2024年10月、北海道江別市の公園で20歳の大学生が約2時間にわたって集団暴行を受け、死亡した。100回以上に及ぶ殴る蹴るなどの暴行に加え、被害者は全裸にされ、髪を焼かれていた。2026年8月7日、札幌地裁は「虐待的・拷問的」と事件の悪質性を指摘し、主犯格の男に無期懲役、当時17歳だった少年に懲役30年を言い渡した。
犯行現場には6人いたが、なぜ誰も止めなかったのか。犯罪心理学者の出口保行氏は「全国の少年鑑別所に勤務していると、こういう事件にたまに出会う。ここまで凄惨なのはないが、似たような感じの事件というのは多くある」として「仲間内でやるリンチというのがある。それにこの事件は似てはいる。その時に、暴力であったり攻撃行動というのがどんどんエスカレートしていくという現象が起きる」と説明。
「『何人もこんなにいて』という話になりやすいが、何人もいるからこそ止まらないという行動がたくさんある。心理学の中ではそれを集団圧力という言い方をする。周りの目が気になるので、自分だけ行動を止めることができないという現象が起きてしまいやすい。さらにエスカレートしていくという現象が起きる。集団圧力の背景にあるのは、さらに同調バイアスというバイアスがあって、人に合わせなきゃいけない、もっとすごいことをしなきゃいけない、自分の存在を出していかなきゃいけない。そういう悪循環に入ってしまう」
「これもよく言うが『グループシンク』と言って、集団の中の考え方みたいに『やめたほうがいいんじゃない』とか『ヤバいんじゃない』というような異論をはさむことができなくなってしまう。そうするとどんどんエスカレートしてしまって、最後相手が亡くなるところまでいってしまう。そういうエスカレート型の犯罪というのは基本、青少年には非常に多い。今回もやはり多くの人間が未成年であったり、成人だといっても未成年からちょっと上がったぐらいの年齢なので。やはり集団でのエスカレートがあったのだろうと非常に痛感するところ」(出口氏)。
主犯格の川口侑斗被告と少年B、C、6人の内3人は被害者と面識がなかった。面識がない相手に対してそこまでできるのか。「集団の中で1人『この人を襲撃する』『被害者にする』と決めた時に、集団側の方の関係性が深いか浅いかというのはあまり関係なくなってしまう」。
「学校内でのいじめも似たようなところがあるが、いじめる側にいるのか、いじめられる側にいるのかで立場が全然違ってしまう。多分この場面でも、そこで一抜けするとなったら、自分が今度は被害者側に回るかもしれないという危機感というのは非常に強かったと思う。だから同調バイアスというのが非常に強く働きやすい。ここで異論を唱えられない、このまま突っ走るしかない、そういうような状況があったのだろう」と分析した。
さらに、「最初からこの結果を予測して動いていたなんてことはあり得ないと思う」と自身の考えを述べた出口氏は「やっていく中で徐々にエスカレートしていったのだろう。それぞれの人間が自分がここまでやるとも思ってなかっただろう。ただ、やっていることは事実で、その中でエスカレートしてさらに自分の存在というのを引き立たせようとしていた。そういうような心理は当然働いていた」と語りつつも、「最初は考えていなかったからといって、じゃあ罪が低くなるのかといったら、それとは全く話は別」と指摘した。
(『ABEMA的ニュースショー』より)