全国的な猛暑が続く中、今年7月の熱中症による救急搬送人員は4万人を超え、統計開始以降3番目の多さとなった。しかし熱中症に苦しむのは人間だけではなく、動物たちも同様。ペットの飼い主にとっても切実な問題だ。ある調査では、暑いと分かっていても外にペットを連れ出した経験があると答えた犬の飼い主が約3割に上った。年々深刻化する猛暑の中、動物を飼う人はどう備えればいいのか。『ABEMA Prime』では、動物の熱中症リスクと対策について考えた。
■「体に熱がこもりやすい」人とは異なる動物の熱中症リスク

虹の橋動物病院院長の鈴木愛弥氏は、動物の熱中症の特徴についてこう説明する。「熱中症の基本的なメカニズムは人も犬も同じだが、動物の場合は汗をあまりかけない。人は汗をかき、気化熱を利用して体温を下げることができるが、例えば犬は足の裏の一部の皮膚からしか汗を出さないので、体温を下げる効率が人よりも非常に悪く、熱がこもりやすい」。
犬に現れる症状としては、激しい呼吸(パンティング)、下痢や嘔吐などが代表的だ。一昨年の9月に愛犬が熱中症になったという飼い主の田中さんは、「旅行先の施設でドッグランとプールで遊んでいたら、翌日帰宅後に吐き気と下痢が出て、慌てて病院に連れて行った。自分では気をつけていたつもりだったが、後悔しかない」と振り返る。
一方、より深刻なケースも起きている。当時3歳の猫を飼っていた野崎さんは、検査のためキャリーケースに入れて病院に行った帰りに猫が舌を出し始めたという。「脱水症状かもしれないと、コンビニに入って水を買って飲ませながら家に帰った」。帰宅後一度は体調が戻ったものの急変し、病院に戻ると心肺停止の状態だった。「猫にも熱中症があることを知らなかったので、自分のせいでこうなってしまったなと猫に対して申し訳なく感じましたし、ショックだった」と語る。
■「夜だから大丈夫とは言えない」 気候変動が変えた常識

株式会社ホームトリマー代表の山瀬穂高氏は、自身が行ったペットの熱中症に関する調査結果を踏まえ、 「飼い主さんのリテラシーはすごく上がっていると思う。ただ、冷房を入れていても熱中症になるとか、そもそも犬が熱中症になるということを知らない人もいる」と指摘する。大切にしようという思いは広がっているものの、知識面ではまだ不十分な部分があるという認識だ。
こうした認識のギャップについて、鈴木氏は気候変動の影響を挙げる。「今まで外で飼っていて大丈夫だったという経験が『(今も)大丈夫』という認識につながってしまっている。年々気温の上昇の仕方も激しくなっているし、暑い期間もすごく長くなっている。一昔前であれば、夜になれば涼しくなっていたので散歩にも行けていたと思うが、その認識のままでいると、ここ数年では熱中症になってしまう」と述べる。
2ちゃんねる創設者のひろゆき氏も、「シベリアンハスキーのようにもともと寒いところに生息している犬が、今や熱帯ぐらいの気温になってしまう日本に連れてこられたら体調を悪くするのは当然だと思う。動物園も気候が変わっているのだから、それに合わせた展示に変えていかないといけないし、暑さに弱い動物は屋内にいるべき時代だ」と問題の根深さを指摘した。
では、飼い主は実際にどう対処すればいいのか。「夏に犬を散歩させるには、どうすればいいか」という問いに、鈴木氏は、「夜だから大丈夫とは言えない。日が落ちても気温や湿度を見ながら、散歩に行って大丈夫かどうかを判断していくことが大事」と答えた。
散歩前の対策についてひろゆき氏が「水浴びをさせてから行くのも大丈夫か」と尋ねると、鈴木氏は「体が濡れていれば気化熱を利用して体温を下げることができるので、散歩前に濡らしてから行くというのは一つの対策になる」と説明。「散歩中にペットボトルで水をかけてもいいか」という問いに対しても、有効だと答えた。 (『ABEMA Prime』より)