社会

ABEMA TIMES

2026年8月20日 07:00

施術料金1.9万→30万円に? 密室で高圧説得、“医者以外”の違法カウンセリングも…美容医療業界にはびこる“アップセル”問題とは

施術料金1.9万→30万円に? 密室で高圧説得、“医者以外”の違法カウンセリングも…美容医療業界にはびこる“アップセル”問題とは
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 美容外科業界で“アップセル”と呼ばれる営業手法が問題視されている。ネット広告などで格安の施術プランを打ち出して集客し、来院した患者へのカウンセリングで高額なプランへと誘導する手口だ。SNSには「1万円の体験プランで行ったら40万円の契約を迫られた」「アップセルを拒否したら何時間も待たされた」といった体験談が相次いでいる。

【映像】施術料金1.9万→30万円に? 被害当事者が語った“手法”

 こうしたトラブルを回避するにはどのように行動すればよいのか。『ABEMA Prime』では美容医療のカウンセリングで3時間帰れなかった経験を持つ当事者と、美容外科医とともに考えた。

■「1.9万円で来させて、30万円を取りにいく」アップセルの狙い

アップセルにおける広告の例

 はるかさん(仮名)は数年前、片目だけ二重にしたいと思い、ネットで見た約1万9000円のプランを目当てにクリニックを訪れた。しかし、カウンセリングが始まると次々とプランが加算され、「あなたの目だと30万円はかかる」と告げられる。納得できずに帰ろうとすると、2人がかりで引き止められ、3時間ほど帰れない状態が続いた。「身分証を出すように言われ、返してもらえなかった。免許証を返してくださいと言っても、こちらもあなたのために時間を取っているんだからと言われた」と振り返る。さらに最終的には「あなたの目の形だと30万円でも可愛くなれないから」と暴言のような形でさらなるアップセルを求められ、無理やり帰ってきたという。

 動画などでアップセルへの注意喚起を続ける、アマソラクリニック院長の“ドラゴン細井”こと細井隆氏は、アップセルの構造について「安く見せて来店させ、そこで本来取りたい値段を提示する。クリニック側は来店にかかる広告費を回収しなければならないが、1万9000円のプランで帰られたら赤字になる。だから(クリニックに)来させておいて、そこで実際に取りたい金額を取りにいく」と解説。さらに長時間拘束については「カルト(宗教)もよくやる“軟禁手法”だ。同じ場所で同じ話を聞き続けると思考力が鈍くなる」と、その狙いを明かした。

 「指名料のある特別なドクターが担当してくれる」といった説明についても、「そんなものは存在しない。アップセルをやっているようなクリニックのドクターは総じて技術が低い。本当に腕のいい先生は、詐欺的な広告を出さなくても集客できる。カウンセラーという営業スタッフに頼らないと仕事が来ないようなドクターが、そういうところに回されている」と断言。

 なお厚生労働省によると、患者の希望を聞き取ったうえで治療方法を提案・決定することは医療行為とみなされ、医師以外が行うと違法になるが、美容外科業界では無資格のカウンセラーによるカウンセリングが横行しているという指摘がある。

■「“情弱”を狙っている。知識があれば回避できる」

美容医療の一般的な相場(細井氏)

 アップセルがなくならない理由について、細井氏は「大手の検索プラットフォームに広告が掲載されていたら取り締まることができるが、SNSの場合はほぼ無法地帯。規制が物理的に追いつかない。国の規制が形骸化している部分がある」と指摘する。

 プロデューサーの若新雄純氏は、医師ではないビジネス関係者が医療分野に参入するケースにも言及。「金さえ儲かればいいっていう医者を見つけろ、みたいなビジネスマンというか企業家たちが現れて、今度また名前貸してくれる医者見つけたって言って、こぞってそこに集まって」と説明し、「お医者さんとか医療っていうものを使って、めっちゃ稼げるじゃんっていうのに気づいた」と指摘した。

 これについて細井氏も同意し、「非ドクターがオーナーのクリニックはさらにエグい。医療倫理を完全に無視してビジネスをやれる分、競争力がある。ドクターがオーナー権を持っているところがまだギリギリセーフ(の倫理観を持つクリニック)だ」と言い切った。

 美容医療を受ける側の情報不足についても議論になった。サイバーセキュリティアドバイザーの辻伸弘氏は「受ける側と施術する側の“情報の非対称性”が大きすぎる。何も知らない状態でお医者さんに言われたらそうかと思わざるを得ない」と話す。細井氏は「アップセルをやっているところは、知識のある人を狙っていない。TikTokの広告を見てきた若い子や、テレビCMを見てきた高齢の方など、事前に調査していない人たちを狙っている。知識のある人は比較検討するから、安易に高額な施術料を取れない」との私見を述べた。

 では、どうすれば強引な勧誘から逃げられるか。細井氏は「私はクレジットカードを作れない、ブラックリストに載っていると言えば、医療ローンの審査が通らないためリリースせざるを得なくなる。また、パートナーや親が最終的な決定権を持っており、『私には決定権がない』と断言することも有効だ。絶対に無理だと伝えれば、時間をかけても意味がないと判断する」と、力技ともいえる具体的な“マジックワード”を提案していた。

(『ABEMA Prime』より)

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