台風や雨、猛暑など相次ぐ極端な気象が道路や鉄道、空港といったインフラの危険性を高めています。
路面が損傷 飛行機立ち往生
今年7月、日中の羽田空港。滑走路が閉鎖され行われていたのは、路面の修復作業。滑走路で直径20センチ、深さ5センチほどの穴が見つかったのです。この作業により、運航ダイヤが大幅に乱れました。
「暑さが原因で路面にひび割れが生じた。その亀裂に水分の浸入と航空機が繰り返し走行した結果、破損した」
猛暑と大雨による影響は、成田空港でも見られました。
飛行機が行き交う滑走路や誘導路。サーモカメラで見てみると、飛行機が通る道は赤く、温度が高いことが分かります。
成田空港の誘導路では去年8月、記録的な猛暑でアスファルト舗装がやわらかくなり、航空機のタイヤの重さなどで路面が徐々にくぼむ「わだち掘れ」という現象が発生。わだちにタイヤがハマって抜けられなくなり、航空機が相次いで立ち往生しました。
近年の記録的な暑さで、このような路面の破損は増加傾向に。そのため、航空機が離着陸しない深夜から早朝にかけて点検を行っています。
1週間で全エリアを確認
点検は、広い空港の敷地内を7つのエリアに分けて、1週間ですべてのエリアを確認します。
この日は、B滑走路を中心としたエリア。午後11時すぎ、航空機の離着陸が終わる時間が近づくころ、車は空港の制限区域へ。空港関係者でも特別な許可を得たスタッフしか入れない場所です。
エアポートメンテナンスサービス
渡辺康二さん
「今、目の前にあるのがB滑走路になります」
滑走路に入ると、車は時速10キロ以下で走行。まずは目視で点検します。点検車両が停車、スタッフが車の外へ。以前から経過観察を続けている場所だといいます。
「こっちの方が正常な状態になります。こちらが中に空洞の方ができている箇所になります」
目視だけでなく、打音点検で異常がないかチェック。
深夜の点検作業
さらに、滑走路にとってやっかいなのが雨です。アスファルト舗装にひび割れがあると、雨水が入り込みます。
温度が上がると、水が蒸発して内部が膨張。圧力で舗装面が破損することがあるといいます。
雨が続いたり、水たまりができるような量の雨が降ったりすると、そのリスクは高くなるといいます。
その雨水が入り込みやすい場所は、滑走路や誘導路に埋め込まれたライトの周囲です。
飛行機の離着陸が始まる前には点検終了。この日、点検したエリアでは、補修が必要な場所は見つかりませんでした。
ただ、極端な気象でリスクが高まる中、これまでとは異なる対応もしているといいます。
道路工事専門の業者が毎日、熱したアスファルトを用意していつでも対応できるように態勢を整えたといいます。
「熱割れ」の危険
猛烈な暑さは“街の構造物”にも影響を及ぼしています。
粉々に割れたガラス。これは先月、韓国・釜山で撮影された高層ビルの窓ガラスです。割れた原因となったのが「熱割れ」です。
日本と同様に猛烈な暑さが続く韓国では、外の気温と冷房で涼しくなった室内との温度差によってガラスが割れる「熱割れ」と呼ばれる現象が相次ぎました。
先月31日、都内のマンションでは「熱割れ」が原因で窓ガラスが割れました。
住民によると、先月中旬ごろ猛暑日に迫る気温の中、室内の冷房を21℃に設定していたといいます。
窓ガラスの交換を行う業者によると、熱割れを起こしやすいガラスには、ある特徴があるといいます。
「熱割れを起こすのは、基本的にワイヤ入りが多い」
「(Q.熱割れしたのはワイヤ入り?)原因はワイヤ側にありますね」
火災の時に割れて飛び散ることを防ぐため、金属製のワイヤが入った「防火ガラス」です。
室内と外気の温度差に加え、ワイヤが伸縮することで熱割れが起きやすくなるといいます。
今年は、熱割れへの異例の対応が続いています。
「(Q.1日にどれくらい依頼?)コールセンターの方に連絡が(多い時に)100件前後くらいは。それはガラスだけの依頼ではないと思うが、熱割れは半数、連絡いただいている」
AIを活用し道路点検
異常な高温で道路にも異変が起きています。管理する自治体側の危機感も高まっています。
「交差点の前の右折レーンの所に段差があると思う。その一帯に少しゆがみが生じている」
宇都宮市内の県道などを点検する栃木県宇都宮土木事務所。この日、点検に訪れたのは、県道にできた「わだち掘れ」です。
暑さの影響で、アスファルトの損傷が早く進んでいるといいます。
宇都宮土木事務所では3年前から、AIを活用した道路点検システムを導入しています。
車内に備え付けられたスマートフォン。これで道路を撮影し、AIが「ひび割れ」や「わだち掘れ」など小さな異変を検知し、修繕の計画に役立てています。
路面70℃の時代
また、ハード面でも改良が進んでいます。
これまでアスファルトの道路は、温度が上がっても60℃くらいまでとされてきましたが、猛暑日や酷暑日が続出することで、70℃近くまで上がることが分かってきたのです。
10℃の違いでどれだけアスファルト舗装が沈み込むか検証した映像を見ると、路面温度60℃のアスファルト舗装では17ミリ程度でした。しかし、70℃に温度を上げると…。
「70℃だと、30ミリくらいへこんでしまいます」
10℃の違いで沈み込みは倍近くになりました。
そのため、アスファルト舗装の開発などを手掛けるニチレキグループでは、路面温度が70℃に達しても変形しにくいアスファルトを開発しています。
(2026年9月1日放送分より)
















