今年8月、高市総理は外国訪問や対面での首脳会談を行わなかった。過去の政権が国会休会期である8月を「外交のチャンス」と位置づけ、積極的に海外訪問を行ってきたのとは対照的な対応となっている。その背景などについて、テレビ朝日政治部の飯田陸央記者が解説した。
国会休会期という「絶好の機会」と高市総理の動き
総理大臣が1年間で外国訪問を行いやすいタイミングは、国会が開催されていない「年末年始」「ゴールデンウィーク」、そして「夏」の3回とされる。特に6月に開催されるG7サミットから9月下旬の国連総会までの約3カ月間は、閣僚や党幹部を含めて外遊が集中する重要な時期である。
しかし、今年における高市総理の動向を見ると、7月初旬にインドを訪問してモディ首相と会談を行ったものの、その後にトルコで開催されたNATO首脳会合への出席は見送った。8月に入ってからはイラン大統領との電話会談などにとどまり、直接的な外国訪問や対面での首脳会談は行われないまま経過した。
見送りの背景と「あまり外交が好きではない」という声
8月に外遊が組み込まれなかった理由について、総理周辺からは「7月に発生した熊本地震や各地の大雨災害への対応を優先したため」との説明がなされている。しかし、取材によると6月の段階で既に8月の外遊日程は予定されていなかったという。
そうした中、外務省などの政府関係者からは「高市総理はあまり外交がお好きではないのではないか」「首脳会談のスケジュールが入れにくい」といった声が複数聞こえてきている。対面での首脳会談が終わった後は「雰囲気が良くパフォーマンスも素晴らしい」と外務省側からも高く評価される一方で、実際の外遊や会談のスケジュールを組み込む段階では打診に対して日程がなかなか入らないという実情がある。
総理大臣の外遊日程は、外務省の各地域局が候補地をプレゼンし、国際情勢や政権の重要課題に合わせて数カ月前に決定されるのが一般的。高市政権においてはエネルギー安全保障や重要鉱物の調達といった「経済安全保障」の観点から成果が見込める国が重視されているが、今回の夏外交ではそれが具体化しなかった形だ。
過去の「夏外交」との比較と今秋の焦点
歴代の総理を見ても、8月の国会休会期は重要な外交成果を上げる場として活用されてきた。岸田元総理の時代には米国のキャンプ・デービッドで日米韓首脳会談が開催され、石破前総理の際にはアフリカ開発会議(TICAD)に合わせて短期間で多数の首脳会談がこなされた経緯がある。
政府関係者は「8月の訪問がなかったことで日本の外交に穴が開いたわけではない」との認識を示しているが、ウクライナ情勢や中東情勢が緊迫化する中で日本の存在感を示す機会を逃したとの見方もある。
今秋は再来週の国連総会を皮切りに、ASEAN関連首脳会議、中国で開催されるAPEC、マイアミでのG20サミットなど主要な国際会議が相次いで予定されている。特に中国でのAPECにおいては、米中首脳会談の動きとともに、冷え込みが指摘される日中関係の中で高市総理が習近平国家主席との接点があるか含め外交力を発揮できるかが大きな焦点となる。
(ニュース企画/ABEMA)