17日、和歌山県でブドウ畑からシャインマスカット約100房を盗んだ疑いで、農家の男が逮捕されました。今、全国各地でこうした農家を狙った盗難被害などが相次いでいます。
大量盗難 岡山で男逮捕
黒っぽい長靴を履き、頭にライトをつけ、カメラの前を横切る人物。これは7月、岡山県久米南町のシャインマスカット農園で撮影された防犯カメラの映像です。
時刻は午前0時44分、リュックを背負い、画面奥の暗闇の中へ歩いていく姿が…。その約2時間後、黒っぽい袋を運び、カメラの前を横切っていきます。
さらに1時間後の午前4時前、車がバックで入ってくると、そこには並べられた黒い袋が…。10袋以上あるように見えます。そして、両手で袋を持ち、車へ積み込みました。
この映像が撮影された農園では、シャインマスカット約200房が盗まれる事件が発生。岡山県警は、窃盗の疑いで42歳の男を逮捕しました。
男は「ネットで売って生活費にしていた」と供述していて、警察は余罪もあるとみて、調べを進めています。
他にも盗難被害
この地域では他にも、シャインマスカットの盗難被害が発生しています。
「これが(通常)収穫した跡。こういう感じで軸を残して収穫する。盗られている所は残す軸の長さが全然違う。これが端から端まで盗られていた」
水野さんは5年前に移住し、シャインマスカット農家に転身しました。
シャインマスカットの栽培は、苗を植えてから、安定した収入となるまで約5年。初期費用は数百万円かかるといいます。
手塩にかけ、収穫目前だったシャインマスカット約400〜500房が盗まれました。被害額は60万円以上だといいます。
相次ぐシャインマスカットの盗難。5日には栃木県佐野市で約400房が、13日には栃木市で約200房が盗まれました。警察は周辺のパトロールを強化するなどして、捜査しています。
そして17日も、和歌山県かつらぎ町のブドウ畑から、シャインマスカット約100房を盗んだ疑いで、農家の男(68)が逮捕されました。警察は売りさばいたとみて、捜査を進めています。
水田の給水バルブ盗まれる
「あそこにひびが入っているでしょ。こういうひびが入りだしちゃったんです」
干上がり、無数のひびが入った田んぼ。本来なら水が張ってあるはずの田んぼに起きた“異変”。その原因が…。
水戸市でコメを作って46年になる村澤さん。7月、コメの生育状況を確認しようと田んぼに向かうと、給水管に取り付けられていた金属製のバルブがなくなっていることに気が付きました。
3.8ヘクタールの水田に設置されていたバルブは、全部で18個。そのうちの14個が盗まれました。
道路沿いのバルブが盗難に遭ったことから、犯人は車で移動しながら短時間で盗んでいったと、村澤さんは推測しています。
金属価格の上昇に伴い、金属製のバルブの盗難被害が多発しています。
茨城県によると、2025年度の盗難被害は1410個、被害額は約576万円。今年度は8月14日までに1769個が盗まれ、被害額は約817万円となり、4カ月余りで昨年度1年分を上回っています。
この日、金属製ではなく、新たに塩ビ製のバルブを設置。約1週間ぶりに田んぼに水を入れることができました。
安堵(あんど)の表情を浮かべますが、塩ビ製のバルブは石油由来のため、品薄や値上げが続いています。
“農家なりすまし”詐欺
農家を悩ませる問題は他にも。それが…。
「フォロワーから、なりすまされて投稿されてますよというコメントで気付きました。(自分の)投稿内容と投稿画像を引用されて、勝手に使われてしまったという被害に遭いました」
今、急増しているのが、SNSで農家になりすまし、お金を振り込ませるという、新たな手口の詐欺です。
SNSで“なりすまし”された福島県伊達市の桃農家、伊東さん。5月末に自身のSNSに予約販売のお知らせを投稿しました。
「待ちに待った予約販売スタートまで、あと2日です。福島から全国へ、私たちの想いと最高の笑顔をお届けしたい」
この投稿の数時間後に…。
「待ちに待った予約販売スタートまで、あと2日です。福島から全国へ、私たちの想いと最高の笑顔をお届けしたい」
文章も絵文字も写真も、全く同じものが伊東さんとは別のアカウントで投稿されていたのです。写真の右下につけた転用防止用の農園のマークも、そのまま使用されていました。
伊東さんの桃の出荷割合は、SNSでの販売が4割で、JAなどが6割。個人農家にとってSNSでの販売は必要不可欠だといいます。
「今SNSを使って販売促進ができる世の中になっているのに、今後のお客様と僕たちの信頼関係にもつながってくるのかなって思ってます」
青森県五所川原市のリンゴ農家・石岡大育さんは被害についてこう語りました。
SNSに投稿した写真ですが、石岡さんの顔が、偽のアカウントでは女性の顔に変えられていました。
対面ではないSNS上での販売だからこそ、信頼してもらえるよう、自身の顔写真を掲載していましたが…。
徳島県阿南市で、50年続いた祖母のイチゴ農園を受け継いだ大杉徹馬さんは、祖母との写真などが無断で使用されたため、警察に相談。自身のSNSでも注意喚起の投稿をしています。
「やっぱりいたちごっこになる側面もあると思うんで、これは一農家でどうこうできる問題じゃない」
なりすましの手口、共通点は?
農家のなりすましアカウントによる詐欺。その手口は、どのようなものなのでしょうか?
実態調査を行ったITジャーナリストの三上洋氏によると、なりすましアカウントには、共通点があるといいます。
「極端に安い、豊作で余っている。『今年初めてネット販売に挑戦するので、ぜひ皆さん買ってください』買ってあげようと思わせる要素を入れるのが特徴です」
市場価格と比べ、格安の値段を提示したり、消費者の善意に訴えかける内容が多いといいます。
三上氏が接触したのは、アボカド農家を名乗るアカウント。12個で1280円という、格安の値段が設定されていました。
メッセージを送ると、大手宅配業者を装った「偽サイト」へ誘導され、そのまま手続きを進めると…。
取引を始める前の段階で「口座が凍結されている」というメッセージが表示され、凍結解除のためにお金を振り込むよう誘導されるのだといいます。
なりすまし詐欺に利用された宅配業者は、不審なメッセージを受信した場合は、URLへアクセスせず、ブロックや通報をするよう呼びかけています。
(2026年8月18日放送分より)
























