「餃子の王将」を展開する王将フードサービスの当時の社長・大東隆行氏が、京都市内の本社前で射殺されたのは2013年12月のことだった。発生から約9年後に田中幸雄被告が逮捕・起訴され、2026年10月、京都地裁は被告に無罪を言い渡した。
【映像】工藤会系石田組の幹部・田中幸雄被告(59)逮捕時の様子
元福岡県警刑事部長の尾上芳信氏は「非常に残念。もし無罪が確定となれば、この事件は闇に葬られてしまう可能性が極めて高い」と無念さをにじませた。尾上氏は特定危険指定暴力団「工藤会」と対峙し、壊滅への「頂上作戦」を指揮した人物だ。
殺人などの罪に問われている田中被告は、工藤会系石田組の幹部だった。争点となったのは、現場に残された2本のたばこの吸い殻。判決は、田中被告が吸ったものと認めたが、被告が別の機会に吸い殻を残し、別の第三者が犯行を実行した可能性を排除できないとした。
田中被告は2008年に福岡市で起きた発砲事件の実行犯として、懲役10年の実刑判決を受けていた。その田中被告を逮捕したのは当時、尾上氏が率いる福岡県警だった。
「今回も案の定、何もしゃべらない状況になったのかなと」(尾上氏)
その犯行の手口や、公判で否認を貫く姿勢が王将の事件と極めて似ている。それが尾上氏の見立てだ。
10月29日、京都地検は田中被告の無罪判決を不服として、大阪高裁に控訴した。京都地検の森田昌稔次席検事は「原判決には法令違反及び事実誤認があることから、これを是正するため控訴した」としている。
尾上氏は控訴について「無罪判決が出たときは、非常に残念な思いがしたが、今回、京都地検が控訴と発表していただいたので、その点については一安心」とコメント。
田中被告が実刑となった福岡での銃撃事件との類似性については「在職中に大林(組)の事件で本人を逮捕しているが、当時も田中被告については大林との個人的な付き合いはまったくなく、みかじめ料(用心棒代)を断ったということから、組織から命じられて実行犯となった。今回も同じような構図なのでは」と推測した。
「餃子の王将」社長射殺事件について、尾上氏は「大林の事件と同じように、田中被告自体に王将の被害者になられた方との直接的な接点はないので、本人の個人的な恨みとか殺害をする動機はないと思っている」として「いろいろと報道や週刊誌などでも騒がれているが、ある人物が王将側とのトラブルが原因で、殺害を決意し、それを工藤会側に殺害依頼をして、組織から田中被告が殺害を命じられたのでは」と自身の見立てを述べた。
現場に田中被告のDNAが付着したたばこが落ちていたことについては「本人はヘビースモーカーということもあるが、恐らく犯行時にそこでたばこを遺留したとしても、自分のDNAが警察になければ、『京都で工藤会の自分が犯人に結び付けられるわけがない』と感じていたのではないか」と推察。
「その後、福岡県警が数年後に大林の事件で田中被告を逮捕して、その際にDNAの対象試料を入手した時点で、一致がわかるわけだ。当時、大林の事件で田中被告は自分が逮捕されることはないと思っていたと思うので、そういったところに脇が甘いところが出た」との見方を示した。
(『ABEMA的ニュースショー』より)