社会

ABEMA TIMES

2026年8月31日 11:30

トー横に入り込む悪意への対処法 現場を見たライターの提案「いかに普通の大人を入れて悪意の濃度を下げるか」黒からグレーにしていく現実的アプローチ

トー横に入り込む悪意への対処法 現場を見たライターの提案「いかに普通の大人を入れて悪意の濃度を下げるか」黒からグレーにしていく現実的アプローチ
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 東京・新宿の歌舞伎町「トー横」周辺では、買春や薬物、海外での特殊詐欺などへ若者を誘い込む悪質な大人が存在する一方で、支援者を名乗る人が不祥事を起こす事例も発生し、若者たちの大人に対する警戒感が高まっている。

【映像】歌舞伎町のホテル街にたまる若い女性たち

 悪意を持った大人を街から完全に排除することが困難な環境において、危害から当事者を守るために周囲の大人はどのように関わるべきなのか。悪意の排除ではなく「普通の大人を入れて濃度を下げる」という現実的なアプローチや、支援者に求められる適切な距離感について、『ABEMA Prime』で議論が行われた。

■悪意ある「黒」の存在と支援者を装う大人への不信感

トー横の若者たち

 歌舞伎町のトー横周辺には、居場所を失った若者たちの孤独や困窮につけ込み、売春や違法薬物の売買、さらには海外での特殊詐欺の「かけ子」などに誘い出す悪質な大人たちが存在する。一方で、若者を救済・保護する立場にあるはずの支援者側にも問題が生じており、当事者である若者たちの大人不信を深める要因となっている。

 NPO法人での活動歴もある衆議院議員の大空幸星氏は、トー横内部で起きている大人に対する警戒感の背景について次のように解説した。

 「支援者を名乗りながら犯罪行為をしていた事例があった。そのあたりから『支援者を名乗る』ということ自体が非常に難しくなった。自分が『安全な大人だよ』と言えば言うほど、当事者からは怪しまれてしまうという現象が、トー横の中で起きてしまっている」。

 悪意を持つ大人が若者を利用するだけでなく、善意の支援者を装った犯罪事例が相次いだことで、若者たちの警戒心が強まり、正しい支援の手すら届きにくくなる構造的な難しさが浮き彫りとなっている。

 若者たちが大人全体への不信感を強める中、完全な善意や正論を掲げてアプローチする「真っ白な支援者」で、信頼を得ることができるのだろうか。

 大空氏は、支援者が現場に介在する際のスタンスについて、当事者と同じ空間に違和感なく溶け込める「グレーな存在」として緩やかに関わっていく姿勢が求められていると話す。

 「支援者自身も真っ白な存在ではない。いきなり真っ白い人が現場に入っていくのは難しい。だからこそ、東京都の相談施設『きみまも』も含めて、自分たちをグレーな存在にしていきたいと思っている。真っ白な存在としてではなく、現場の雰囲気に溶け込んでいくような存在を少しずつ増やしていきたい」。

■「悪い大人を排除するのではなく濃度を下げる」現実的アプローチ

兼近大樹

 悪質な大人が街から消えない現実に対し、具体的な解決策として「悪意の濃度を下げる」というアプローチが提示された。歌舞伎町の現場を取材し、若者たちと交流を続けるライターのツマミ具依氏は、次のように提案した。

 「歌舞伎町において、悪い大人を完全に排除するのは非常に難しい場所だ。だから解決策の一つは、いかに普通の大人を入れて全体の濃度を下げるかだと考えている。私自身も無害な大人として友達のようなスタンスで関わり、必要に応じて適宜支援団体につないだり、役所の手続きを手伝ったりといった活動をしている。そうした普通の関わり方をする大人が少しでも増えればいい」。

 この提案に対し、EXIT・兼近大樹も深い理解を示し、次のように同調した。

 「本当にその通りだと思う。黒に近いものに対し、少しずつ白いもの(普通の大人)を入れていくことでグレーにしていく。そのグレーをどれだけ過ごしやすい環境にできるかが重要だ。歌舞伎町はまさにそうした場所なのだと思う」。

■地域社会の目が失われた時代における新たな安全網

 こうした「地域の大人が関わる」ことの重要性は、現代社会全体の構造変化とも深く結びついている。

 歌舞伎町で若者支援を行う「日本駆け込み寺」の清水葵氏は、現代の子どもたちが置かれた環境と大人側の関わりについて次のように指摘した。

 「核家族化が進んだ結果、今の時代は近所の人とも関わりがない。一昔前であれば、近所のおじさんに可愛がってもらったり、親と喧嘩した時に『うちに泊まっていけ』と言ってくれる大人がいた。しかし現在では、親以外に相談できたり愛を感じられたりする大人がほぼいない。SNS上で他人と比較し、自分という存在を見失ってしまう若者が増えている。『あなたを見ているし、どんなあなたでも受け入れるよ』という居場所をあちこちに作っていくことが必要だ」。 (『ABEMA Prime』より)

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