「千葉豪雨」から1カ月、番組では、浸水を捉えた「48の映像」と「地形」に注目。独自検証でみえてきた注意点とは。(9月12日OA「サタデーステーション」)
都市の浸水 新映像に“一部始終”
毎週のように発生する大雨災害。8日は、愛知県や岐阜県に記録的な大雨が降りました。名古屋市では、午後3時53分からの1時間に統計開始以来最大となる104.5ミリを観測。排水が追い付かなくなった道路は冠水し、県内ではおよそ400棟が浸水被害にあいました。
サタデーステーションでは、その時の様子をとらえた複数の映像を入手。名古屋市内にあるビルを訪ねました。
「ここの店舗内に(水が)外階段から入り込むことがないようにと、周りを囲って(止水板を)つけている。突然だったので設置する前にもどんどん流入してきたってことですね水が」
これはそのビルの防犯カメラ映像です。午後3時半頃、まだ道路の冠水は見られません。しかし、30分程たった午後4時頃。画面左側の階段上から水が勢いよく流れ込み始めます。それと同じタイミングあたりでビルの関係者が止水板を用意し始めますが、雨水は右側の階段からも入り始め地下に向かって滝のように勢いよく流れていきます。
「水で浸かっている状態の中で止水板を設置した。ネジ穴がよく見えず手探りでえらく時間がかかってしまった」
こうして止水板を設置完了した直後の午後4時半頃に水が止まるまで、およそ30分間この状態が続きました。水が引いたあとの、現場の様子を見てみると。
「1階部分から地下を見てみますとかなり高さがあるように感じます」
地下にある施設のガラスは割れ、段ボールが貼られていました。映像から確認できた水の高さを測ると、1メートル20センチ程でした。ところがこの大量の水は、わずか30分程で引いていったといいます。このビルの隣の飲食店でも。
「何もない状態から(水が)ぶわーってあがってきて下がった感じですよね1時間くらいの間に。予想以上に早く引きましたね、本当に引くのは早かった」
“驚異の排水能力”はほかの場所でも見られました。道路から線路に向かって流れ落ちる雨水。午後5時すぎに撮影された動画では、電車の車体の半分ほどの高さまで線路が浸水。ところがおよそ4時間後に撮られた写真を見ると、ほぼ水がなくなっていることがわかります。
短時間で水が引いた“驚異の排水能力”
排水された雨水はどこへ…水防災に詳しい専門家は。
「(名古屋は)100万トンの水を蓄えることができるような地下空間を持っている。こうしたレベルの施設を持っている都市は日本でもほかにほとんどない」
名古屋市が整備していた雨水施設。きっかけになったのは死者10人、住宅7万棟が浸水した26年前の東海豪雨です。被害を受け、雨水貯留施設だけでも東海豪雨以前は27か所で14万トンだったものを、2026年現在99か所で78万トンにまで大幅に増やしました。今回の豪雨ではこれらの施設が稼働し、一時9割程まで水が溜まったといいます。
「(浸水しても)都市の社会活動をすぐさま戻すことができたという意味では大きなことだった」
「買って2週間」地下駐車場で車浸水
「今レッカー車によって運びだされています」
「千葉豪雨」から1カ月、11日ようやく運び出された車。回収されたドレイブレコーダーには、マンションの地下駐車場が浸水していく様子が捉えられていました。防犯カメラ映像でも、2時間ほどで車のほとんどが見えなくなりました。
「買って2週間しか経ってなかったので」
いま進められているのが、こうした被災車両の“解体”です。少しでもリサイクルへ回そうと手作業で解体を進めます。
「台風じゃなくてこれはちょっと初めて。すごい天気になってきて、これからずっと怯えなきゃいけないのかなと」
48の映像と地形を独自検証 浸水リスクが高い場所とは
甚大な浸水被害をもたらした「千葉豪雨」。サタデーステーションが注目したのは、浸水を捉えた「48の映像」と「地形」です。地図上に配置すると、浸水リスクが高い場所の“共通点”がみえてきました。
まずは多くの映像が集中していたこのエリアです。大規模冠水が発生したJR蘇我駅前。その深さは、大人の膝の高さ約40cmでしょうか。当時、このエリアで起きていたとみられるのが「内水氾濫」。ハザードマップでは、最大50cm未満の浸水が想定されていました。
そして、この場所に土地の性質などを分類した「地形分類図」を重ねてみると。映像が集中するのは、水色の「低地」と呼ばれるエリアです。どのような土地なのか、専門家は。
「もともと(標高が)低いところなのですが、地形が平坦なので水がたまりやすい」
この先、約1km圏内の標高の高い土地から雨水がこの場所に集まってくるといいます。
“台地エリア”でも浸水なぜ?
一方で、水色の「低地」だけでなく、オレンジ色の「台地」が広がるエリアでも浸水が起きていました。当時の映像では、道路から建物に向かって打ち寄せる激しい波が確認できます。現地はどんな場所なのでしょうか。
「傾斜していますよね。反対側も同じように傾斜している。ここは実は谷状の地形になっている」
「地形分類図」を拡大すると、オレンジ色の中を走る“緑色の細い筋”が出現。これは「氾濫平野」や「くぼ地」など周囲より低い土地です。映像のほとんどが、こうした地形の場所でした。
「底の方に雨水がたまっていきやすい。(底の)幅が非常に狭いので水がたまった時に水位が深くなりやすい特徴があります」
“見えないリスク”に注意 浸水想定区域外でも
そして、注意が必要なのが、歩いても地形が分かりづらい場所です。地下の電気設備などが浸水した病院の近くでは。
「見ていただくと非常に平坦に見える」
目立った傾斜は見当たらず、内水ハザードマップの浸水想定区域“外”でした。しかし、よく見ると。
「わずかに傾斜しているのが分かるのではないかと」
「この交差点すべての道がたしかに上に上がっていっていますね。ここが1番低いですね」
「地形分類図」でも、この場所が周囲より低い土地であることが分かります。
「局所的に『くぼ地』になっていた。雨水がここに集まってきて排水されずに浸水してしまった」
こうした地形は、関東を中心に多く存在するといいます。
「このようなくぼ地や谷状の地形は道路冠水など、様々な浸水被害が起きやすいので、ぜひ地形と合わせてチェックしていただきたい」
災害時の移動のヒントに?「通れた道マップ」とは
「地形を知れば防げる」という“車の浸水”。災害時、移動の“ヒント”になる情報もあります。
「まさにこちらが『通れた道マップ』の通れた道を表しています。直近で実際に車が通った道を地図上に表示するようなサービスになっています」
トヨタが提供する『通れた道マップ』。災害時には、直近3時間で車が通行した実績は「水色」に。そして、通行止めなどの交通規制の情報は「黒色」に表示されます。通信機能を持つトヨタ車から得られる走行データをもとに、情報が更新されます。ただ、状況は刻一刻と変化するため、他の情報も踏まえた慎重な判断が必要です。
「気象情報や自治体の避難情報、ハザードマップ、そういった情報を合わせて確認いただいて総合的に判断いただくのが重要だと思っている」