連日、大雨による冠水被害などが各地で相次いでいますが、そうした水害への備えとして重要な役割を担うのが『ハザードマップ』です。
ハザードマップには、付近に川がないにも関わらず、浸水区域に指定されている場所が存在します。
ハザードマップの正しい見方を知り、自分の住む街のリスクを把握する方法をお伝えします。
■ハザードマップの重要性「見たことない」人も どこにある?
近年増えている水害の避難に役立つハザードマップについて見ていきます。
ハザードマップを見たことがあるか、街の皆さんに伺いました。
「1年前に配布された時に見たが、住んでいる場所は災害が少ないのであまりチェックはしない」
「一度も見たことがない。マンションなので大丈夫かなと思いあまり深刻にとらえていない」
ハザードマップについてです。
ハザードマップとは、被害が想定されるエリアや避難する場所などを表示した地図のことで、市区町村ごとに作成されます。
ハザードマップの種類です。
ハザードマップには水害関連として、洪水、内水、土砂災害、ため池、高潮といった種類があり、他には火山、津波、地震などに対応したハザードマップがあります。
ハザードマップはどこで見ることができるでしょうか。
一つが、紙の地図を手に入れる方法です。
住んでいる自治体から各家庭に配布されたり、役所の窓口でももらうことができます。
もう一つが、インターネットで閲覧する方法です。
検索で市区町村名とハザードマップで検索すれば、一番上に自治体のHPが表示されるので、そこから見る方法と、国土交通省のポータルサイトを活用する方法があります。
■“想定以下”雨でも被害甚大なぜ?『想定雨量』地域で違いも
実際に豪雨による被害が大きかった場所のハザードマップを見ていきます。
千葉市内の豪雨の被害です。
8月の豪雨で被害が大きかった千葉市では、死者6人、重軽傷者21人。
住宅への被害は全壊が7棟、半壊が1061棟、床上浸水が1213棟となっています。
こちらが千葉市のハザードマップになります。
このハザードマップは、おおむね1000年に一度起こりうる最大規模の降雨を想定して作られていて、内水氾濫による浸水の範囲と深さが表示されています。
薄い黄色の部分は10センチから50センチ未満、色が濃くなるごとに浸水が深くなることを表しています。
千葉市が想定している1000年に一度の雨とは、1時間の降水量が153ミリ、24時間の降水量が690ミリの大雨となっています。
これに対し、実際千葉市で8月13日に降った雨の量は、1時間で115ミリ、24時間で351ミリと、千葉市がハザードマップで想定していた最大規模の雨よりも少ない降水量でした。
しかし、実際の被害では1メートル以上浸水した場所もありました。
千葉市緑区では、1.8メートル以上の浸水などの影響で、全壊、半壊した住宅が9棟、1メートル以上1.8メートル未満の浸水などで半壊した住宅が19棟と、1メートル以上の浸水による被害が相次ぎました。
こちらは千葉市緑区の内水ハザードマップです。
ハザードマップを見てみると、多くの場所は薄い黄色の50センチ未満の浸水が想定されている場所でした。
一部、3メートル以上の浸水が想定される場所も確認できます。
※ハザードマップ上のうすいピンクの部分
では、なぜ緑区で1メートル以上の浸水が起きたのでしょうか。
「千葉市内でも緑区は、くぼ地や谷形状の地形が多く、雨水がたまりやすい。ハザードマップの想定以下の降雨でも内水氾濫が起きやすい場所だったと思われる」
内水氾濫が起きる目安です。
松島さんによると、多くの都市の下水道は1時間に50ミリの雨量に対応するよう整備されています。
1時間に50ミリ以上の雨が降ると下水で流しきれず、地形の影響を大きく受けるようになり、内水氾濫が起きる可能性が大きくなるということです。
想定以下の雨で内水氾濫は他にも起きています。
