発達障害のある人が子どもを持つことに対し、心ない批判がSNSやネット上に広がっている。忘れ物や衝動的な行動が多くなりがちなADHDや、コミュニケーションが苦手でこだわりが強くなりやすいASD。こうした特性を持つ当事者の中には、子どもを持つ・持たないという選択に向き合う人もいる現実がある。『ABEMA Prime』では、ADHDの特性を持ち、生きづらさゆえに「子どもを持たない」選択をした結婚7年目のみもさん(32)をゲストに迎え、発達障害と子育てをめぐる問題を考えた。
■「消えたいぐらい悩んだことがある」

みもさんが子どもを持たないと決めた背景には、自身がADHDの診断を受け、特性と向き合うなかで経験した深刻な生きづらさがある。
「ADHDという特性のせいで自分自身がすごく生きづらかった。特に仕事でミスがすごく多くて、周りから白い目で見られるみたいなことがすごく辛くて、消えたいぐらい悩んだことがある」。
そのうえで、子どもを持たない理由をこう説明する。「自分が子どもを産んだとき、もし自分と子どもが同じ道をたどって、子どもも消えたいと思うようになってしまったら、すごく責任を感じてしまう。それが第一にあった。もう一つは自分で生活するのが手一杯なので、子どもを育てるほどの余裕が持てない」。
急な予定が入るとパニックを起こしやすいことや、子どもが熱を出したときに対応できないかもしれないという不安、ママ友付き合いへの苦手意識も、子どもを持たないと決めた理由の一つだ 。結婚前に夫にも子どもを持たない考えを伝えていたが、後になって夫が「子どもが欲しかった」と打ち明けられ、みもさんは「本当に申し訳ない」と話す。
支援として何があれば変わるかという問いには、「自分のことがすごく嫌い。だから、自分みたいな子どもが生まれたら『地球に悪い』みたいな考えがある。だから当事者の傷ついた心をケアするということが大事だと思う」と述べた。
発達障害を持ちながら2人の娘を育てるナレーターの中村郁さん(46)は、みもさんに向けてこう語りかけた。「私も自分一人の時は自分のこともままならないし、結婚することも考えていなくてずっと一人で生きていこうと思っていた。でも子どもを授かってからお腹の中に命が宿った瞬間に意識が全く変わった。この子を守るためなら何でもできると思えた。私は自分がすごく不安だと伝えて産後ケアのサポートを受けることもできた。だから、不安な気持ちはすごく分かる」。
生きづらい子育てピアの会東京代表の水月琉凪氏は、みもさんの「心のケアが必要」という言葉を受け、当事者同士で語り合える場の重要性を強調する。「当事者同士で相談し合える環境がすごく大事。同じ思いをして、同じ苦しみを知っていて、同じ経験をしている当事者だからこそ分かり合えることってすごくあるし、その人の言葉はすごく心に響く。安心して話せる人がいるというのは、すごくメンタルのケアになるんじゃないか」とした。
現状の支援体制については、「妊娠中に保健師に『こんなに困っている、こんなに不安だ』と伝えることでサービスが始まる。まず地域の保健所に行き、保健師に相談することが一番の早道」だと紹介していた。 (『ABEMA Prime』より)