檀家さんの減少や後継者不足から、お寺の存続が危ぶまれています。
どのように乗り越えていけばいいのでしょうか。
さらに、文化庁が注意喚起している、お寺の売買についても見ていきます。
■“住職いない寺”背景に檀家減&後継者不足“放置”の恐れも
全国のお寺の現状です。
2025年度の、お寺の数は7万6390カ寺。
過去10年間で全国864の寺が、存続困難になり“消滅”しています。
“消滅”しなくても課題があります。
存続する寺のうち、約2割(約1万7000カ寺)は、住職が常駐していない『無住寺院』です。
こうした状況になる背景です。
・檀家の減少で収入が減る
・後継者不足
・災害で破損したあとに、放置される
・納骨堂建設などの新事業に失敗
お寺の経営についてです。
お寺の主な収入は、葬儀や法事で檀家さんから受け取る『お布施』と、お墓や納骨堂の清掃などで、檀家さんから受け取る管理費の『護持費』です。
お寺の損益分岐点と言われるのが、檀家300軒です。
約300軒の檀家がいないと、お寺の経営は成り立たないといわれています。
文化庁によると、4割を超える寺で年間の収入が300万円未満だということです。
宗派別の、後継者が決まっている割合です。
浄土真宗本願寺派は44.3%。
浄土宗は、52.2%。
日蓮宗は、54.8%。
「2025年、試算したところ、2060年ごろには、住職がいないお寺が4割以上(約3万5000)になると予測」しています。
「住職が亡くなり、寺(宗教法人)の解散手続きを行う関係者がいなくなるため、放置され、解体できない寺が増えていっている」ことだといいます。
■仏像盗難 山火事 クマ被害も!?『無住寺院』に潜むリスク
実際のケースを見ていきます。
「うちのお寺には普段、住職がいない。何かの時は、東京からかけつけてくれているが、来られない時は、他のお寺のお坊さんに頼んでもいいものか」
無住寺院でまさかの出来事です。
和歌山県海南市の『浄福寺』では、2025年12月、新年の準備のため寺を訪れた檀家のAさんが異変に気付きました。
寺の中を確認すると、阿弥陀如来立像など、仏像3体が盗まれていました。
お寺は標高約230メートルの山あいに位置していて、全5軒の檀家さんが寺に集まるのはお盆と新年の年2回のみでした。
「まさか盗まれるとは思わなかった。とにかく早く戻ってきてほしい」と話しています。
『無住寺院』では、こんな影響も出ています。
秋田県横手市の『観音寺』では、2025年10月、寺の敷地に親子とみられる3頭のクマが居座りました。
付近の小学校は臨時休校になりました。
さらに、三重県木曽岬町の『柏林寺』では、2022年7月、近隣住民が火の手に気づき通報。
しかし、本堂のほか寺院の敷地内の建物が全焼しました。
「山林と集落が接する立地に多く点在する寺院が、急速に無住・廃墟化する中で、獣害・火災といった危険性が増している。特に深刻なのは、空き寺には初期消火を担う人がいないという問題。無住寺院が、大規模山林火災の火種になりかねない」
■「寺売らないか」ブローカー暗躍 脱税やマネロン悪用目的も
寺の存続が危ぶまれる中、「寺を売らないか」とアプローチしてくるブローカーもいるといいます。
「月に1度くらいのペースで数社から『お寺を売りませんか』というメールが来る。お寺の売り手と買い手を結ぶブローカーを名乗る人物から直接『売らないか』と声をかけられたこともある」ということです。
売買の一例です。
鵜飼さんによると、地方寺院は、数百万から2000万円ほど。
都市部の立地の良い寺院では、数億円単位だといいます。
買い手の目的です。
宗教法人は、お布施やおさい銭など、宗教活動による収入は非課税です。
さらに、その他34の収益事業、例えば 物品販売業、不動産販売業、倉庫業、駐車場業などでも、税制上の優遇措置があります。
これらの収益事業から得た収入に対し、宗教法人の法人税率は、最大19%。
ちなみに一般的な株式会社の法人税率は23.2%です。
宗教法人は税制上、多くの優遇があると言えます。
『実際には宗教活動は行われず、宗教法人格が、脱税やマネーロンダリング等の違法行為に利用されるおそれがある』
「宗教法人格を売買するという行為は、まったくウェルカムではない。やはりそういうことがあること自体を問題意識をもって取り組んでいきたい」としています。
7月31日、文化庁は活動実態のない宗教法人の不正利用防止を議論する2回目の検討会を開きました。
年内をめどに不正利用の判断基準を示すガイドラインを策定する方針です。
「ここ2年ほどインターネット上で宗教法人の売買を仲介する業者が増え、今や20社ほどのブローカーが存在する。買い手は、税制上の優遇措置を悪用し、脱税まがいの行為をするケースがみられる」
■お寺“消滅危機”脱却へ 『座禅サウナ』『お寺ホテル』で存続へ
消滅の危機から脱却するためのお寺の取り組みです。
ケース1、秋田県男鹿市の雲昌寺です。
境内にあった1株のアジサイから地道に株分けして、約2000株に増やしたところ、SNSで話題を呼び、年間約4万人の参拝客が訪れる寺になりました。
ケース2、和歌山県那智勝浦町の大泰寺です。
檀家消滅などを受け、存続のため、2019年に宿防を開設。
その後も敷地内にキャンプ場や座禅ができるサウナなどを設置しています。
「宿坊は2部屋あり、利用はほとんどがインバウンド客で稼働率は7割から8割程度。キャンプ・サウナは日本人の利用が多い。夏の繁忙期と冬の閑散期の差が激しく、この冬、トレーラーハウスを導入し、宿坊を4部屋に増やす予定。経営はまだこれからという感じ」だということです。
ケース3、大阪市の三津寺です。
老朽化による建て替え時期を迎えた際に、耐震補強を施して、本堂を移設。
お寺を取り囲む形でホテルを建設し、“寺院一体型ホテル”として運営しています。
お寺とホテルの、それぞれのメリットです。
お寺側は、所有する土地をホテルや商業施設に貸し出し、土地代を得て存続できます。
ホテル側も、大阪の中心地で営業ができます。
「お寺は企業と違い。数年から数十年単位ではなく、数百年先を見据えたビジョンを描く必要がある。人口減少社会では、無理に檀家さんを増やそうとするのではなく、お寺の規模を縮小しながら、低空飛行でも存続できる形に持っていくことが現実的な“守り方”」
(「羽鳥慎一モーニングショー」2026年8月20日放送分より)
















