社会

ABEMA TIMES

2026年9月5日 09:30

パランティア、アンドゥリル 両社幹部が語った“ヒトの意思”の重さ「重要な結果をもたらす決定は必ず人間がするべき」

パランティア、アンドゥリル 両社幹部が語った“ヒトの意思”の重さ「重要な結果をもたらす決定は必ず人間がするべき」
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 防衛省が2027年度の概算要求で過去最大の約9兆円を計上。小泉進次郎防衛大臣はドローンやAIによる「新しい戦い方」への対応で、陸海空を一元指揮する意思決定支援システム整備を盛り込んだ。その候補として名前が取り沙汰されているのが、「パランティア・テクノロジーズ」と「アンドゥリル・インダストリーズ」の2社だ。

【映像】最新のAI防衛システム(実際の操作画面)

防衛省が導入検討中とされるパランティア「メイブン・スマート・システム(MSS)」は、米軍の対イラン作戦での使用が報じられている。アンドゥリルは安価で大量生産可能なドローン・ミサイルで注目されていて、日本法人も設立した。「ABEMA Prime」この2社の幹部を招き、AIが変える安全保障と防衛について聞いた。

■防衛産業でもソフトウェア中心の新興勢力に脚光

防衛システム、どこまで必要か

 防衛研究所上席研究官の高橋杉雄氏は、この2社について「防衛産業は長年、、軍艦や戦闘機といった重厚長大のメーカーが占めていた。そこにソフトウェア中心の新しいスタートアップが勃興してきた。パランティアが先駆者であり、その出身者らが立ち上げたのがアンドゥリルだ」と説明した。

 両社は競合するだけでなく、協調する面もある。高橋氏によると、アメリカ陸軍が新たなハイテク陸戦システム「タイタン」は両社との契約で、「お互いが得意分野を重ねてものを作っている」状況にあるという。

 パランティア・テクノロジーズ上級副社長兼日本防衛事業責任者のクリストフ・マークソン氏は、日本参入の理由を3点挙げる。「日本はアメリカの最も重要な同盟国であり、この地域の友好国でもある。同盟国を支援したい中で、日本の優先度は大変高い。そして日本のエンジニアは大変素晴らしい。優秀な人材を雇用できることが重要だ。また日本はビジネスをするのに素晴らしい場所で、マーケティングよりエンジニアリングのクオリティを大事にしている国に来ることは素晴らしいと思う」と述べる。

 アンドゥリル・ジャパン代表のパトリック・ホーレン氏は、防衛省との距離を重視する姿勢を示す。「防衛省に近くありたい。防衛省の優先事項に合わせて、日本の防衛安全保障の必要事項にきちっと沿っていきたい」と語る。また、「私はアメリカ海軍に30年いて、日本の海上自衛隊の方々とよくやり取りをしていた。私自身、日本には個人的に非常に強い思い入れがある」とも明かした。

 マークソン氏は、パランティアのMSSが果たす役割について、「データやオペレーションの情報を、違ったソースから統合する一つのプラットフォームにして、より早く、より良い、透明度の高い決定ができるようにするものだ。将軍からずっと下の(現場部隊の)レベルまで、決定を下す立場の人が同じ情報ベースにおいて決定を下すことができる」と説明。過去には資料のスライドでブリーフィング(作戦前の説明や状況共有)し、そのため情報伝達に遅延も生じていたが、このシステムによって同じプラットフォームで同時に状況を把握できるようになるという。

 実際にアメリカ中央軍の司令官は「数カ月あるいは数時間かかったプロセスを数秒で実行できる」と評価しているという。防衛省の概算要求に関する資料にも、AIが状況を把握・分析・予測し、攻撃した場合の効果やリスクを評価するフローを示すイラストが盛り込まれた。

 一方、ホーレン氏はアンドゥリルが担う役割について、「現在の紛争を分析していると、意思決定の余地をどう最大化できるかが最も重要とされている。同時期にいろいろなことが起きる中で、先進技術を使って厚みのあるデータからいかに抽出し、実際の行動につながる情報に落とし込むかが重要だ」と述べる。

 アンドゥリルはAIシステムに加え、実際のドローンやミサイルといった兵器も開発・製造しており、AIシステムと一体運用できる点が特徴だ。ホーレン氏は日本製の部品のみで製作したドローンについて、「デザインから実際のプロトタイプまで4カ月で作り、しかも日本の部品を使って最初から作り出した。海外の部品に頼らずに済むので、経済的な強靱性と戦略的な独立性を保つことができる。私たちは日本の企業、労働者、部品をどう生かせるかを考えている」と説明する。また少子化・人口減少への対応という観点から、「より少数の人間で最大限の能力を発揮するために、自律型・自動化システムが出てきている」とも語った。

■「重要な結果をもたらす決定は、必ず人間がするべき」

注目の2社

 システムが外国企業製である以上、主権や制御に関する懸念は避けられない。EXIT・兼近大樹は「アメリカの大統領が企業に『データをよこせ、システムを止めろ』と言ったとき、逆らえるのか。アメリカ依存から脱却したいと思っている人が一定数いる中で、その不安を解消できるのか」と問いかけた。

 これに対しホーレン氏は、「重要なのは透明性だ。産業界・日本の人々とコミュニケーションを取り、何が行われているかきちっと理解できるようにすることが重要だ。これはアメリカ対日本という対立ではなく、両国がともに協力しているということだ」と強調した。マークソン氏も、「顧客が自分たちのデータを管理し、誰がアクセスするかを決める。主権を持っているということが大事だ。ソフトウェアはその目的のために作られており、顧客がどんな環境であってもやりたいことをできる」と述べた。

 PK Shampoo・ヤマトパンクスが「AIが暴走して止められないのではないか」と問うと、ホーレン氏は「我々はデータを抽出と、意思決定のために使っている。重要な結果をもたらす決定は人間が行うようにしている。例えば12時間レーダーを追い続けるような事務的・危険な作業はAIに任せ、司令官が合理的な判断・選択ができるようにすることが重要だ。最終的には、重要な結果をもたらす決定は必ず人間がするべきだと思っている」と答えた。

 また、文筆家・佐々木俊尚氏はより根本的なジレンマを提示した。「人間が判断する場合は5分、10分かかるが、ロシアのような完全自律型AIが攻撃するなら1秒でできる。AI戦争ではAIが判断して攻撃した側が勝ってしまうジレンマをどう解決するのか」と質問した。

 これにマークソン氏は「自由と民主的な規範を大事にする国はより規制がある形で戦いたい。ルールに従わないことを選んでいるロシアのような国に対して、私たちの答えはより良いテクノロジーを作り、それを上回ることだ。価値観を捨てることには決してならない」と述べた。

 衆議院議員・大空幸星氏は、日本国内の防衛産業エコシステムの育成という視点から両社に協力を求めた。「同等の機能を持つ日本企業があれば、我々はそちらを使いたい。だが現実として強い危機感を持って取り残されてはいけないということで協力を仰ぐ立場にある。日本のスタートアップに投資し、日本の企業も育てるということにコミットしていただくことが重要」と述べた。これに対しホーレン氏は、「この7〜8カ月で日本の企業80社と話をした。秋田県のモーターの会社と協議しているなど、日本の企業との緻密な協力を本当に楽しみにしている。今後の防衛の在り方も変えていくと思う」と応じた。 (『ABEMA Prime』より)

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