社会

ABEMA NEWS

2026年11月5日 07:15

防災庁発足と同時に「緊急要請」なぜ? 細野防災大臣「自立している人が多い方が国は強い」海外の備蓄要請とは「無関係」地震の予知も「今の科学ではできない」

防災庁発足と同時に「緊急要請」なぜ? 細野防災大臣「自立している人が多い方が国は強い」海外の備蓄要請とは「無関係」地震の予知も「今の科学ではできない」
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 災害対応の司令塔となる「防災庁」が発足した。これに合わせて、政府から食料や水の備蓄など事前防災の徹底を促す異例の「緊急要請」が出された。国民に自助を求めるメッセージの真意や、縦割りを排した新組織がこれからの日本の防災インフラをどのように変革していくのか。『ABEMA Prime』に細野豪志防災大臣が出演し、意図や目的などを説明した。

【映像】100年前と変わらない?避難所の様子

■事前防災への「緊急要請」とその背景

緊急要請

 11月2日、防災庁の発足と同時に、細野氏の主導により国民に対して「最低3日分、できれば1週間分」の物資備蓄や、家具の固定、ハザードマップの確認などを求める緊急要請が出された。

 このタイミングでの要請に対し、SNSなどネット上では「なぜ突然緊急なのか」「政府は何か知っているのか」といった不安の声が上がった。さらに、同時期にイギリス、ベルギー、オランダ、フィンランドなど欧州各国でもそれぞれ緊急時の備えを呼びかける動きがあったことから、「AIを使ったサイバー攻撃によるインフラ麻痺か」「第三次世界大戦の備えか」など、他国の動向と結びつける見方も拡散した。ぺこぱ・松陰寺太勇も「イギリスでも同じような備蓄要請が出ていたり、太陽フレアがこのタイミングで来るという話も聞いたりして、ちょっと不安になった。実際にスーパーへ行くとガスボンベが売れており、自分も水を買い足した」と明かした。

 これらの声に対し、細野氏は「現在の科学で地震の予知はできない。私のところにだけ地震が起こりそうだという情報があったわけではないし、他国の要請とも無関係だ」と明確に否定した。その上で、南海トラフ巨大地震が30年以内に60~90%、首都直下地震が70%という高い確率で予測されている現状を踏まえ、「日本がどれぐらいの頻度で災害が起きているかを客観的に見ると、いつ起こってもおかしくない状況だ」と指摘した。

 なぜ防災庁発足のタイミングで要請を出したのか。細野大臣は、新組織への期待から国民が行政任せになってしまうことへの懸念について、まとまった見解を示した。

 「防災庁ができることによって、これまで自治体にやや任せすぎていた様々な対応で、国が前に出る。国民からすると災害対応が改善すると期待されると思うが、結果として『国がやってくれるだろう』と行政任せ、政治任せになると、逆に災害への対応力は下がる。それを避けたいと思った。防災庁の発足と同時に、国民のみなさんにもやはり自助がどうしても必要だということを積極的に出したほうがいいと判断した」。

 さらに、南海トラフ巨大地震のような国難級の災害が起きた場合、想定される2万カ所の避難所を即座に開設し、支援を行き渡らせることの難しさを説明した。

 「自治体がそこまで準備できるかという問題がある中で、障害を持っている方や高齢の方など、優先的に行政の備蓄や人的リソースを当てていかなければならない要支援者がいる。自分で頑張れる人は少なくとも3日、そして1週間頑張ってもらえれば、行政の手が届くんじゃないか。つまり、自ら行動していただくことが、災害に弱い方々を助けることにつながるということをお伝えしたかった。また、ハザードマップの確認はお金がかからない。自分の住むところに浸水リスクがあるかないのかで、避難をしなければならないかを予測できる。本当に防災力を高めるためには、国民のみなさんに行動していただかないと強い国はできない」。

 立命館大学准教授・富永京子氏が「自助というより、サービスの消費者になりがちな現代日本において、自分たちでやるという『自立性』を高めたいのではないか」と分析すると、細野氏は「どんなに公助の枠組みが広がったとしても、最後は自立している人が多い方が国としては強い」と語り、その意図を肯定した。

■縦割り打破の「勧告権」と自治体支援のあり方

TKBB

 防災庁の司令塔としての機能についても詳しい解説が行われた。最大の目玉となるのが、他省庁への「勧告権」の付与だ。これまでは内閣府の防災担当が縦割りの中で調整を行っていたが、体制が大きく変わる。

 細野氏は勧告権の意義について、「防災庁は内閣に直結しており、長は防災大臣である私ではなく、内閣総理大臣だ。他省庁からすると1つ上のレベルの省庁になる。防災庁が出す勧告は非常に強いもので、各省庁には尊重義務がある」と説明した。具体的には、医療機関の耐震化(厚生労働省)やインフラ整備(国土交通省)などにおいて、目標が達成できなければ具体的な勧告を出す権限があるとし、「我々が担当するのは国民の命に直結する危機管理であり、妥協は許されない」と強い覚悟を示した。

 また、実際の災害対応を担う地方自治体に対しては、基礎自治体ではなく都道府県に強い要請を出し、年末までに現状と課題の報告を求めていると明かした。細野氏は「国で良い研修を行っているが、半分の自治体はその研修すら受けていない。『うちは大丈夫』だと思っている自治体が結構あるのはまずい」としつつ、各都道府県に「ふるさと防災職員」を配置して地域の課題を吸い上げる方針を示した。財政的に厳しい自治体への対応を問われると、「平時においては、どこに穴があるかを徹底的に見て、財政的にも体制の面でも支援する。有事になったら国が全面的に前に出て、弱いところこそサポートするのが役割だ」と答えた。

 防災庁の最優先課題として掲げられたのが、避難所の環境改善だ。関東大震災から100年が経過しても体育館での雑魚寝が続く現状や、能登半島地震において死者744人のうち516人が災害関連死であった(石川県発表)という背景を踏まえ、従来の「TKB(トイレ、キッチン、ベッド)」に「バス(お風呂)」を加えた「TKBB」の確保を打ち出した。

 細野氏は「防災庁ができることで避難所が変わらなければ、できた意味はない」と断言。「清潔なトイレを何日目に持っていけるか、温かい食事やベッド、お風呂をいつ準備できるか、日本のリソースを総動員して目標を設ける。仮に到達できないところがあれば国がサポートし、日本の避難所のあり方そのものを根本的に変える」と政策の方針を示した。特に、水が使えない状態でもいかに清潔なトイレを早期に提供できるかがハードルになるとの認識を示した。

 また、膨大な数の避難所を公務員だけで運営するのは不可能であるとし、事前にトレーニングを受けた専門ボランティアを10万人規模で組織化する仕組み作りに着手したことを報告した。

 最後に、自身の備蓄状況を問われた細野氏は「ローリングストックだ」と明かし、缶詰などを普段から消費して買い足していると語った。最後に「家具の固定、特に寝室には重い家具を近くに置かないこと。そこだけは自分でやっていただかないと命は守れない」と改めて国民へ行動を呼びかけた。
(『ABEMA Prime』より)

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