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ABEMA NEWS

2026年10月5日 07:45

外国人の永住許可「厳格化」の波紋…年収基準の設定は社会秩序の維持か、それとも“選ばれぬ国”への道か

外国人の永住許可「厳格化」の波紋…年収基準の設定は社会秩序の維持か、それとも“選ばれぬ国”への道か
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 日本社会において、外国人労働者がコンビニや飲食店、介護現場などで働く風景が日常となる中、在留外国人数は増加傾向にある。そうした中、10月1日に外国人の永住許可に関するガイドラインが改定され、要件の厳格化が進められている。

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 新たな基準では、独立した生計を営む要件として「世帯年収が日本人世帯の平均収入以上(月収換算で約47万9000円)」であることが明記されたほか、年金受給見込み額が厚生年金に30年加入していた水準であることなどが来年の4月から求められる。在留外国人の増加に伴う国民の不安や不公平感を背景に、外国人政策をより秩序あるものにする狙いがある 一方で、基準の妥当性や日本社会への影響を懸念する声も上がっている。この新たな線引きと今後の共生のあり方について、『ABEMA Prime』で議論が行われた。

■永住許可「厳格化」の背景と新たな基準

増加する在留外国人

 法務省などのデータによると、日本国内の在留外国人数は2012年の約203万人から、2025年には約400万人へと倍増する見込みであり、総人口に占める割合も3%を超えている。

 政府とともに永住許可の厳格化を進めてきた日本維新の会・外国人政策と人口戦略調査会長の三木圭恵衆院議員は、厳格化の背景について、「技能実習という制度がなくなり育成就労に変わり、特定技能1号・2号という枠ができた。特定技能2号になれば何年でも働け、家族の帯同も許される。10年住めば永住資格が取れるということで、非常に簡単に取れてしまう状況になり、外国人の比率が上がりすぎてしまう」と説明した。

 さらに、高市早苗総理が「在留外国人が増えることに伴って不安、不公平感を感じる国民がいる」と言及している点について、三木氏は「SNSが発達し、一部の悪質な事案が全体に当てはまるかのような印象を受けることが一つの要因だ。経営管理ビザで家族全員を呼び寄せ、高額療養費などの日本の社会保障制度を利用しているのではないかといった日本人の不満が溜まってきた」と見解を述べた。その上で、日本の社会秩序を守り、日本人が安心して生活していくための政策検討の結果として、今回の厳格化に至ったと語った。

 一方、今回の改定に反対するNPO法人「移住者と連帯する全国ネットワーク」の共同代表理事・鳥井一平氏は、これまでも厳格な基準が存在していたと反論した。「今回線を引いたわけではなく、前から引かれている。これまでも行政書士などの間では、年収300万円から350万円程度ないと(永住許可を得るのが)難しいという水準があった。加えて、健康保険料や住民税などの税金に関するチェック項目が約20項目あり、証明書を取るのも非常に大変な作業だ」と実態を明かした。その上で、「今回なぜ引き上げなければならないのか、その理由が全然示されていない。永住許可率は直近数年で下がっており、激増しているわけではない」と指摘した。

■厳格化への賛否と浮き彫りになる矛盾

外国人の永住許可

 番組では、新たなガイドラインとして示された「日本人世帯の平均収入以上(月収換算約47.9万円)」という要件について、様々な視点から議論が交わされた。

 経済学者・柿埜真吾氏は、この基準設定について「新しい日本人世帯の年収を超えるということは、6割の日本人が満たせない条件だ。果たして6割の日本人は独立の生計を営むことができないのか」と疑問を呈した。また、法改正を経ずにガイドラインの変更のみで実施されたことに対しても、「明確な根拠やエビデンスがないにもかかわらず、次々と法改正もせずに進めている状況は非常に異常だ。なんとなく悪いだろうという印象論で政策を進めることは危険だ」と述べた。

 リディラバ代表・安部敏樹氏も、基準の矛盾を指摘した。「外国人の量的規制や社会統合の仕組み、日本語教育の必要性には賛成する」と前置きした上で、「介護や建設など、日本人がやりたがらず人が足りていない仕事を平均所得以下の外国人がやってくれており、それによって日本人の生活が成り立っている」と指摘。さらに、「介護の仕事はほとんど平均所得を超えていない」として、そうした仕事を担う外国人が永住しにくくなる可能性に疑問を呈した。

 これに対し三木氏は、「AIやロボティクスが発達してきた時に、永住されている方に帰ってくださいとは言えない」と説明。さらに、人口戦略として「外国人の方が日本の中でどれぐらい入ってこられたら受け入れができるのか」を策定する必要があるとの考えを示した。また、最低賃金水準での労働力に依存し続けることは、日本人の給料自体が上がらなくなるという構造的な問題にもつながると主張した。

■外国人労働者との共生と社会の“体感治安”

外国人労働者の平均月収

 議論の背景には、日本社会における“体感治安”の悪化という問題もある。番組内で紹介された調査結果によれば、外国人による刑法犯検挙人数自体は近年著しく増加しているわけではないものの、直近10年で「治安が悪くなった」と感じる人が約8割に上り、「外国人が増えることで治安や秩序が乱れることを懸念する」と答えた人が7割を超えるなど、データと国民の感覚との間に乖離が見られた。

 この点について、EXIT・兼近大樹は「理解している人はどうなっているか判断できるが、内情がわからない人たちからすれば、よくわからない怖い外国人の動画が流れてきて、ただ怖いだけの日々になっている。国としては、そういった人たちの声や不安を無視してはいけない」とした上で、そうした不安を背景に今回のルール作りが急いで進められたのではないかとの見方を示した。

 一方で、「盛り上がっている声を小さくするためのルール作りにしかなっていないとも感じる。日本を支えてほしいのであれば、税金を使って外国人に向けた教育プログラムをしっかり作らなければならない」と、相互理解のための体制整備の必要性を訴えた。

 相方のりんたろー。も、「外国人が善良であるか不良であるかよくわからないという感情論に対して、線を引くこと自体ができるのか疑問だ。少子化が進んでいく中で、国家として成立していくのかというところまで気になる」と複雑な心境を語った。

■“選ばれぬ国”への懸念と今後の課題

不法滞在の外国人数

 労働力不足が深刻化する日本において、要件の厳格化は「外国人から選ばれない国」になるリスクを孕んでいるとの懸念も根強い。現に、今年上半期の外国人起業に関するデータでは、企業数が前年同期比で約52%減少しており、番組では在留資格「経営・管理」の取得要件厳格化が外国人起業の動向に影響している可能性についても紹介された。
 柿埜氏は、「永住者というのは、基本的に日本に対して貢献し、長く居続けたいと思っている優良な方々だ。ルールを守る外国人は問題ないと言っている政府が、最初にこういう厳しい措置をとるのはおかしいのではないか」と指摘した。

 しかし、三木氏は「これまでルールがなさすぎた。年収要件もきちんとしたものを決めてこなかった面がある。今回これをきっちり決めたことで、今後の人口戦略に活かしていく政策になっている」と政府側の意図を改めて説明。「日本は秩序正しく礼儀正しい国であり、社会のルールや日本語をまず勉強して入ってきていただく。そういった方に永住許可を下ろしていくことが大事だ」と考えを示した。
(『ABEMA Prime』より)

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