タレントの田村淳が、目の病気のためサングラスを着用していることをXで明かした。「室内では外せ」「カッコつけるな」といった批判を受けているという。番組では、目の色素が薄く、強い光をまぶしく痛く感じる「羞明(しゅうめい)」の症状があると説明した。
同じように、聴覚過敏や脱毛症といった周囲からは見えづらい事情を抱え、デジタル耳栓や帽子を手放せない当事者もいる。誤解や毎回の説明に伴う精神的負担を減らし、誰もが安心して必要なものを着用できる社会をつくるにはどうすればいいのか、『ABEMA Prime』で考えた。
■「生意気だ」「カッコつけるな」と言われる…サングラス着用の背景

田村は、芸能生活の初期から強い光に違和感があったとし、病院で目の色素が薄く光に弱い「光過敏」と診断された経緯を説明。「スタジオの強い照明に耐えきれなくなり、45%ほどの色味のサングラスをつけるようになった」と明かした。
しかし、着用を始めると周囲から「生意気だ」と怒られることが多かったという。田村は「カッコつけのためにやっているわけではない。そもそも目の病気なので理解してもらいたい」と訴えた。一方で、最近ではバス運転手のサングラス着用が認められるなど、少しずつ変化の兆しも見られる。田村は「サングラスの着用でこれほど騒ぐ国は珍しい。理解されないこともあるが、言い続けたい」と語った。
また、脳出血をきっかけに「光過敏性てんかん」を発症した俳優の間瀬翔太さんは、持病のてんかん予防のために日常的にサングラスを使用している。間瀬さんは「2019年に脳出血を起こしてから、急にてんかんの症状が出た。明暗の差に対応しきれず、暗い場所から急に明るい場所に出るときや、トンネルの出口などではサングラスがないと対処できない。ストロボのような光もダメだ」と自身の症状を説明する。
間瀬さんは、日常生活での周囲の反応について「ふざけたやつだと思われてしまう」と苦悩を吐露。てんかんの発作で気絶しそうになり優先席に座った際も、サングラス姿を理由に「何座っているんだ」と厳しい批判を受けた経験を振り返る。さらに、看護学校に通っていた学生時代、授業中のサングラス着用は認められた一方で、病院では認められなかったという。「光がいろんな場所から返ってくる」とし、理解を得にくい実情を語った。
これに対し、作家の佐々木俊尚氏は文化的背景を分析する。新型コロナ流行時のマスクとサングラスを巡る議論を引き合いに出し、「欧米の白人は目の色素が薄く、眩しすぎるため日常的にサングラスをかける」と説明。その上で、「欧米では口元で表情を作るが、日本人は目で表情を作ることが多いため、目を隠すサングラスに対してネガティブな印象を持ちやすい文化的違いがある」と指摘した。
■「不真面目と思われるのでは…」聴覚過敏や脱毛症を巡る葛藤

周囲に理解されにくいアイテムを着用する当事者たちの葛藤は、サングラスだけに留まらない。
大学教員の梅崎真理子氏は、子どもの頃から聴覚過敏に悩まされており、周囲の雑音を遮断する「デジタル耳栓」をイヤホンのように着用している。見た目が一般的なイヤホンと変わらないため音楽を聴いていると誤解されやすいが、これには、周囲の音を小さくして会話に集中するための器具だ。梅崎氏は、未着用だとエアコンや冷蔵庫の音、レストランのグラスが鳴る音などが全て同じ音量で聞こえてくると明かし、「会話に集中できず疲れ果ててしまう」と説明する。
その上で、梅崎氏は「聞きたいからこそ着用しているのだが、話を聞く姿勢が『不真面目』だと思われるのではないか」と思い悩む実情を吐露。毎回事情を説明する負担も大きく、その日限りの関係や大人数の場では伝えるか迷い、自分が我慢する選択をしてしまいがちだという。「デジタル耳栓に出会って世界が広がったが、使用には葛藤が伴う」と胸中を明かした。
一方、2024年に円形脱毛症を発症したライターの木村美穂氏は、日常的に医療用帽子をかぶって過ごしていた時期がある。後頭部に大きな脱毛斑ができ、職場や会議の席で奇異の目で見られた経験から「本当に外に出られなかった」と回想。さらに「“10円ハゲ”のイメージがあるのか『たかが円形脱毛症でしょ』と軽く扱われ、傷つくこともあった」と、過去の苦痛を語った。
さらに木村氏は、自身の姿を見られたくない気持ちに加え、周囲や家族に気を遣わせないよう家の中でも帽子を着用していたと説明。仕事の場においても「円形脱毛症なので帽子をかぶっています」と説明しなければ、なかなかコミュニケーションができないと感じ、初対面の相手にもほとんど説明していたという。
こうした声を受け、佐々木氏は広く知られていない病気や障害ほど、当事者が事情を説明しづらく、周囲にも理解されにくい悪循環があると指摘。 「言えないからこそ周囲に理解されず、異様に見られてしまう悪循環に陥ってしまうのが非常に辛いところだ」と分析した。
■「自己開示」の負担と今後の発信の意義

外見からは分かりにくい事情があり、援助や配慮を必要としていることを周囲に示すヘルプマークについても、間瀬さんは課題を語った。普段から携帯し、腰から下げることもあるというが、「おしゃれで持っている」と話す人を直接見聞きしたことがあると明かした。
梅崎氏も、約10年前に自転車のイヤホン規制が強化された際、止められることや事情を説明する負担から、自転車に乗らなくなった経験を振り返った。「自己開示がどうしても必要になるところもあって、そこが難しい」と語った。
こうした当事者たちの声を受け、田村はネガティブな気持ちで発信しているわけではないとし、「言わなければ相手には分からないからあえて伝えている。発信することで『そういう理由だったのか』と理解してくれる人が少なからずいる」と発言の意義を説明した。
(『ABEMA Prime』より)