千葉豪雨から1カ月、全国各地で大雨による道路の冠水が相次いでいます。
都市型水害をどう防ぐことが出来るのでしょうか。
全国的に課題となっている『アンダーパス』の対策などについて見ていきます。
■アンダーパス死亡事故 対策に課題 なぜ侵入?心理的要因も
8月13日から14日に発生した千葉豪雨では、県内のアンダーパス95カ所のうち、48カ所で冠水し、車の水没で男女2人が亡くなりました。
死者が出たアンダーパスの状況です。
千葉市中央区のアンダーパスです。
8月13日、午後6時4分に、水位が5センチとなり冠水を感知しました。
そのわずか3分後には、水位は15センチになり、『通行禁止』に。
冠水感知から41分後、午後6時45分に職員が到着しましたが、4.8メートルある天井付近まで冠水していたということです。
浸水した車で60代女性は亡くなりました。
9月6日から7日に発生した福島での大雨では、いわき市のアンダーパスで車が水没、60代女性が亡くなりました。
いわき市によると、このアンダーパスには、2つの排水ポンプが設置されていましたが、水を送る先の川の水位が上昇し、排水が適正に行われていなかった、ということです。
「排水能力には限界がある。想定を超える大雨では、アンダーパスの冠水が発生する可能性がある」
なぜ冠水したアンダーパスに進入してしまうのでしょうか。
古米さんによると、アンダーパスの入り口付近では、最も低い場所の冠水状況が把握できない場合があるといいます。
また、運転手の心理も影響します。
正常性バイアスは、いつも通っている道路だと過小評価し、これくらいは大丈夫だと思ってしまい、同調バイアスは、前の車が進入すると、追従しやすくなるということです。
「アンダーパスは通常、重要な幹線道路の交差点で渋滞緩和などの目的で導入されている。目的地への移動に便利で、迂回したいとは思いにくい」
■アンダーパスの大雨対策 自動で膨らむエアー遮断機も
いかに進入を防ぐか、アンダーパスの大雨対策です。
全国のアンダーパスは、2025年3月末時点で、3841カ所あります。
最も多いのは埼玉県で、270カ所。
続いて、新潟県の231カ所、兵庫県の188カ所となっています。
9月から国交省は、全国7カ所のアンダーパスで、冠水前の予防的な通行規制を導入しました。
規制基準は、レベル4大雨危険警報の発令などです。
9月7日、千葉市では、8月の豪雨で死亡事故が起きたアンダーパスを全面通行止めにしました。
規制導入後、実施は全国で初めてです。
即効的な進入防止対策です。
9月2日、千葉国道事務所は、死亡事故が起きたアンダーパスの周辺路面、全34カ所に注意喚起を標示する工事が完了しました。
エアー遮断機というものがあります。
アンダーパスの最も低い場所にあるセンサーが、一定の冠水を感知すると信号を送り、自動でバルーンが膨らみます。
バルーンの長さは3.5メートルです。
利点です。
脱出する車に傷がつかない、緊急車両を通せる、ということです。
こうしたエアー遮断機は、千葉市でも2カ所にすでに導入されています。
アンダーパスでの被害を防ぐには、どうしたらいいのでしょうか。
「アンダーパスの入り口で一定以上の冠水を検知した場合には、例えば、既存のETCアンテナシステムを活用し、車内へアラートを配信する仕組みの導入も検討すべき」
■都市型水害どう防ぐ?貯留槽整備も想定超える雨量
千葉市では貯留槽の整備が行われています。
貯留槽とは、大雨が降った時に急激に増加する雨水を一時的にためる施設です。
下水道管の負荷を減らし浸水被害を軽減します。
千葉市内の地下の貯留槽です。
公園の下に作られています。
みつわ台第2公園 、約750万リットル、
大田切公園、約260万リットル、
菰池公園、約1100万リットル、
3カ所合計で2110万リットル、25メートルプール約54杯分が満杯になりました。
菰池公園の貯留槽は、2025年7月に運用開始。
千葉市の排水機能設計は、1時間に53.4ミリの雨が降っても排水できる想定ですが、65.1ミリの想定に改定されました。
それでも千葉市で内水氾濫が起きました。
8月13日、1時間雨量115ミリの雨でした。
内水氾濫が起きて町が冠水しました。
「すべてを防ぐのは今回のような雨では現実的ではない。県民一人一人が災害リスクを自分事としてとらえて備えて行動する社会への転換が必要」
名古屋市でも冠水が起きました。
9月9日、1時間雨量が104.5ミリで、観測史上最大となりました。
名古屋市内には調整池が99カ所あり、稼働率は94%でした。
ほぼフル稼働でしたが、それでも冠水が発生しました。
■水害対策に『グリーンインフラ』 緑で負荷軽減
「整備目標を超える豪雨では、貯留施設だけでは対応に限界。下水道への負荷を軽減する『グリーンインフラ』の導入等も並行して進めるべき」
グリーンインフラとは、自然の多様な機能をインフラとして活用することです。
様々な効果が期待されています。
グリーンインフラは、防災・減災にも効果があり、例えば、雨庭です。
雨水の貯留や浸透に効果があります。
雨水を下水道へ直接流さず、浅いくぼ地や植栽空間に一時的にためて、ゆっくりと地中に浸透させる仕組みを持つ庭です。
他にも、環境的な効果では、気候変動の緩和など。
経済的な効果では、にぎわいの創出など。
社会的な効果では、健康の増進や、防災・減災など、
様々な効果が期待されています。
■家庭用“貯留槽”水害に効果 補助金制度導入の自治体も
家庭用の貯留槽というものもあります。
雨どいなどから雨水をためるタンクです。
水は、庭の水まきなどに利用するものです。
どんなものがあるのでしょうか。
例えば、樹脂製のもの(写真は100リットル入るもの)や、中古のウイスキー樽を利用したものなど、様々なタイプの貯留槽が販売されています。
自治体によっては設置補助金もあります。
千葉市だと、容量が100リットルから200リットルのものを設置した場合、最大1万8000円の補助。
200リットル以上のものを設置した場合、最大2万5000円の補助がもらえます。
建物1棟につき1基までで、設置区域などに条件があります。
ほかにも“対策グッズ”があります。
『浸透ます』というものです。
穴が開いた『ます』を地中に設置して、雨水を少しずつ地中にしみこませます。
これも補助金が出ます。
千葉市だと、ますの口径が150ミリだと、最大1万1000円。
ますの口径が350ミリ以上だと、最大2万6000円。
建物1棟に4個まで補助が出ます。
設置区域などに条件があります。
「一つずつは少量でも、各家庭に設置すれば効果が見込める。例えば、貯留槽の場合、仮に1万軒が200リットルのタンクを設置したら、200万リットルが貯留可能。自治体の貯留槽1個分に近い」
(「羽鳥慎一モーニングショー」2026年9月14日放送分より)



















