社会

ABEMA NEWS

2026年9月19日 11:15

「昨日・ドッグラン・楽しい」飼い犬がボタンを押して伝えた? ペットとの会話は可能か、思い込みか…「犬の能力は過小評価」“フォロワー12万超”天才ボーダーコリーの飼い主が語るポテンシャル

「昨日・ドッグラン・楽しい」飼い犬がボタンを押して伝えた? ペットとの会話は可能か、思い込みか…「犬の能力は過小評価」“フォロワー12万超”天才ボーダーコリーの飼い主が語るポテンシャル
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 インスタグラムのフォロワーが12万を超える、ボーダーコリーのルークくんが注目を集めている。その人気の理由は見た目の可愛さだけではない。床一面に並べられた83個のボタンを自ら押し、飼い主のルークパパ氏とコミュニケーションを取るという。いわゆる“トーキングボタン”と呼ばれるツールで、各ボタンには人間の声が録音されており、押すとその言葉が再生される仕組みだ。

【映像】天才犬・ルークくんが“眠くなると押す”ボタン(実際の様子)

 ルークパパ氏はルークくんが生後7ヶ月の頃からボタンを導入し、最初は「ご飯」「水」などの基本的な要求を伝えることから始めた。それから約3年が経った現在、大体夜8時過ぎに就寝の準備としておしっこや歯磨きを自分から促すなど、ボタンを用いて日常的な意思表示ができるようになったという。ルークパパ氏が最も確信を持ったのは、代々木公園のドッグランに遊びに行った翌日、ルークくんが「昨日」「ドッグラン」「楽しい」という3つのボタンを連続して押した出来事だったと話す。

 トーキングボタンが本当に犬の“意思表示”なのか、それとも条件付けによる行動や飼い主側の思い込みなのか。『ABEMA Prime』ではペットと人間のコミュニケーションの可能性と限界について考えた。

■「昨日・ドッグラン・楽しい」は偶然か、それとも意思か

コミュニケーションに用いられる“トーキングボタン”

 この日スタジオにはルークパパ氏がボタンの一部を持参した。ルークくんは場所で各ボタンを覚えており、全部で83個のボタンを使いこなしているという。単語だけでなく、2〜3つのボタンを組み合わせた表現もあるといい、「今」「後で」などといった時間的概念を示すボタンも持っているという。

 中でも話題になったのが、前日の出来事を翌日に表現したとされるエピソードだ。ルークパパ氏は「当時の時点でボタンが約40個あり、その中からたまたまその特定の3つを押す確率は非常に低い。前日に起きたことの状況がたまたま押されたという確率は非常に少ない」と主張、言葉を理解していると確信していると語る。

 これに対して、犬と人間のコミュニケーションを研究する立正大学心理学部特任講師の高岡祥子氏は、「すごく面白い」としながらも、「物の名前以外の『昨日』や『痛い』のような、物の名前以外の言葉を犬が使った時、人間にとって意味が通る場面だけが飼い主の記憶に残り、意味として成立しないボタンの押し方は見過ごしてしまうことがあるのではないか」と語った。

 また高岡氏は、2024年に発表されたカリフォルニア大学の研究を紹介し、トーキングボタン(サウンドボード)を使って犬が飼い主とコミュニケーションを取るという報告は世界中でなされていると説明。「外」や「ご飯」といったボタンを押すと飼い主が対応してくれるというやり取りは成立していると言われている。ただ、「犬にとってはこのボタンを押すと飼い主がご飯をくれるという条件付けが起こっていて、それを上手に学習しているという側面もある」とし、「『昨日』や『楽しい』など、出来事や状況の説明をするような言葉については、そういうボタンの押し方があったとしても、解釈はすごく慎重にやらなければいけない」と述べた。

■犬はどこまで言葉を理解しているのか

犬の言語能力に関する主な研究

 科学的な研究においても、犬の言語能力の高さは近年注目されている。高岡氏によれば、2011年にはボーダーコリーのチェイサーという犬が1000以上のおもちゃの名前を覚えたことが有名な研究として発表された。そして2026年の最新研究では、言葉の習得が得意な一部の犬が、飼い主から直接教わらなくても人間同士の会話を観察するだけで新しいおもちゃの名前を覚えられることが示された。「犬が言葉を覚えるやり方が、まるで人の子どもの1歳半ぐらいの言葉の覚え方に似ているというところがすごく重要」だと高岡氏は説明する。

 ルークパパ氏は、ボタンによるコミュニケーションを通じて、これまで気づかなかった犬の意思を知ることになったと語る。「散歩はみんな喜ぶものだと思っていたが、トーキングボタンを使うようになってから、(ルークは)散歩が実はそんなに好きじゃないとわかった」と明かす。散歩に誘うと「明日」や「後で」、あるいは「暑い」「寒い」といったボタンで断ってくることもあるという。さらに、「仕事で忙しく遊んであげられない時に『後で』と言い続けていると、そのうち『怒る』というボタンを押してくる」とも述べた。

 一方でルークパパ氏自身も、「思い込みも確かにあるとは思う。ただ、ボタンを使って言葉で返されると逃げようがない」と語る。ボタンを通じたやり取りによって、ルークくんの意思を以前より具体的に受け止めるようになったという。

 また高岡氏は、「犬は人の目線やボディーランゲージを柔軟によく読み取って反応している一方、人間が犬の感情を正確に理解できているとは限らないと指摘。「犬が笑っているというスマイルの表情は、リラックスしている時だけでなく、ストレスを感じている時や怖い時にも出る表情。それを人間が誤解してしまうことがある」と述べた。しっぽの動きについても「上がっているからといって必ずしもすごく喜んでいる時ばかりではない。体全体を見て状況も合わせて理解することが重要だ」と語った。

■「犬の能力は過小評価されている」??ルークパパの確信と専門家の提言

研究でわかっている犬の能力(一例)

 シナモンAI代表取締役社長の平野未来氏は、「昔犬を飼っていたが、もっと(コミュニケーション)できたんだというのが今日の学び。次に犬を飼う時があればボタンを絶対に使いたい」と述べ、犬と人間の意思疎通の可能性に興味を示した。これに対し高岡氏は、計算ができる馬として知られたものの、実際には周囲の人の表情や動きから答えを読み取っていたとされる 「クレバーハンス」の事例を紹介。「私たちが意識しない(表情や動作による)コミュニケーションが実はあるのではないか」と話した。

 ルークパパ氏は「犬の能力はだいぶ過小評価されていると思う。犬はこんなもんだろうと思っているのが、一番犬にとっての障害になっている。もっと犬に能力があるんじゃないかと思って接していけば、もっといろんな能力が表に出てくるんじゃないか」と語り、教育環境による伸びしろを強調した。

 高岡氏は最後に「犬は人と違う。だからこそ犬のことをもっともっと理解することで、人と犬が良いパートナーにもっともっとなれていくんじゃないか」と述べ、種の違いを前提にした相互理解の深化こそが、より豊かな関係につながると提言した。

(『ABEMA Prime』より)

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