航空自衛隊の大型無人偵察機が15日午後、鳥取県沖で墜落したとみられます。自衛隊が保有するアメリカ製の『グローバルホーク』3機のうちの1機で、中国軍やロシア軍が活動する周辺海域の監視が任務と言われています。専門家は、1機が失われて2機体制になることで、監視任務が滞るリスクをはらむことになると懸念しています。
最高高度1万8000メートルの監視能力
「鳥取県沖北約50キロの洋上で通信途絶しました。現在、航空自衛隊の航空機及び、海上自衛隊の艦艇航空機により捜索活動を実施中です。引き続き対応に全力を尽くしてまいります」
(Q.墜落した可能性は)
「あらゆる可能性を含めて、今捜索活動を実施中です」
通信が途絶えたのは青森県、三沢基地所属の無人偵察機、グローバルホーク。1日半にわたって連続飛行し、空から監視できる機体です。自衛隊で運用が始まったのは2022年のこと。防衛白書では、周辺海域での中国軍やロシア軍艦艇の監視について触れる中で、グローバルホークが言及されています。
「我が国は今、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面している。偵察航空隊は新しい時代の情報収集の牽引(けんいん)役になる」
グローバルホークを特徴付けるのは、いくつもの監視の目。レーダー・カメラ・センサーを積み、地上や海上の監視が可能です。自衛隊に導入される前、横田基地でアメリカ軍の機体が公開されたときの映像では…。
「情報収集、監視、偵察が主な任務となっています。通常5万フィート(約1万5000メートル)以上の上空を飛行しています」
アメリカ・カリフォルニア州で発生した山火事の現場を、グローバルホークが撮影した画像。暗闇の中で、燃え広がる火を赤外線で捉えています。さらに、山中にまばらに広がった熱源も捉えることが可能で、消火活動に協力しました。
米軍が実戦投入 度重なる事故
1998年にアメリカ軍で初飛行して以来、戦場にも投入されてきたグローバルホーク。イラン革命防衛隊が、ホルムズ海峡近くで回収したグローバルホークの残骸。イランは、アメリカが領空侵犯をしたため撃墜したと主張しました。
事故も度々起きています。14年前、メリーランド州で訓練中に起きた墜落事故は、機械的な故障が原因とされています。
海上に“浮遊物”原因究明へ
自衛隊では現在、三沢基地に3機が配備されていますが、15日に通信が途絶えた機体は、三沢基地を午前10時20分に離陸しました。しかし、午後1時前に通信装置との接続不良が発生。その3分後には、鳥取県沖の北側約50キロでレーダーから消えたといいます。
(Q.何をしている最中か)
「本機につきましては…訓練ではありませんでした」
(Q.操縦者は三沢基地にいるのか)
「基本的には三沢基地という私は認識なんですが、先ほどのご質問と合わせてですね、回答させていただきます」
(Q.操縦者は不審な挙動を感じたのか)
「現在分かっている限りでは、先ほど申し上げた通り、鳥取県沖北50キロの洋上で通信途絶をした状況であり、それまでのところも含めて現在確認中であります」
通信が途絶えてから約1時間半後、海上保安庁の巡視船と、航空自衛隊が海上に浮遊物を発見。当該機は墜落したと推定しました。機体の回収を進めるとともに、原因を調べています。
“空飛ぶ監視塔”に何が
グローバルホークという機体は、アメリカで無人偵察機として開発されたものが、2023年までに青森県の三沢基地に3機配備されました。全長約15メートル・幅約40メートルと、無人偵察機としてはかなり大型の部類になります。
民間航空機が1万2000メートルほどの高度なのに対し、グローバルホークの最大高度は約2万メートルと高い所を飛び、通称“空飛ぶ監視塔”とも言われています。この機体の特徴は、遠隔操縦、頻繁な離着陸が不要で約36時間滞空し続けることができる点です。
関係省庁の資料には、グローバルホークは万が一何らかの理由によって通信が途絶した場合は、事前に設定した飛行場に自動的に着陸する機能があるということです。しかし今回は、墜落した可能性があるということで、元航空自衛隊空将の荒木淳一さんに聞きました。
(Q.墜落したとすれば、何が原因だと考えられますか)
「グローバルホークは一般の航空機のさらに上空を飛行しているため、鳥などが飛んでいる高度ではないので、ぶつかる可能性は全く考えられない。エンジントラブルで推力が失われた可能性がある」
(Q.3機のうち1機がなくなってしまうと、どれだけ影響が出ますか)
「3機態勢は“ギリギリの運用”。1機が失われたとみられる状況で、もう1機が長期整備に入ったら、1機だけの運用になる。そこで何か起きれば任務が滞るリスクもはらむ」
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