社会

ABEMA NEWS

2026年10月4日 15:00

「色々お金がかかるので…」別れた後も同じ布団で就寝…増加する“同居離婚”弁護士が語るメリット・デメリットとは「ルールあいまいだとトラブルに」

「色々お金がかかるので…」別れた後も同じ布団で就寝…増加する“同居離婚”弁護士が語るメリット・デメリットとは「ルールあいまいだとトラブルに」
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 厚生労働省が発表した2025年の離婚件数は17万9068組。性格の不一致やハラスメント、不倫などを理由に、おおよそ3組に1組が離婚すると言われる現代において、ある夫婦の形が注目を集めている。戸籍上は他人となっても同じ家に住み続ける“同居離婚”だ。

【映像】離婚後も同居、一緒に寝ている“元夫婦”お笑いコンビ

 漫才協会に所属するベテラン漫才コンビ、はまこ・テラこは、結成17年目にして元夫婦。10年にわたる夫婦生活を経て離婚し、現在は8年間にわたり同居を続けており、今でも同じ布団に2人横並びになって寝ているというから驚きだ。

 離婚相談に1万組以上対応してきた齋藤健博弁護士によれば、この同居離婚という選択は「従前とは考えられないくらい増えている」という。『ABEMA Prime』では、当事者たちの実態と背景、そして同居離婚のメリットとデメリットについて考えた。

■「性の不一致」と「お金」??それぞれの離婚の理由

離婚後も横並びで寝ているはまこ・テラこ

 はまこ・テラこの離婚の原因について、テラこは「私が彼のことを異性として見られなくなってしまった。はっきり言うと、“性の不一致”ですね。性生活がなくなって、それが一番の原因です」と語る。原因は自分側にあると明言するテラこに対し、はまこは「めちゃくちゃショックで、5ヶ月ぐらいずっと『やだやだ』って言っていた。最終的にはこの人の意見を尊重して受け入れました。本当は絶対別れたくなかった」と振り返る。

 離婚後も同居を続ける最大の理由について、テラこは「一番大きいのは金銭面ですね。一人暮らしだと今とても(お金が)かかるじゃないですか、家賃にしても何にしても」と説明する。さらに「仲が悪くて離婚ということは全くない。人としての愛情はある。人としては信頼してますよ」とも述べ、摩擦がないからこそ別居する理由がないと話す。同じ布団で眠り続けていることについてもテラこは「男性として見ていないから同じ布団で寝られる。男じゃない、ただの人だから」と説明した。

 番組には、9年間の結婚生活を経て3年前に離婚し、現在は元夫と11歳の息子と3人で暮らすつづきさん(仮名)も出演。つづきさんの離婚原因は家事・育児の負担の偏りだったという。「元夫に対して私自身が期待できなくなった。子どもが生まれて産休・育休を経て、家事育児の比重が私に偏っていった時に助けてもらえないことが続いた。『自分の幸せってなんだろう』と思った時に、相手への気持ちがなくなっているなと感じた」と語る。

 注目すべきは、離婚を本格的に切り出したことで元夫の態度が変わり、家事・育児の分担も変化したという点だ。「本気で離婚するってなった時に、向こうの心が入れ替わっていった」とつづきさんは説明するが、「自分の気持ちがポキッと折れてしまっていて戻ってこなくて、夫婦という形はもう卒業したいとなった」と、離婚の意思は揺るがなかったと話す。

■「妻としての役割」からの解放??同居離婚が選ばれる背景

同居離婚は増加傾向にあるという

 同居離婚が増えている背景について、株式会社笑下村塾代表のたかまつなな氏は「奥さん側が妻としての役割を社会からすごく求められる。地方に行くと『〇〇さんの奥さんはなぜ来ないのか』『〇〇さんの奥さんはこれをやるべきだ』というのがしんどくなって、旦那さんとの関係は変わらなくて、子どものことも大事にしたいけど、『妻として』を終えたい、というのはよく聞く」と指摘する。

 同居したままでも“妻”という役割が消えるのかという疑問に対し、たかまつ氏は「それは言い訳できる。もう旦那じゃないからとか、別々なんでって言えるのが大きいんじゃないか」と述べた。

