住宅被害5万棟以上。その時、何が起きていたのか?サタデーステーションが独自に入手したのは、地震発生時、熊本県八代市で、建物が“倒壊する瞬間”を捉えた映像です。発災から1か月…複数の映像を検証して見えてきたのは、全国どこででも起こり得る、“特徴的な揺れ”の脅威でした。(8月29日OA「サタデーステーション」)
独自・建物倒壊の瞬間映像「立っていられない」
跳ねるように揺れるトラック。 その奥には、立ち上がれない人。 次の瞬間、一番奥の建物は左に傾くように崩れ… 白い煙で見えなくなりました。 番組が独自に入手したのは、 熊本地震で、3階建ての建物が倒壊する瞬間を捉えた映像です。 駐車場で倒れ込んだ人に当時の様子を聞いてみると…
「立っていられなかったので、しゃがんで逃げたような形でしたね。そうしたら煙を立てながら建物が倒れた。ちょっと離れたんですよね、怖かったので」
「揺れがすごすぎたので、この状態から動けなかった。上司がちょうど地震発生直後にプリンターの前に立っていたんですけど、非常に運動神経が良い方だけど、転げていたので、よっぽどの揺れだったんだなと」
46の“新映像”を分析「特徴的な揺れ」の正体
熊本地震から28日で1カ月。38人が死亡し、住宅被害は5万3000棟を超えています。
熊本県八代市内の地震発生当時の映像は、被害に遭いながらも復興支援にあたっている、弁当チェーン店から提供を受けました。
震度6強を観測した八代市では、震度7を観測した熊本県宇城市よりも建物被害の大きさが目立っています。
そこで、サタデーステーションは、熊本県内の12地点で、46の映像を入手。地図上に配置すると、地域ごとの “揺れ方の特徴”が見えてきました。
まず、注目したのは、震源から南へおよそ12キロ離れた、八代市内の食品工場です。積み上げられたカゴなどが、一瞬のうちに、かなり大きく横滑りしていることがわかります。 京都大学防災研究所の倉田真宏准教授に、この映像を見てもらうと…
「特徴的な地震動だと思った。急に大きな波がやってくるような1〜2回の大きな波によって、特にキャスターが付いているような機器が2〜3メートル振られる様子が見て取れた。ディレクティビティー効果の影響が強く出ている」
「ディレクティビティー効果」とは、 断層の破壊方向に進んだ地震波が重なり合うことで、より強く、より大きな揺れ幅が生じやすくなる現象です。これが、八代市で大きな被害が出た要因の一つになっているといいます。八代市付近では、実際に、揺れの周期が2〜3秒に及ぶ大きな地震波が、最初に数回、確認されました。一般的に周期が2〜3秒を超えると、高い構造物に被害が出やすいといいます。別の八代市内の映像を見てみても、突如、大きな横揺れに襲われ、被害が一瞬で広がっている様子がわかります。 冒頭で紹介した、建物の倒壊現場も八代市です。
「横に 左右に揺らされるような感覚でした」
「一瞬でほとんどが吹っ飛んでいった」
一方で、震源付近の揺れの周期は短く、1秒程度だったこともわかりました。 例えば、震度7の揺れを観測した宇城市にある歯科医院では、患者の治療中に激しい揺れに見舞われました。
「詰め物をして光で固めている途中で、とっさに(機器を)つかんだんですけど、患者さん治療中だったので、患者さんに当たらないようにしようと思ったんですけど、そういう制御が効かないくらい、持ったまま一緒に揺れていた感じでした」
「患者さんのうがいが終わって、また続きをするところで、椅子を下げようとしていた時に揺れ始めて、必死に椅子を押さえていた」
「小刻みなガタガタという揺れが顕著に見られる。一般的な地震動の揺れ方に近いかなと」
強い揺れを生み出すディレクティビティー効果。 活断層が近くにある地域では全国どこでも起こり得るといい、その存在を知り、想像力を働かせておくことが大切だといいます。
避難生活に変化も課題は水回り
県内の避難所に避難している人は およそ2400人。車中泊などでこの数字に含まれていない いわゆる“見えない避難者”の人たちの 避難生活には変化が見え始めています。 熊本県・宇城市。 自宅敷地に建った『インスタントハウス』に 入居したばかりの男性を訪ねると…
「快適だった、 エアコン効いて寒いぐらいだった」
自宅は住める状況ではなく、 地震後は車中泊・知人や息子の家に泊まるなど 点々と避難生活を続けてきました。 避難所に入らなかった大きな理由は…
「やっぱり犬を飼っているのが一番ですかね」
『インスタントハウス』は空気で膨らませ、 壁に断熱材を吹き付けるなどして 数人がかりで1〜2時間で完成。 早い支援と手軽さが魅力です。
「自宅の敷地内駐車場2台分くらいのところに建てております。9月の第1週の終わりごろに 100棟をお届けできます」
ただ、課題は水回りです。
「(風呂トイレは)息子のところ、 たまに(避難所の)中学校に行って、 あとは会社ですね」
新学期へ…登校に苦労も 今後1カ月も地震に注意
熊本県内では、 新学期を前に学校に設けられていた 避難所の集約も行われています。 まもなく夏休みが終わる高校2年の 山崎玲海さんも、 不便な新学期を迎えようとしていました。
「いつもだったらJRを使うので、30分くらいで通学が済むんですけど、きょうはバスを利用するので2時間かけて新八代まで行きます」
元々通学に利用していたJR鹿児島本線が 地震の影響でレールが歪むなどし、 「宇土駅−八代駅」間で運行が取りやめに。 今週から バスによる代行運行が始まりましたが、 本来電車を使って30分程だった通学時間が 4倍もの時間がかかることになります。 被災した爪痕が残る市内。 吹奏楽部の部活動のために、 初めてバスで学校まで向かいましたが…
「毎日往復だったら4時間ぐらいなので通学、結構大変だなって感じ」
その上、放課後部活動に参加すると、 最終バスにも間に合わなくなるため、 保護者の送迎に頼る日も。 電車の運行再開は10月中旬めど。 それまで1カ月以上、 こうした制限された生活が続きます。
「大変だと思うけど 早く(電車の)運行が復旧して みんなで早く元通りの生活、練習時間を戻せるような環境になって欲しい」
気象庁は、 今後も引き続き1か月ほどは 最大震度5弱以上の地震に 注意が必要だとしています。