社会

モーニングショー

2026年9月24日 16:00

“睡眠の研究”で『ラスカー賞』柳沢教授『社会的時差ボケ』で経済損失1兆円!?

“睡眠の研究”で『ラスカー賞』柳沢教授『社会的時差ボケ』で経済損失1兆円!?
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モーニングショーにも出演し、睡眠について解説してくれた筑波大学の柳沢正史教授が、アメリカで最も権威のある医学賞『ラスカー賞』を受賞しました。

『ラスカー賞』はノーベル賞の登竜門とされています。
授賞式を終えて帰国した柳沢教授に、睡眠の最新研究についてお聞きします。

■米最高権威『ラスカー賞』 柳沢教授明かす授賞式の“舞台裏”

授賞式が行われたのは9月17日でした。

ニューヨークで行われた式典で、柳沢教授は、アメリカで最も権威のある医学賞『ラスカー賞』を受賞しました。

ラスカー賞とは、どんな賞なのでしょうか。

1945年に、アメリカの実業家、アルバート・ラスカーさんと妻のメアリーさんが創設した賞で、病気の解明や治療などで大きな貢献をした科学者らに贈られます。
毎年9月に受賞者が発表されます。

ラスカー賞には、複数の部門があります。

2026年の受賞者です。
『基礎医学部門』は、柳沢教授と、同じく睡眠を研究しているアメリカのミニョー教授が共同で受賞しました。
賞金25万ドル、日本円で約3900万円は、お二人に分配されます。

『公共部門』で受賞したのは、アメリカの俳優、マイケル・J・フォックスさんです。
自身がパーキンソン病であることを公表し、病気への社会的な関心を高めたことが評価されました。
『臨床部門』は、血が止まりにくくなる病気、『血友病』の薬を開発した、中外製薬の北沢さん、服部さん、井川さんに贈られました。

賞金とともに贈られるのが、こちらの像です。
『勝利の女神』の像として知られ、フランスのルーブル美術館に展示されている『サモトラケのニケ』をかたどった銅像です。
『病への勝利』を象徴するデザインとなっています。
高さは約30センチで、受賞者の氏名や功績が、台座に刻印されます。

こちらは、授賞式の前日に行われた夕食会の様子です。
ニューヨークにある、ミシュラン3つ星のフレンチレストランで開催されて、ノーベル賞の受賞者も多く出席したということです。

カジュアルな夕食会の翌日、迎えた授賞式の雰囲気はどうだったのでしょうか。

柳沢教授です。
『雰囲気は“アメリカ的”。フォーマルだが、スピーチには必ず笑いが入る。温かい雰囲気で、そこそこのジョークでもウケる。もちろん、スピーチ内容は極めて真面目」ということです。

ラスカー賞が注目される理由があります。

実は、ラスカー賞の受賞者の3.6人に1人が、ノーベル賞を受賞しています。
ラスカー賞は『ノーベル賞への登竜門』としても知られています。

日本人では、免疫のカギとなる抗体を研究した利根川進さんが、1987年にラスカー賞を受賞して、同じ年に、『ノーベル生理学・医学賞』を受賞しました。

また、iPS細胞の作製に世界で初めて成功したことで知られる山中伸弥さんは、ラスカー賞を受賞した3年後の2012年に、『ノーベル生理学・医学賞』を受賞しています。

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■眠りのメカニズム解明 睡眠障害の治療に貢献

柳沢教授の功績と、その意義をみていきます。

柳沢教授は、睡眠と覚醒を調節する脳内物質『オレキシン』を発見しました。
この発見が、睡眠のメカニズムの解明や睡眠障害の治療につながったことが評価されて、今回、ラスカー賞を受賞しました。

覚醒と睡眠のメカニズムです。

日中は、オレキシンの分泌量が増えて、目が覚めている状態が保たれます。
夜が近づくと、だんだんと眠気が増えて、オレキシンの分泌量が減っていくことで、目が覚めている状態が維持されなくなって、眠ります。

オレキシンの発見をきっかけに、安全性の高い睡眠薬が開発され、広く使われています。

目が覚めている状態を保つオレキシンの働きを抑え、自然な眠りを促す睡眠薬が、2014年に発売されました。
このタイプの睡眠薬は、従来の睡眠薬に比べて、『依存性が低い』とされています。
また、筋肉が緩む作用がなく、例えば、夜中にトイレに行くときに転んで、骨折するなどのリスクが低いことも特徴で、オレキシンの発見が、医薬の進歩につながっています。

