近年、若者の「なりたい職業ランキング」にランクインするなど、SNSやメディアでインフルエンサーとして脚光を浴びるキャバクラ嬢。一方で、煌びやかな一面ばかりが過剰に発信され、業界を美化しすぎているのではないかとの批判も相次いでいる。こうした夜職のあり方と情報発信の課題について、『ABEMA Prime』で現役キャバ嬢や元キャスト、経営者らを交えた議論が行われた。
■アイドルと同じか、それとも別物か…「持ち上げすぎ」を巡る賛否

キャバ嬢がメディアで持ち上げられる現状に対し、現役のキャストからは肯定的な意見があがった。キャバクラ歴5年目の家入みずほ氏は、「感覚的にアイドルと同じではないか。キャバ嬢が持ち上げられるのも、アイドルが卒業して女優になっていくのも変わらない。なぜキャバ嬢だけ職業差別的に大々的に叩かれるのか」と主張。「批判したりするからメディアが面白がって取り上げる。人が興味ないコンテンツは誰も興味を持たず、持ち上げられることもないので、無視しておけばいい」との見方を示した。
キャバクラ歴4年目のらむ氏も、「メディアでキラキラしているのは、その子が頑張った結果であり、次につながるものだから全然いいと思う」と同調した。一方で、情報発信のあり方については、「メディアはキラキラしているところばかりを出すが、最初から(客が注文して)シャンパンが開くわけではない。0からのスタートなので、それを見てキャバ嬢になりたいと思う女の子たちには勘違いしてほしくない。ズルズル続けてしまう先輩も見てきたので、始めるなら終わりの時期を決めておくのがいい」と、実体験に基づく警鐘を鳴らした。
■「9割が売れない人たち」元銀行員キャストが語る厳しい現実

こうした「持ち上げすぎ」の風潮に対し、元銀行員で元キャバ嬢の鐘崎リリカ氏は、「キャバ嬢は憧れの存在になってはいけない」と強い反対意見を述べた。
鐘崎氏は、「一般企業に就職する道筋がある高校生や大学生が、メディアを見て安易に足を踏み入れ、大学を卒業するよりも楽しいからと居座ってしまった場合、その人生がどうなってしまうのか」と危機感を示し、「メディアは上位1〜2%の世界だけを報道している。9割の売れていない人たちが35歳、40歳になった時にどうするのか」と厳しい現実を指摘した。
さらに社会的な評価についても、「履歴書にキャバ嬢をやっていたと書いて、普通の企業が採用するのかという問題がある。職業差別というより、ずっと銀行員だった人とどちらを取るのかという、社会一般の厳しい現実がある」と語った。
■蔓延する薬物や客の“過課金”…経営者が明かす「夜のライフライン」の変容と実態

現役のキャバクラ経営者である桜井野の花氏は、「水商売全体がメディアに露出することに否定的だ」と語る。「最近はメディアやお店側が『これだけ売上を立てたらメディアに出してあげる、(宣伝の)トラックを走らせてあげる』といったことを餌にして、キャストに売り上げを立てさせている。スポットライトを浴びすぎているからこそ、キャストもお店もお客様に無理をさせるケースが多くなっている」と、業界の売上至上主義が生む歪みを指摘した。
さらに桜井氏は、本来キャバクラが担っていた役割について、「学歴がない人や、過去に罪を犯して一般企業に採用されない人などが人生を諦めずに働ける場所、いわば『夜のライフライン』であるべきだ」と言及。「昔は家庭環境などでお金のトラウマがある方や、貧乏な人が働く場所だった。だからこそ、今の大学生などが片手間のダブルワークで参入してくる現在のキャバクラ業界には、少し違和感がある」と明かした。
ただ一方で、業界の長所として、「普通に就職したら出会えないような経営者や権力者と知り合い、お金をもらいながら経営の勉強ができる。こんな素晴らしい仕事はないとも思っている」と補足した。
また、業界が抱えるリアルな問題として「薬物の蔓延」の実態も告白した。「一緒に薬をやってくれたらいくらあげる、とアフター先で誘ってくる客は本当にいっぱいいる。実際にハマってしまっているキャバ嬢もホストも客もいっぱいおり、昔よりも蔓延しているイメージだ」と語る。
過去には反社会勢力に「花代(みかじめ料)」を納めなければ営業できない店舗もあったというが、一部グループが声を上げたことなどによる業界内の自浄努力により、そうした店舗は激減したと説明する。しかし、現在は風営法改正による「色恋営業」への厳格化など、新たなトラブル対応にも追われている。「付き合えるかもとお客さんを引っ張ったら違反になり、お店が営業停止になることもある」と、経営者ならではの苦労も吐露した。
■業界のクリーン化と過渡期の課題
こうした業界の実態を踏まえ、EXIT・兼近大樹は、「芸能界だって歴史が浅く、元々はそんなにクリーンなイメージはなかった。いろいろな人たちが頑張ってパブリックイメージが良くなったから、当たり前のように媒体に出ている」と指摘。その上で、「現在のキャバクラは、少しグレーなものを白く見せているから問題視されている。夜の世界は『過課金』をさせてしまう節があり、ほとんどの人がそこを危険だと感じている」と分析した。
兼近氏は今後の展望として、「今後、ちゃんとした経営者が浄化していくことでクリーンになっていけば、憧れる職業になってもいいのではないか。今はまだそこへ到達していないのに、番組などがガンガン出して子どもたちが行きたがる構図が良くない」と主張した。
(『ABEMA Prime』より)