社会

ABEMA TIMES

2026年8月30日 11:30

「支援臭しかしない」トー横の若者が抱く支援への拒絶感と“居場所”を巡る大人とのすれ違い 団体・施設のあり方を考える

「支援臭しかしない」トー横の若者が抱く支援への拒絶感と“居場所”を巡る大人とのすれ違い 団体・施設のあり方を考える
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 東京・新宿の歌舞伎町「トー横」周辺に集まる若者に対し、行政やNPOによる相談対応や居場所支援が行われている。しかし、支援の手を差し伸べる大人と、当事者である若者との間には大きな意識の溝が存在する。

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 行政や支援組織に対して若者からは「支援臭しかしない」といった強い警戒感や不信感が示される一方、悪質なコミュニティから未成年を守るための居場所の必要性を評価する声もある。支援を巡る大人と若者の葛藤や適切な関係性について、『ABEMA Prime』で考えた。

■「支援臭しかしない」当事者が語る行政・支援への強い拒絶感

きみまも

 トー横に通う若者たちの間では、行政やNPOなどの支援組織に対する強い拒絶感が根強く存在する。トー横歴約3年の20歳男性・急アルゆーたぐさんは、東京都が歌舞伎町に設置した相談施設「きみまも」での実体験を踏まえ、次のように心情を明かした。

 「支援臭しかしない。1カ月ほど前に地方から出てきた友だちを連れて行った際、腕の傷を見られて開口一番『どうしたの?悩んでるの?話、聞くよ』と踏み込まれたので、『お前に何が分かられるのか』と感じた。行政側は支援臭をなくそうとしていると言うが、こちらとしては支援臭しかしない。悩みを聞かれてもどうせ無駄だと思ってしまう」。

 急アルゆーたぐさんは、大人からの過剰な介入に対して疑問を呈し、「基本的には干渉せずに放っておいてほしい。ただ、自分から『どうやって稼げばいいか』『どうすれば幸せになれるか』と助けを求めてきた時には、その方法を教えてほしい」と述べ、当事者主体の関わり方を求めた。

 若者側から「支援臭」と警戒される行政施設だが、その存在意義を評価する見方もある。歌舞伎町の現場を取材するライターのツマミ具依氏は、当事者の不満に理解を示しつつも、公的施設の一定の役割を主張した。

 「きみまもについての批判も分かるが、役割として歌舞伎町の危険なコミュニティから若者を遠ざけたという意味で非常に大きな功績があった。これまではシネシティ広場に集まるしかなかったが(夏は)涼しく、(冬は)暖かい場所に移動することで、いたずらに人が増えるのを防ぎ、『悪い大人』と言われるコミュニティから距離を置くことができた。今後も必要な場所だ」。

 一方で、税金を投入して運営される行政施設としての立ち位置の難しさについても議論が及んだ。トー横歴約5年の25歳男性・うにさんは、「東京都や新宿区が億単位の公金を投じている以上、施設内でオーバードーズを目的とした薬の売買や違法薬物の斡旋、売春などが行われれば運営できなくなる。行政が運営する以上、一定の厳しさやルールが必要になるのは当然だ」と指摘した。

 また、衆議院議員で子どもを支援するNPO法人などでも活動した大空幸星氏は「行政は税金を使う以上、問題を解決して社会的に自立させるといった『プラスの変化』を求められる。しかし、トー横に必要なのは『死ななければいい』という『ゼロの支援』だ。行政にはそれが難しいため、行政とトー横の中間に立つ民間NPOなどを公的に支援していく仕組みが必要だ」と構造的な課題を語った。

■「頼っても今までの生活が失われる」制度の壁と若者の不信感

清水葵氏

 支援を求めたとしても、現行の公的制度や行政システムが若者の望む形で機能していないという指摘もある。トー横歴4年の20歳男性・コイキさんは、過去に支援を頼った際の実情を語った。

 「家庭内の暴力や親とのトラブルで支援団体に相談しても、児童相談所につながれるとスマホは没収され、学校にも通えなくなる。助けを求めた結果、今までの生活や教育機会を切り捨てなければならず、かえってストレスの多い環境に追い込まれることがある。これでは頼っても何も解決しないと無力感を抱いてしまう」。

 さらにコイキさんは「未成年の時だけでも、周りの子が送っているような普通の生活を維持できるような強い支援であってほしい。困った時に手を差し伸べたのなら、今の環境を破壊せずに守り続けるような行政の強さが必要だ」と語り、柔軟性のない制度に対する苦言を呈した。

 当事者側の「放っておいてほしい」「自分から助けを求めた時だけ対応してほしい」という意見に対し、EXIT・兼近大樹は、放置することの危険性を訴えた。

 「『助けて』という言葉自体を知らない子どもたちがいる。文字が書けない子もいる中で、声をかけられた時だけ手を差し伸べるのでは遅すぎる。一度、悪質な方向へ走り出したら、二度と戻ってこられない可能性がある。関わってほしくない気持ちは理解できるが、大人がアプローチし続けることは必要だ」。

 兼近氏は自身が過去に多くの大人から粘り強く注意を受け続けた経験に触れ、「何年もかけて言葉が蓄積されたことで変わることができた。本気で向き合ってくれた大人の言葉は響く。そのバトンを次の世代に渡していくことが大切だ」と語った。

 また、歌舞伎町で支援を行う「日本駆け込み寺」の清水葵氏は、「『支援する側と支援される側』という上下関係ではなく、対等な関係で接したい。相手の性格や状態を見極め、駆け引きをしながら少しずつ距離を詰めていく必要があり、信頼関係を築くには時間と忍耐がかかる」と現場での葛藤を明かしていた。 (『ABEMA Prime』より)

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