社会

ABEMA NEWS

2026年10月5日 11:30

「一回叩くと、叩くという選択肢が頭に浮かぶ」調査では親の半数超が「子どもを叩いた経験」罪悪感に悩む大人と求められる打開策

「一回叩くと、叩くという選択肢が頭に浮かぶ」調査では親の半数超が「子どもを叩いた経験」罪悪感に悩む大人と求められる打開策
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 親による体罰を禁止する法律が、2019年に成立した。しかし3年後の2022年の調査によれば、2人に1人の親が子どもを叩いたことがあると回答している。先日も10代の娘に平手打ちをしたとして母親が暴行の疑いで逮捕される事案が発生。しつけと暴力をめぐる議論は、今なお続いている。『ABEMA Prime』では、「体罰はダメ」という正論のその先にある「しつけの難しさ」について考えた。

【映像】父から50回以上体罰を受けた息子(実際の様子)

■「一回叩いてしまうと、叩くという選択肢が頭に浮かぶようになってしまった」

叩いてしまった日

 2人の男の子を育てる母親・さくーにゃさんは、長男が2歳のイヤイヤ期だった頃の経験を明かした。朝から晩まで機嫌が悪い状態が続き、積もったイライラが瞬間的に爆発し、プラスチック製の柔らかい皿で頭を叩いてしまったという。「その日の夜にも、またちょっといろいろあってお尻を叩いてしまった。それまで叩いたことは一度もなかったが、やっぱり一回叩いてしまうと、『叩く』という選択肢が頭に浮かぶようになってしまったのがすごく嫌だった」と振り返る。

 現在は8歳と6歳になった息子たちとの生活の中で、今もしつけの難しさを感じている。「男の子で兄弟喧嘩が盛り上がってしまう時期で、危ないことをした時の最終手段として、叩いてしまうことはどうしても出てきてしまう」と語りつつも、できる限りやりたくないという思いも抱えている。

 さらに、「叩いたり怒鳴ったりというのは、一時的には言うことを聞いてくれるようになるが、それで何を学んでいるのか。実際、うちの長男が次男に私とそっくりの怒鳴り方をしているのを見て、しつけをしたつもりになっていないか、日々気をつけなければ」と述べる。

■「痛みでしかわからせてあげられない時期がある」当事者父子が語る体罰のリアル

村上こうじさん

 子どもが10歳になるまでに50回以上叩いた経験を持つ村上こうじさんは、「言葉でわからない年齢というのは必ずある。やはりそこで痛みでしかわからせてあげられない。子どもの時に『これやっちゃダメだよ』と言葉で注意するよりも、痛みの方がわかる。痛みを与えることでこれは絶対やっちゃダメなんだということが身につく」という考えのもと、しつけを行ってきたと説明する。

 ただし村上さんには自身の中でのルールがあった。命に危険が及ぶこと、他人に迷惑をかけること、食事のマナーなど人生の礼儀にかかわること、この3つを破った場合に限り、事前にそのルールを子どもに伝えた上で実行していたという。「いきなり振りかぶって殴るようなことはしなかった」とも述べる。

 その教育を受けて育った次男のSONAさんは、「靴を揃えてない時に、父親が来た時には絶望感があった。そこで『グー・チョキ・パー』から罰を選ばせられた。1日に1種類しか選べないという形だったので、ゲーム感覚といってもいい感じでした」と当時を振り返る。そして、「その時にあったしつけは、今になってすごくためになっている。間違ったことではなかったかなと実感している」と語り、自分に子どもができた際も同様のしつけをしようと考えていると明かした。

 社会活動家・山本昌子氏は、SONAさんの言葉を受けつつも、「叩かれたことで、(ダメなことだと)理解したと思っているかもしれないけれど、本当にそれは会話や時間をかけても理解できなかったのか」と疑問を呈した。また、自身も暴力のある環境で育った経験があるとした上で、「周りの人に、『それは殴るではなく、抱きしめるのではダメだったのか』と言われた時にすごく考えた。叩くことではなく、抱きしめるとか説明とかのリカバリーが大切」と述べた。

■「代替案が広まっていないのに、暴力なんか良くないよと言われても…」

しつけと体罰の境界線

 経済学者・柿埜真吾氏は、「靴を揃えることすらできない大人もいっぱいいる。子どもだって一つの別の人格であって、自分の延長線上にあるものではない。(体罰が)うまくいったというエビデンスは何もない」と指摘し、体罰を安易に肯定しない方がいいという立場を示した。

 リディラバ代表の安部敏樹氏は、「しつけというのは基本的に教育の文脈にある。私的なルールが社会のルールを超えるというインプットをすることがとても良くない。自分の社員に靴を並べなかったらぶん殴るとしたら、これは完全に傷害罪。社会のルールというのは、基本的に私的なルールの上位にくる」と主張した。

 一方でEXIT・りんたろー。は、「イヤイヤ期の子どもたちは、言葉が入らなくても表情や態度でいろいろなものを感じている。手をあげてしまうことでその行為と結びつけてしまうと、なぜこれがダメだったのか、なぜ人に嫌な思いをさせるのかというところまで伝えきれない」と語る。

 相方の兼近大樹は自身の経験を踏まえ、「幼少期に暴力的な方法で教えられてきた。そこどうすればそんなに痛くないか』『どうすれば命が助かるか』という方法を学び、自分も人に暴力を振るった 。そういう私的なルールが子どもの中に出来上がっていって、先生から何を言われても『俺のルールが正しい』となっていた」と述べた。その上で、「じゃあどうすればいいのか。その場でどうすれば子どもを止められるのかという代替案が広まっていないのに、暴力なんか良くないよと言われても…という人の気持ちも理解できる」と代替策の普及の必要性を訴えた。

 最後にさくーにゃさんは、「手っ取り早くて、簡単なしつけ方法かもしれないけれど、親の勉強不足や力不足も絶対にある。子育ては日々の積み重ねだと思うので、この方法を続けていたら子どもも親も成長しないままでどうなってしまうのかと感じている」と語った。

 村上さんは「暴力で突き詰めると、そういうことになってしまうと言っていただいたことはわかっている。ただ、この世の中で生きていってほしいんだというメッセージを逆に伝えてきたつもり」と述べ、SONAさんも「そのメッセージはちゃんと受け取れた。やっぱり自分自身の意識を持ちながら育てていきたいと思っている」と応じた。
(『ABEMA Prime』より)

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