夏休みが終わりに近づき、新学期を前に「学校に行きたくない」と口にする子どもは少なくない。不登校の子どもの数は過去最多を更新し続けており、その要因は友人や先生との関係、体調不良などさまざまだが、およそ4割は本人にも理由がわからないという。
子どものためを思ってかけた「行ったら楽しいよ」「今日は頑張っていこう」。しかし、その言葉を今も後悔している親たちがいる。ある調査では、行きたくないと訴える子どもに登校を促したことを、7割の親が後悔しているという。
『ABEMA Prime』では、不登校の子どもと向き合う親の後悔について考えた。
■「前日から準備していたことがプレッシャーになっていた」

息子(現在小学3年生)が入学直後から「学校に行きたくない」と言い始めたという土屋さん(36)。共働きの家庭で、朝バタバタしないよう前夜から登校の準備をしていたという。
「共働きだったこともあり、親の都合で申し訳ないが、前の日から『明日は学校行くの?』と聞いて、ランドセルの準備もしていた。それがかえって、前の日から本人にプレッシャーを与えていたのではないかと後悔している」
1年生の2学期からは、1年間にわたって親子一緒に授業を受けた。「それもかえってプレッシャーに感じていたのではないか。息子としては『無理やり学校に連れて行かされた』という思いも、もしかしたらあるのかもしれない」。
宿題を一緒にやり、算数でわからない箇所が出ると「ほら、学校に行ってないからだよ」と口にしてしまったこともあった。ある日、息子から「もう学校の話はしないで」と告げられた。押し入れからは、買った時のままの新品同様のランドセルと、一度も使われていない連絡ノートが出てきた。
■「わがままに見えた息子が『優しい子』だったと腑に落ちた日」

アキさん(35)には、中学2年生になる息子がいる。小学5年生で不登校になった当時、目の前の息子よりも「周囲の目」を気にしてしまったと明かす。
「ママ友やご近所、自分の両親など、周囲の目がとにかく気になった。テレビやニュースで不登校が話題になると、『ひきこもり確実だよね』『将来大丈夫なの』という会話になる。世間の目を感じるのがすごくつらかった」とアキさんは振り返る。
息子は「お腹が痛い」「頭が痛い」とサインを出していたが、アキさんは「勉強が遅れる」「習い事の試合に出してもらえない」などと伝え、登校を促していた。「脅すことでしか動かし方を知らなかった。小5だった息子をどれだけ傷つけたのだろうと思う」。
しかしある時、息子への見方が変わった。「“わがまま”や“甘え”だと見てしまっていた。でもふとした時に『お母さん大丈夫?』と気遣ってくれて、そういえば息子は優しく、家族思いで、人に気を遣えるいい子だったと腑に落ちた日があった。そんな子を、自分の価値観で無理やり行かせて、うずくまって泣かせて、身体症状が出るほど追い詰めているのだと愕然とした」。そこからアキさんは、「行かなくていいよ」とようやく口にできたという。
■「学校ってそんなに楽しいことが大事なのか」

カウンセラーとして不登校児の心理や保護者支援を研究する神戸女子大学教授の伊藤美奈子氏は、親の不安を少しでも軽くすることが大切だと語る。
「子どものことを思うからこそ不安になり、焦る。最初は『無理やり行かせて……』という葛藤を経験することが多いが、カウンセリングを受けたり、同じ立場の親同士で話したりすることで、気持ちを手放せるものがある。居場所も進路も広がってきており、『決して行き止まり』ではないという正しい情報を得ることで、親自身の気持ちが楽になる」と説明する。
さらに、「『子どもが悩んでいる時に親が笑ってはいけない』と自分を追い込む人もいるが、親がつらい顔をしているのを見るのは、子どももつらい。『自分が休んでいるせいかな』と感じてしまう。親が肩の力を抜いて笑顔になることが、子どもにも良い影響を及ぼす」と述べた。
OVER ALLs代表の赤澤岳人氏は、「『学校に行けば楽しいことがあるから』という説得もあるが、“楽しい”という概念も危険だ」と疑問を投げかける。
「学校なんか楽しいわけない。好きな奴も嫌いな奴もいて、一方的に先生の話を聞いて、苦手な運動もさせられる。そんなに楽しいことって大事なのか。『正しい・間違っている』『楽しい・楽しくない』の軸ばかりで判断するのではなく、『行かなかったら暇だから、とりあえず行っとけ』くらいの感覚でもいいのではないか」
土屋さんの息子は現在、オンラインスクールに通い、笑顔が増えたという。「一つ一つの成功体験で本人も自信がついたようで、自分からサッカーの習い事をしたいと言ってきた。初めての場所を拒否する子だったが、最近は自分から新しいことに挑戦できるようになった」と語った。
(『ABEMA Prime』より)