を川へ捨てた。

暴行を加速させた“集団モード”

 なぜ誰も止めなかったのか。暴行を途中で終わらせることはできた。男性の交際相手・八木原被告が「もうやめて」と言えばよかったはずだ。

 しかし、川村被告によると、「八木原さんに『許す気ないの?』と聞きました。すると『まだ、もっとやって、許す気ないし』と言って、暴行が続きました」という。

 裁判官の「どうなったら、この暴行が終わると思っていましたか?」との質問に、川村被告は「八木原さんが許したら終わると思っていました」と返した。

 主犯格とされた川口被告は「疲れた、やめない?」と、3回ほど八木原被告に確認したというが、暴行は続いた。

 鑑定医はこの状態を“集団モード”と呼んだ。「誰も『やめよう』としなかったのが異様。止める人がいなかったから形成された」。

法廷で明かされた“被告の生い立ち”、下された判決は

 主犯格とされた川口被告は、犯行時18歳。法廷で述べられたのはその生い立ちだった。「知能指数は、IQ58。軽度の知的障害です。軽度の難聴を抱えている」(鑑定医)。

 2人の兄たちが野球で活躍する一方、川口被告は劣等感を抱えていたという。支援学級を勧められたこともあった。川口被告の母は「野球をさせたくて、高校で甲子園に行きたいと、聞いていたので……(普通学級に)そのままにしました」と説明する。

 高校は1年で中退。家庭では、母親が自殺をはかったことも。そのとき、母親を支えたのが、川口被告だったと証言した。「精神的に、私がいつ死ぬか分からない状態で、侑斗がずっと私の面倒をみていました」。

 鑑定医は「劣等感を暴力で解消する。“集団モード”の中で、いつもの彼のパターンが出た」と見る。

 公判では、川口被告が“主犯”だったのかが争われた。検察官が「川口侑斗が終始主導した。極めて苛烈で責任を減じる事情はない」とする一方、弁護側は「継続して、リーダーだったかは疑問。『もういいべ』と、止めようとした場面もある」とした。

「息子の身勝手な行動で、被害者さんの大切な命、人生、すべてを奪ってしまい、取り返しのつかないことをして、申し訳ございませんでした」(川口被告の母)

 川口被告自身もこう述べていた。「許されるなら現場に行って、心から手を合わせたい」。

 だが判決は、その反省がまだ罪の深さに届いていないと見た。

 “更生”について鑑定医は、こう語った。「簡単にできるとは言えない。謝罪することが更生ではなく、自分のなかで理解したことを相手に説明できることが更生であり、相手遺族に対して説明するプロセスが大事。説明責任はどうしても必要」。

 2026年8月7日、札幌地裁は「被告人川口侑斗を無期懲役に。被告人A(当時17歳)を、懲役30年に処する。強盗致死を含む事案の中でも、最も悪質な部類。暴行態様は虐待的・拷問的であった」との判決を下した。

八木原被告との交際を、被害者はうれしそうに話していた

 人生を奪われた大学生は、サークル、ボランティア、アルバイトなど、充実した日々を送っていた。真面目で頑張り屋、優しく穏やかで、ユーモアのある青年だった。

 両親が長く待ち望み、ようやく授かった長男。姉と仲が良く、いつか親を旅行に連れていこうと話していたという。

 母親は火葬の際の身を切られるような悲しみを語り、息子と二度と会えないという現実に、今も苦しんでいる。母親は息子の笑顔が忘れられない。

 八木原被告は、被害者にとって初めてできた交際相手だった。そのことを、母親にうれしそうに話していたという。

 川口被告は、無期懲役の判決を不服として、控訴した。

(『ABEMA的ニュースショー』より)

広告