就活生のおよそ6割が「面接試験が苦手」と回答しているという調査結果がある。対人コミュニケーションや自己PRへの苦手意識が背景にあるとされ、緊張で頭が真っ白になったり言葉に詰まったりと、面接で不完全燃焼を繰り返す学生は少なくない。一方、採用側でも面接そのものの有効性を問い直す動きが出始めており、飲食を交えた対話型の採用プロセスを導入する企業も現れている。
【映像】面接廃止した企業、代わりに導入した“驚きの取り組み”
『ABEMA Prime』では、こうした「令和の面接事情」について、今まさに就活に取り組んでいる当事者や専門家らとともに考えた。
■就活生の6割が面接苦手??当事者が語る苦悩

番組には、現在就職活動中の大学3年生・りあさんが出演した。書類選考の突破率は100%を誇るが、一次面接での通過が思うようにいかず、これまでに8社から不採用の通知を受けているという。
りあさんは面接の苦手な点について、「自分自身にあまり自信がないタイプなので、自分の強みを伝えるのがうまくない。面接官がどこを見ているのかが分からなくて言葉が出てこなかったり、回答に詰まってしまうことが多々ある」と分析する。さらに「30分の面接時間で初対面の人に自分という人間を伝えきるのは難しいことで、あれだけ短い時間で判断するのはどうなのかと毎回思いながら受けている」とも語る。
面接での苦手意識がいつ芽生えたかという問いには、「不採用が続く中で苦手意識が芽生えている」と振り返る。オンライン面接が多いこともあり、「相手の方の表情しか見えないので、今どんなことを感じているのかや、私が言ったことにどういう印象を持たれているかが不安になることが多い」と話す。自己PRの発信についても、「自分が伝えたい部分と相手が魅力に思う部分のどこがマッチするか分からず、情報選択がうまくできずにつまづいてしまうことが多い」と述べた。
就活・転職支援を手がける株式会社UZUZの代表取締役社長・岡本啓毅氏は、面接に苦手意識を持つ学生が多い理由について、「面接は日常生活ではあまり体験しないような緊張感のある場。これで失敗すると自分の人生がうまくいかないんじゃないかとか、落ちると自分の人生が全部否定されたような気持ちになってしまう。そういう経験を積めば積むほど怖くなっていく」と分析する。
■面接を信じない??抱月工業の「タダメシ会」採用

番組には、3年前から新卒採用における面接を廃止した抱月工業株式会社の取締役CHRO(最高人事責任者)・弓指利武氏も出演。面接の代わりに採用しているのは、「タダメシ会」から始まる対話型のプロセスだ。
弓指氏はその仕組みをこう説明する。「説明会をやめて、まずご飯会からやろうということで、飲みながら話している。基本的に緊張させることは企業側が負けなんですよ。学生も社会経験が浅いですから、そこをフランクな空気の中で喋ってもらう場として、まずは飲み会で。ただでご飯食べれるよということで来てもらい、もし興味があれば会社を見に来たらどうですかという仕組み」だという。1回あたり多くて10人弱、少ない場合はマンツーマンで行い、お酒も交えながら話す。「本心がポロッと出てきたり、その人の人柄が全部分かる瞬間がある」と手応えを語る。
その後は工場見学のステップを経て、「フィールドワーク選考」として社内での振る舞いを観察する。弓指氏は「面接の場合は面接力は分かるが、仕事での行動力は見えない。実際に社内でどんな動きをするかを見たい」と、面接を廃止した理由を説明する。最終的には適性検査(性格診断)を組み合わせ、定性的な観察と客観的な指標の両面で判断するという。新卒採用の規模は年間5名程度で、飲み食いを含めると50〜60人とやり取りする計算になるが、「1人当たり25万円程度のコストで、マッチした人が採用できる。採用に責任も持てるし、受験した人にとってもハッピー」とメリットを述べた。
弓指氏はまた、「実は面接で(採用試験をしていたら)落ちたであろう人を、そうじゃない形で取ったことで活躍しているケースがある。本人にも『君は多分面接だったら落ちていると思う。でも喋れば喋るほど面白い』と伝えた」と明かした。
■「人と人がマッチするのに、出会ったばかりで志望動機を聞くのは違和感」

議論は採用の在り方そのものへと広がった。弓指氏は「人と人がマッチするのに、学生時代に頑張ったこと(ガクチカ)とか志望動機を聞くのは違和感がある。出会ったばかりなのに好きなところを言ってくださいというのもちょっと違う。対話をもっとやった方がいい。そういう部分を令和は変えていかないといけない」と主張する。
りあさんは面接の場でこちらを見下すような態度の面接官に遭遇したことがあるとし、「(自分自身が)お祈りしたくなってしまう時がある」と率直に話した。弓指氏はこれに対し、「面接官はトレーニングをあまりしない。でも学生はいっぱい練習する。この差も大きい。面接官は会社の顔ですから、りあさんみたいに警戒させてしまっているのは企業の責任でもある」と持論を述べる。
岡本氏は就活市場の変化にも言及し、「面接のあり方として企業側が見極めるだけでなく、求職者が選ぶ立場になってきているのはすごく大きな変化。魅力的な人事がいない会社は学生から選ばれなくなる」と指摘する。
最後にりあさんは、「面接において第一印象が良くないタイプなので、短い時間で好印象を持ってもらうのが苦手。これからの人生で自分の魅力を伝えていく場面は多いと思うので、どういうことを心がけたらいいか悩んでいる」と語った。弓指氏は「面接で出会うというのは“正面衝突”に近くて、20数年の人生を数十分では見られない。だから僕は途中で降参した。でも“振る舞い”は見られる。採用しようと思った人に責任を持って向き合う方が、採用した後のことの方が大事だ」と締めくくった。
(『ABEMA Prime』より)