 作家の佐々木俊尚氏は、より大きな社会変化の視点からこう分析する。「結婚というワンパッケージ、恋愛と経済と子育てが一緒になったもので世界中の社会が維持されてきたが、それがワンパッケージじゃなくて良くなってきている。夫婦というものが変わりつつあって、外から見ると異様な夫婦だけど、もはや多様性の一つだよねという関係性が出てきていて、時代としてそういう感じに来ているのかな」と語る。

 この日MCを務めたメルカリ AI strategyのハヤカワ五味は経済面にも言及し、「女性も稼ぎがあって、場合によっては女性の方が稼ぎが多いとなってくると、既存の結婚制度って利用する価値があるのかという話もあるだろうし、なぜ別居しないかと考えた時に、都市部は家賃が高すぎる。だから現実的に考えて別で住む必要もないよね、ということが特に都市部で大きいような気がする」と述べた。

 齋藤弁護士も経済的背景を認め、「お子さんがいらっしゃらないケースでも、離婚するにあたって一番大きいハードルである“別居”を選ばないご家庭は増えている。物価高なども大きな要因だ」と説明する。

■ルールの明確化がカギ??同居離婚のメリットとデメリット

同居離婚と家庭内別居の違い

 同居離婚を続けるにあたって、つづきさんは事前に細かいルールを取り決めている。「もともと同居離婚は全く頭になかった。子どもの存在が大きくて、別々に住んだとしても一緒に子どもを育てたいという思いがあったので、この形が浮かんでいった」と経緯を話す。

 ルールの内容について、つづきさんは「これは“事実婚”ではないことを明確にした上で、子どもが大学に行くまでという期日を明確にしている。お互い再婚したくなることや他にパートナーができることもあり得るよねというところを話し合って、別居したい場合は2ヶ月前に相手に通知し合おう、お金のところはこうしようというように決めた」と説明する。これらのルールは行政書士に大枠を相談し、元夫と話し合いを重ねながら調整したという。

 テラこは同居を続ける安心感についてこう述べる。「もしこの同居中に彼に何かがあったら、私が支えようと思う。人としては信頼している。何かこの人に悪いことがあっても信じていたいし、何かあったら守ってあげたいと思うけど、男じゃないんだ」。佐々木氏はこれを受けて、「シェアハウスで十分と言い切る女性の知人がいて、人と暮らすことで困った時に頼れるとか、電気がついている安心感があるとか、それが満たされるなら結婚する必要はないと言っていた。今のお二人の形態ってまさにそれじゃないか」と指摘した。

 一方、同居離婚のリスクについて、齋藤弁護士は「同居離婚を積極的に選んでルールを明確にできたカップルはいいんですけど、ルールを明確にせずにだらだらと暮らしていって、その後どこかでまた大喧嘩になるというトラブル、これがほとんどだと言ってもいい」と警鐘を鳴らす。また、「財産分与は別居した時点の財産の半分が基本的なルールだが、同居離婚だとどこを基準日にするかというのは新しい法律問題だ」とも指摘する。

 一人親家庭の手当については、元夫と同居しているため受け取れないケースもある。つづきさんは「もともと共働きで同じぐらいの稼ぎがあったので、一人親家庭の手当は一切受けられない状態だった」と話す。

 齋藤弁護士は、同居離婚について問われると「オススメします」と明言した。「離婚したらその辺を歩いている他人になる。一生に一回出会えるか出会えないかというところで見つけてパートナーシップを形成した人たちが急に他人になる。それはもったいないことでもあるし、いがみ合って離婚するよりも同居生活を続けていくことで新しい未来が見えてきてもいいんじゃないか」と自論を述べた。

 つづきさんも「相手をパートナーとして見ることはできなくなったとしても、人としての尊重はあるし、今まで積み上げてきた思い出は大切にしていきたい。お互いの人生が幸せな形に、子どもも含めてみんなが着地するような形で進んでいけたらいいなと思っている」と述べ、議論を締めくくった。

(『ABEMA Prime』より)

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