9月8日に名古屋市では、1時間に104.5ミリ、24時間で219.5ミリの激しい雨が降り、市内の各地が浸水、車200台が水に浸かりました。
名古屋市のハザードマップで想定していた最大規模の雨は、1時間156ミリ、24時間で836ミリと、千葉市よりも多い量の雨を想定していました。
想定される最大雨量には地域に差があります。
国土交通省によると、国内の雨の降り方が似ている地域を15に分け、その地域で過去に降った最大の降水量から国が想定しているということです。
ただし、(地域の実情など)必要に応じて、国や都道府県と調整し、独自に想定する自治体もあるということです。
「ハザードマップで表示がない場所は100%安全と言い切れないが、ハザードマップで表示がある場所は100%危険な要因がある場所。最大規模の大雨でなくても危険がある場所という認識を持つことが大切」
■住宅街に“見えない川” 『暗渠』示す身近なサインとは
ハザードマップを確認する上で、1つ注意すべきことがあります。
こちらは品川区のハザードマップです。
(地図上の)印のところが西小山駅で、そこから南に延びているのが『立会道路』と呼ばれる道路です。
ここは地図上では川が近くにあるわけではないのですが、(楕円の丸のところ・オレンジ色)想定される水の深さが1メートルから3メートル未満の想定浸水区域になっています。
なぜ浸水すると想定されているのでしょうか。
このエリアには『暗渠』があります。
暗渠とは、
▼都市化や水害対策のため、地中に埋設された河川や排水路です。
(地下にあるので見えません)
▼現在は、暗渠の上に緑道や公園などが作られているケース多いといいます。
この辺り(西小山駅周辺・立会道路沿い)には、立会川が流れています。
上流から6.5キロ以上が暗渠となっていて、地表部分は河口の約750メートルのみで、“見えない川”になっています。
2025年9月に、東京都周辺で局地的大雨が降った際には、西小山駅周辺で冠水が起きました。
「暗渠は地下を流れているため、直接水位を確認できない。また、土地が低いため、短時間に水がたまりやすく排水に時間がかかる。暗渠近くの下水道のマンホールから、水が一気に噴き出すなどの危険性がある」
街に残る暗渠の存在を示すサインについて見ていきます。
暗渠のサイン1つ目は、水に関係する地名・名称です。
『渋谷』や『桃園川緑道』のように、〇〇橋、〇〇川、〇〇谷など、水に関連する字が付くケースがあります。
暗渠のサイン2つ目は、橋がないのに橋の跡があることです。
写真の『隠田橋』『参道橋』は、どちらも渋谷区にある橋の名前を刻んだ石碑です。
昔は地上に川があったので、橋が架けられていました。
他にも親柱や欄干など、昔の橋の名残があるところには、暗渠がある可能性があります。
暗渠のサイン3つ目は、蛇行する細道です。
川の流れをそのままなぞっているため、曲がりくねった形になっています。
「暗渠は東京以外にも、神奈川・大阪・京都・福岡など多くの都市にある。『うちは川から離れているから大丈夫』と思わず、確認してみてほしい」
こういった暗渠のサインは、あくまで目安・手がかりです。
必ず暗渠があるわけではないですし、暗渠が必ず水災に遭うわけではないですが、気にかけておくと良いということです。
■相次ぐ内水氾濫 豪雨対策強化へ 想定雨量見直しの議論も
各地で相次ぐ内水氾濫の被害を受け、国も豪雨の対策強化へ乗り出しました。
千葉豪雨では、激しい雨が断続的に降ったことで内水氾濫が起き、ハザードマップの浸水想定区域外での浸水や浸水想定区域内で、想定以上に深い浸水が発生しました。
こうした事態を受け、内閣府は9月11日、内水氾濫の要因や課題について検証を行う検討会を実施しました。
今後、被害想定の前提となる降雨量などの条件の見直しも議論していきます。
(「羽鳥慎一モーニングショー」2026年9月15日放送分より)