オレキシンの発見は、睡眠障害の原因解明にも役立っています。

日中に突然眠ってしまう『ナルコレプシー』という睡眠障害があります。
これが、オレキシンの欠乏によって起きることを、柳沢教授が解明しました。

ナルコレプシーの患者は、柳沢教授によると、日本人の1000人に1人ほどいるとみられます。
厚生労働省の専門家部会は8月、ナルコレプシーの治療薬の製造販売承認を了承しました。

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■最新研究『社会的時差ボケ』とは?『睡眠時間』『夢』新常識も

柳沢教授の最新研究について、見ていきます。

柳沢教授が監修する、スマホを枕元に置くと、睡眠時間や眠りの深さを計測できるゲームアプリ『ポケモンスリープ』のデータを使用し、8万人の睡眠を調査したところ、平日と休日の睡眠時間にずれがある『社会的時差ボケ』がある人ほど、労働生産性が低い、ということがわかりました。

社会的時差ボケとは、例えば、平日は夜11時から朝6時の7時間寝て、休日は夜中1時から昼前11時まで寝る人は、睡眠時間の中央値が平日は午前2時半、休日は午前6時となり、3時間半のずれが出ます。
このずれが生じることを『社会的時差ボケ』といいます。
2時間以上のずれが生じると、『社会的時差ボケ』の影響が大きいといいます。

健康的な睡眠の人と、社会的時差ボケの人の、労働生産性を比較すると、社会的時差ボケの人は、年間13万6000円の経済損失に相当するという結果が出ました。
これを日本全体に当てはめると、不規則な睡眠習慣によって、年間約1兆円の経済損失が出ている、ということです。

柳沢教授です。
「社会的時差ボケは、酒に酔っている状態と同じ。どうしても休日に多く寝たい場合は、早寝遅起きで中央値をなるべく合わせる」ということです。

最適な睡眠時間はどれくらいなのでしょうか。

柳沢教授によると、
「最適な睡眠時間は遺伝子で決まっている。実験して調べるのがおすすめ」ということです。

どのような方法かというと、『4日連続で眠りたいだけ眠る』という方法です。
例えば、1晩目に、寝不足分を含め長時間睡眠し、10時間寝たとします。
2晩目は、1晩目より短く、8時間。
3,4晩目がさらに短く、7時間になったとします。
すると、この、3,4晩目の7時間が、自分にとって最適な睡眠時間ということになります。

柳沢教授です。
「実験をすると、多くの人が自分が思っているより長い睡眠時間になるはず。無自覚で睡眠時間が足りていない人が日本人は多い」ということです。

睡眠の新常識についてみていきます。

睡眠時間と摂取カロリーの関係についてです。
こちらの研究では、太り気味で睡眠不足の人たちに、「1日8時間30分寝てください」という指示を出します。
2週間後、1日の平均摂取カロリーが約270キロカロリー減少しました。

柳沢教授によると、
「睡眠不足は肥満の最大の原因。ダイエットをするには、しっかり眠ることが重要」だということです。

続いて、寝る前のスマホの使用についてです。
睡眠を妨げる光がカットされる、ナイトモードで、映画や音楽など、自分がリラックスできるコンテンツを利用することは問題ないということですが、SNSやゲーム、ショート動画など、脳を興奮させるものは避けるべきだということです。

続いて、『夢』についてです。

『夢を見る』ことは、イコール『睡眠の質が悪い』ということではなく、柳沢教授によると、
「夢は現実世界で起こり得ることの予行演習で、ストレス耐性を高めているという学説も」あるということです。

最後に、『睡眠は“90分サイクルではない”』ということです。

柳沢教授によると、
「『ノンレム睡眠』と『レム睡眠』の1サイクルは平均90分間だが、一晩で60分から120分と揺らぐ。『90分の倍数で起きるのがいい』というのは、何も根拠がない」ということです。
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■解明されていない『眠気の正体』に迫る研究

睡眠研究のスペシャリスト、柳沢教授ですが、まだ解明できていないのが『眠気の正体』です。

1万匹以上のマウスを使った実験があります。
普通のマウスとよく眠るマウスを比較した結果、脳内で眠気を高めているとみられる80種類のたんぱく質を発見しました。
ただ、これらのたんぱく質がどう連動して、眠気と関わっているのかは不明だということです。

柳沢教授です。
「睡眠中に眠気が解消されていくのは当たり前なことだが、そのメカニズムはほとんど何も分かっていない。今後の研究で眠気の正体を解明できれば本望」だということです。

(「羽鳥慎一モーニングショー」2026年9月23日放送分より)

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