社会

ABEMA TIMES

2026年9月4日 11:00

米流通評論家「正直、備蓄米は出しすぎだった」高騰で備蓄米放出、今度は“米余り”で価格下落 米農家を揺さぶる価格乱高下と政府介入の是非

米流通評論家「正直、備蓄米は出しすぎだった」高騰で備蓄米放出、今度は“米余り”で価格下落 米農家を揺さぶる価格乱高下と政府介入の是非
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 2024年から2025年にかけて「令和の米騒動」と呼ばれた深刻な米不足と価格高騰から一転し、現在は民間在庫がダブつく「米余り」による価格下落が起きている。そうした中、政府は昨年放出した政府備蓄米のうち、21万トンを買い戻す方針を示した。乱高下する米の価格や政府による市場介入の是非、離農が進む日本の米農家の現状、 今後の農業政策のあり方について『ABEMA Prime』で議論が行われた。

【映像】農家が採算割れ?今年の米価格

■ダブつく在庫と下落する米価…生産コスト割れで離農の危機

政府が買い戻し

 現在、民間の米在庫は適正水準を上回り、番組では約50万トンが余っていると紹介された 。それに伴い、新米の価格は下落を続けている。

 米流通評論家の常本泰志氏は、「50万トンから60万トンは余っている状況の中で、政府が21万トンを回収しても、まだまだ余っている状況が続くため先安感がどうしても拭えない」と指摘。その上で、政府による備蓄米の放出について 「正直、備蓄米は出しすぎだったと思う。昨年、(当時の)小泉農水大臣が出した随意契約の米が先にスーパーに出荷されたことで、その年の(令和7年産)新米が全然売れず、その時点で30万トン近く余った。実際のところは新米をもう少し安い値段で流通しなければいけなかったのが、高くしすぎてしまったのが要因だ」と、過去の政府の介入が結果的に過剰供給と市場の混乱を招いたとの見方を示した。

 また、番組では、今年の新米の取引価格が生産コストを下回るケースが紹介された。浜松市で米農家を営む藤松泰通さんは、肥料や輸入資材の高騰も不安材料に挙げ、「農家の平均年齢が70歳と言われる中、この先もっと価格が下がれば離農する人が増えて、また米の価格が上がるという繰り返しになってしまう。備蓄米の議論も重要だが、農家が離農しないような対症療法ではない根源的な政策をしない限り、同じことの繰り返しになる」と現場の強い危機感を語った。

■政府の市場介入は必要か?「自由市場」か「食料安全保障」か

 政府が備蓄米の放出や買い戻しによって需給や価格に介入することに対しても、議論が交わされた。

 経済学者の柿埜真吾氏は、「農業以外の産業でも需要の過不足はあるが、いちいち政府が何かするのか。農業だけが国の保護を受けなければいけない理由は何なのか」と疑問を呈した。さらに「備蓄米のような制度を持っている国は世界に30カ国程度しかない。政府が価格を統制するのは計画経済の発想だ」と主張した。

また、政府が備蓄を持つことで民間の備蓄が本来あるべき水準より低くなると指摘し、政府による備蓄米は「いらない」と主張。 「政府の備蓄が今回の米騒動で効果的に使われなかったことは間違いない」とも述べた。そもそもの米不足についても、政府の減反政策や生産目標を引き下げすぎたことが問題だとの見方を示し、自由市場経済の枠組みで考えるべきだと指摘した。

 これに対し、2ちゃんねる創設者・ひろゆき氏は「何かトラブルがあった時のために備蓄が必要なのは、ホルムズ海峡の危機における石油の備蓄で証明済みだ」と反論。「食料に関しても、海上封鎖になる可能性がある。日本中の人が食べる量としては大した量ではないが、一定量がないと、突然輸入を止められた時にいきなり価格が急上昇する。食べ物の値段を民間だけに任せると、米も1キロ1万円や5万円で売る者も出てくる。貧しい人でも食えるようにするためには、やはり一定の量の政府備蓄が必要だ」と、食料安全保障の観点から介入の必要性を強調した。

■市場任せにできない理由…「山間部の農地」が担う役割とは

スーパーでの価格推移

 議論は、日本の農業が抱える構造的な問題にも及んだ。柿埜氏が「経営のコストを下げるには大規模化すればできるのに、政府がそうならないように支えている」と指摘したのに対し、現場の実態を交えた反論も飛んだ。

 ひろゆき氏は「机上の数字だけで考えた場合には言えるかもしれないが、大規模な農地が作れない山間地の人たちが全員耕作放棄したら、土砂崩れも起きるし動物も出てきて、平地の大規模な田畑の生産性も下がる。山間地の生産性の悪いところがなくなっても成立するというのは机上の空論だ」と指摘。

 常本氏もこれに同意し、「中山間地は基本、山の裾であり、機械化も大規模化もできず生産効率が低い。しかし『田んぼダム』という形で土石流を防ぎ、里山を守る努力をしている方には別の補助金を出すべきだ」と語った。

 さらに藤松氏は、離農による過疎化への懸念について、「過疎地がどんどん増えると、獣害などの問題が起こる。そうすると日本の自然が失われ、米作りから生まれた町や村の文化や祭りも全部失われてしまう」と、単純な経済効率だけでは測れない農業の多面的な価値について訴えた。

 また、ひろゆき氏は現在の農業が直面する現実について、「中山間地で先祖代々続いているものを、安い給料やほとんど売り上げがない中で高齢者の方々が続けてくれているから、今の日本の農業は成立している。これを誰かにやってもらおうとすれば年収800万円は払わないとやらない」と現状のいびつさを指摘した上で、「若い人もちゃんと儲かるようにしないといけないのではないか」と述べ、持続可能な農業モデルへの転換の必要性を提起した。 (『ABEMA Prime』より)

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