SNSに投稿された「オフィスグリコを眺めているだけで、年収950万円の本社窓際マンになりました」という一文が話題を集めた。投稿主は大企業の総務で働く30代の男性で、社内のオフィスグリコを管理するだけの、いわゆる「社内ニート」状態だという。
何もしないで給料がもらえると羨む声がある一方、「給料泥棒」「会社にとって負債でしかない」といった厳しい意見も噴出した。社内ニートはなぜ生まれ、どう向き合うべきなのか。『ABEMA Prime』では、当事者2人らとともに考えた。
■入社2カ月で戦力外「自分は悪くない」と感じる部分も

IT企業に勤める20代のアミライさんは、入社2カ月で社内ニートになった当事者だ。1カ月の研修を終えて現場に出たものの、2週間あまりでトラブルが続発した。会社のフロアのWi-Fiを一時的に使えない状態にしてしまったり、パソコンの設定を誤って変えて使用不能にしてしまったりと失敗を繰り返した結果、現場から戻されてそのまま約3年が経過している。
現在は1週間のうち実際に仕事をしている時間は2時間ほどで、残りはブラウザでゲームをしたり、社内の植物に水をやったりして過ごしているという。年収は350万円だ。
アミライさんは自身の状況について、「入って2カ月目なのに、フォローもないまま放っておかれるのはどうなのかなと思っている。自分は悪くないと思っている部分もある」と述べる。成長できていない点は自覚しつつも、「今のポジションが楽なので、そこまで焦らなくてもいい」とも話す。今後に向けてはMicrosoft系の初級資格の取得を目指して勉強しているといい、転職については「今すごくいい状況にいるので、まあいいかな」と語る。
ひろゆき氏は、「パソコンを使えない状態にしてしまうような人に仕事を振らないのは当然」と指摘したうえで、「教えてくれないからこうなったんだというのであれば、それは『教えても無理だ』と周りが判断してしまう。仕事を振ることがなくなるのはエンジニア的には当然だ」と述べた。
製造業の大企業に勤める40代のヒライムさんは、かつては昇進を目指して働いていたが、育休取得をきっかけに状況が一変した。「育休を取ったら、その腹いせでやられた感じがある。嫌な仕事を押し付けられたり、明らかに評価をしないやり方をとられたりした。そうなるとやっぱり人間はやる気がなくなる」と振り返る。
上司との関係が悪化して「仕事への熱意もゼロになった」といい、以来4年間、社内ニート状態が続いている。年収は777万円で、現在の座右の銘は「仕事はしたくないが、お金は欲しい」だという。出社はしているが、工場をぶらぶら歩いたり、プライベートのnoteに書く内容を考えたりして時間を過ごしていると明かした。「会社から1円でも多く奪い取ってやろうかな」とも語る。
同じような境遇の社員がほかにもいるかという問いに、ヒライムさんは「だいたい定年退職まで逃げ切っている感じ」と答えた。
■企業は「社内ニート」とどう向き合うべきか

人材育成を手がけるFeelWorks代表の前川孝雄氏は、社内ニートが生まれる背景として3つの要因を挙げる。1つ目は採用のミスマッチ、2つ目はミドルシニア層のリスキリングの壁、3つ目は育児・介護・治療など多様な事情を抱える社員を企業がうまく活用できていないことだ。「少子高齢化の中、国も働く人を増やす策はたくさんしてきたけれど、どうやってモチベーションを上げるか、どうやって活躍してもらうかが後手に回っていたことが大きい」と説明する。
解決策としては、まず上司による1on1ミーティングなど丁寧なコミュニケーションを通じて、社員が何をしたいのかを引き出すことが重要だと述べる。「キャリア自立という観点で、1人ひとりがどういうキャリアを描きたいのかをはっきりさせ、会社の中で活躍できる場を自ら取りに行くことが大事になってきている。今の上司はハラスメントを恐れて若手に強く言えないという声が非常に多く、指導できないことが問題になっている」と指摘する。
一方、ひろゆき氏はより現実的な見方をする。「やる気のない人を活用しようとするより、他のやる気のある人に時間をかけた方がいい。法律上クビにすることが難しいのであれば、無能な人は居座り続けた方が得だし、他のスタッフが優秀であれば、教育も出世もそちらでやればいい。会社がぜひとも解雇したいという覚悟と努力をする気がないなら、このままでいい」と述べる。大企業ほど解雇に踏み切れず、何もしないことを最適解として選んでいるのだとも話した。
プロデューサー・若新雄純氏は、社内ニートは構造的に生まれるものだという立場をとる。「評価制度がある以上、できない人が必ず出る。社内でできない社員を生みたくないなら、評価制度を撤廃して横並びにするしかない。と語る。また、「雇用というのは本来、優秀な人のためにあるものではなく、仕事がうまくなくても生きていきたいという人のためにあってもいいと思っている。今日の2人が不幸そうではない以上、社会全体として手厚い状況になっていていいなと感じる」とも述べた。
さらに若新氏は、「人間がやる気を出すのは、やる気を出さざるを得ない状況になった時だ。危機感があれば動く。ただ会社が守ってくれている限りはなかなか難しい」と指摘。一方でひろゆき氏は、アミライさんのような20代については、「会社が傾いて30代でいきなり職歴が何もない、元エンジニアだけどスキルもないとなったら結構きつい。そこは自覚した方がいい」と釘を刺していた。
(『ABEMA Prime』より)