昨年7月、沖縄県北部に開業した大型テーマパーク「ジャングリア沖縄」が苦境に立たされている。USJを再建した森岡毅氏が手掛けることで大きな期待を集めたものの、初年度の来場者数は目標に届かず、多額の赤字を計上した。公的資金も投入されていることから、その先行きには厳しい目が向けられている。このテーマパーク事業の現在地と今後の打開策について、『ABEMA Prime』で議論が行われた。
■総工費700億円と173億円の赤字…公的マネーも投入された背景

沖縄北部の自然環境を活用し、国内外から観光客を呼び込むことで地域経済の活性化を目指して作られたジャングリア沖縄。総工費はおよそ700億円にのぼる。事業をめぐってはクールジャパン機構(官民ファンド)が森岡毅氏が率いるマーケティング会社『刀』に80億円を出資したほか、沖縄振興開発金融公庫(政府系金融機関)が30億円のつなぎ融資をする方向で、公的マネーも投入されている。
しかし、初年度の来場者数は目標として掲げていた150万人に対し、およそ延べ100万人にとどまった。初年度決算では、運営会社の最終赤字は約89億円、親会社の最終赤字は約173億円となっている。東京ディズニーランドやUSJといった都市部のテーマパークが初年度から1000万人規模の来場者を集めていることと比較すると、厳しい立ち上がりとなった。
この状況について、明治大学兼任講師でテーマパーク経営を研究する中島恵氏は、「東京や大阪のいい立地に作るテーマパークと違って、地域活性化が必要なエリアに集客施設を作り、人口が少ないところに遠方から客を呼ぶという非常に難しいビジネスモデルだ」と背景を説明した。
現状のジャングリアが抱える課題について、沖縄在住で実際に子連れでパークを訪れたという営業コンサルタントのTAKA氏は、「歩く距離が長いと率直に感じた」「小さい子どもが乗れるアトラクションが少ない」と自身の体験を振り返った。「途中に見られるものや、子どもの興味を惹くものがあった方がもっと楽しめた」といい、午後から半日程度の滞在で、実際に乗れたアトラクションは2つだけだったと明かした。
地元での受け止め方についても、「ジャングリアのおかげで宿泊が増えた、売り上げが上がったといった恩恵はそこまで感じていない」とする一方で、「地元の企業からすると、やんばる(山原)という地域に大きいテーマパークを持ってきてくれたことには、すごく感謝している。恩恵は受けられていないが、なんとか踏ん張ってほしいという声は聞いている」と明かした。
2ちゃんねる創設者・ひろゆき氏は、地方にある海外の遊園地を例に挙げ、「人件費が低い。入り口に人がいるだけで、あとはほぼ何もしないようなものだと利益率が高くなるが、ジャングリアは従業員が1000人もいて多すぎる」と指摘。「どんな知らないところでも、行ってみてアトラクションを何個か乗って時間が過ぎれば『楽しかったよね』となる。問題は半日で2つしか乗れないことだ。1時間おきに1つずつで5、6個乗れたら満足なのに、3時間歩いて1つだから不満になる。(来場者の)人数が多すぎるのが問題だ」との見方を示した。
プロスケーター・安藤美姫氏は、レゴランドやジブリパークといった他の施設と比較し、「ただ歩いていても楽しい空間というのが、ジャングリアにはまだないのかなと思う。ジャングリアはただ森があってという感じで、世界観がまだ表現できていない」と問題提起した。「沖縄に旅行に行くメリットは自然を楽しむことだと思うので、沖縄の良いところを取り入れながらやるべきだったのでは」と語った。
近畿大学情報学研究所所長・夏野剛氏は、沖縄にある別の施設「ナゴパイナップルパーク」を挙げ、「施設費は多分10分の1以下だと思うが、なぜか恐竜がいてネタになっていて面白い。カートに乗ってぐるぐる回って2時間で終わりだが満足度は高い。年間60万人も入っている」と説明し、「(パークとして)バランスを整えるということがすごい大事だ」と主張した。
■夜間営業へのシフトかVIPモデルの導入か…浮上する打開策

多額の赤字からの復活に向け、どのような打開策が考えられるのか。TAKA氏は、ジャングリアから見える夕景の写真を提示しながら「夕方、やんばるの森から沈んでいく夕日はすごく綺麗な場所で、幻想的に感じた」と語り、夜の営業へのシフトを提案した。
「例えば、離島からフェリーで戻ってこられる時間が16時台。そこから夜、北部でやることがないという層を取り込み、ジャングリアで遅くまで遊んで1泊するという需要が増える可能性がある。もともと掲げていた北部での宿泊を増やすことにも繋がる」と述べた。
ひろゆき氏は、コスト削減と利益確保の観点から、「お客さん1人あたり『1時間に1個は必ず乗れますよ』というぐらいに来場者数を制限し、そこで無理やり回せるぐらいまで従業員の数を下げて、利益が出るなら続けられる」と提案した。さらに、「1日10組限定のVIPで、10万円払うけど一切並ばずにカート移動で、(従業員が)全部連れて行ってくれる」といったモデルを挙げ、「待たなくていいがお金がかかるモデルと、お金がない人向けと、2つに分けてしまった方がいい」と具体的な施策を語った。
開業当初は「炎天下で300分待ちはキツ過ぎる」といった不満が相次いだが、現在では改善も見られている。同規模の来場時で比較すると、最大300分だった待ち時間は最大60分に短縮され、1日平均で体験できる数も当初の約2.3個から4.5個へと増加している。また、屋根付き休憩所の整備やベンチの増設など、暑さ対策も進められているという。
番組が運営会社に対し今後の収支改善について取材したところ、「事業の安定化に向けて、既に様々な施策を行っている。開業当初にご不便を生じていたところから、パークの満足度は飛躍的に向上し約9割に到達している。立ち寄り需要については今夏より投入した短時間滞在に適したチケット『ふらっとチケット(大人2970円〜)』によって、旅行中の需要を確実にとらえることができている」との回答が得られた。
また、一部の事業継続を危ぶむ声に対しても、「ジャングリア沖縄は現在も通常通り営業を行っており、今後も変わらずパークの運営を継続していく。ぜひ安心して立ち寄りいただきたい」とメッセージを寄せた。
(『ABEMA Prime』より)