社会

ABEMA TIMES

2026年8月22日 11:00

「9歳のとき急に体を触られ…」父親から性的虐待 15歳で妊娠、中絶も「信じてもらえなかった」当事者が語る“密室の家庭”とSOSが届かない構造

「9歳のとき急に体を触られ…」父親から性的虐待 15歳で妊娠、中絶も「信じてもらえなかった」当事者が語る“密室の家庭”とSOSが届かない構造
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 全国の児童相談所に寄せられる虐待相談件数は増加傾向にある。中でも深刻な問題となっているのが、家族からの性的虐待だ。

【映像】15歳で父の子を妊娠…声を上げた当事者

 警察庁によると、親など養育する立場を利用した性的虐待の摘発は増加しており、被害者のおよそ7割が実子または養子だという。しかし専門家は、こうした数字はあくまで氷山の一角に過ぎず、実際の被害はさらに多いと指摘する。『ABEMA Prime』では、家庭内性被害の潜在化の構造と、SOSをどうキャッチするかについて考えた。

※本記事には虐待に関する具体的な内容が含まれます。フラッシュバックなどを引き起こす可能性がありますので、不安を感じる方は、無理をせず閲覧をお控えください。

■「夜になるとお酒に酔った父親が暴れていた」当事者が語る家庭の実態

父親から性虐待を受けた当事者が声を上げた

 今回、当事者として声を上げたのが、幼少期から父親に性的虐待を受けてきたカナさん(20代・仮名)だ。一見、何不自由なく見える家庭で育ったが、家庭の中では父親からの身体的暴力が日常的にあり、9歳の頃から性的な被害が始まった。15歳の時には妊娠が発覚し、独りで抱え込んだ末に中絶手術を経験。その後もオーバードーズやリストカットを繰り返し、自殺未遂にまで至った。学校、児童相談所、警察と複数の機関に相談したが、いずれも信じてもらえなかったという。

 当時の状況について、「アルコール依存症の父親がいて、幼少期から身体的な暴力はずっとあった。9歳くらいになると急に体を触られるようになって、その後、性行為を無理やりされるようになった」「夜になるとお酒に酔った父親が暴力を振るってきたり、リビングで暴れていたので、とにかく夜が怖かった」と振り返る。

 母親は父親のDVを受けるストレスから、カナさんへ暴力の矛先を向けるようになっていったという。さらに、「母親が海外に仕事で行くことが多く、ほとんど家に帰ってこない状況だったので、母親にはなかなか相談することができなかった」と話す。

 15歳の高校1年の時に体に違和感を覚え、インターネットで調べると妊娠の可能性に気づいた。「頭が真っ白になった。どうしたらいいかがわからなくて」と当時を振り返るカナさん。妊娠の相手は、性的虐待を繰り返してきた実の父親だった。父親に事実を告げると、「なんで妊娠したのか、なんでちゃんと薬を飲んでいなかったのか」と怒鳴られ、殴られたという。「父親も当時パニックになっていたのと、お酒も飲んでいた。ストレスのサンドバッグとして私は使われていたので、怒鳴られる形になった」。当時、母親は仕事で海外にいたため、妊娠も中絶も今に至るまで知らない。

■「信じてもらえなかった」??学校・児童相談所・警察、相談を繰り返した末に

親族が摘発されるケースが増えている

 カナさんは6歳の頃から学校の先生に相談を試みたが、「両親がいる、ちゃんとした職業についている、ということもあって信じてもらえなかった」と語る。自ら児童相談所に電話した際も、「家庭訪問に来たことがあったが、家の中が片付いているということもあって、虐待するような親には見えない。『良いご両親ですね』と言われた」。

 14歳の頃に家出をしたところ、親が捜索願を出して警察に保護された。取調室で性的被害を受けていることを話したが、「信じてもらえなかっただけでなく、どういうことをされたのかを警察官の目の前で再現しないと信用できないと言われ、そのまま自宅に返された」という。

 こうした状況を受け、児童精神専門医の古橋功一氏は、「カナさんが経験されたこと(学校・児相・警察への相談)は本当に残念な対応だったと思う。近年、各機関で子どもの性暴力被害・性的虐待に対する知識や対応をきちっとしなければならないという動きが進んでいて、私の感覚ではこの5年ぐらいでそういった話はあまり聞かなくなってきた。ただ実際のところ、担当者によっては残念な対応をされてしまうケースはまだなくなっていない」と実態を述べる。

 古橋氏は自身の立場についても言及し、「私は医者なので、不適切な対応をされたら警察でも児童相談所でも学校でも電話して、『医者から見てこれは虐待です、性的暴力被害がありますからきちっと対処してください』と申し入れをして対処することはやっている。しかし子どもがご自身で行くとなると、なかなかまだ信頼してもらえないという状況がある」と説明する。

■なぜ家庭内の性被害は表面化しないのか??密室構造とSOSの受け皿

“性的グルーミング”も深刻な問題に

 なぜこうした被害が潜在化するのか。古橋氏は「子どもにとって家庭そのものが唯一絶対の世界なので、他の常識を知ることもなく、他に相談するという感覚がそもそもない、という大前提がある」と指摘。また、「年少の子どもは、されていることが性的な問題だということがわからない。遊んでもらっている、楽しませてもらっているという認識の子もいる」と分析する。

 加えて“グルーミング”の問題も挙げた。「小遣いをあげたりおもちゃを買ってあげたりして喜ばせる一方、『こんなことを喋ったら家が崩壊する』『お父さんお母さんが離婚する』と言い聞かせるケースもある。そういう経過をたどると、子どもは自分が悪い、人に相談してはいけないという気持ちになっていく」。

 カナさん自身も、「やっぱり子どもは知っている世界が狭いので、家庭内で起きていることは、どこの家庭でも同じように起きているんだろうなという認識があった。洗脳のようになっていた」と明かす。

 そのような状況の中「なにか支えはあったのか」と問われると、「日本で安心して生きることができないなら海外に行けばいいという考えはずっとあった。高校を卒業したら海外に行くというのがあった」と答える。

 カナさんは今、SNSやブログで自身の経験を発信している。最後に今被害を受けている子どもたちへ、「相談できる大人が身近にいるなら、我慢せずに相談してほしい。もし相談できる大人がいないのであれば、SNSなどに自分の気持ちを発信して、今少しでも自分の中から嫌な気持ちを吐き出してほしい」と訴えた。

(『ABEMA Prime』より)

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