「大ケガからの復活逆転劇」体操・北園丈琉[2021/06/10 21:54]

東京五輪の体操男子団体の代表内定メンバーが6日、群馬県高崎市で開催された全日本種目別選手権で出揃いました。

団体メンバーはたった4枠。そのラスト1枠に北園丈琉(徳洲会体操クラブ/清風学園)が大逆転で内定を決めました。

高校を3月に卒業したばかりの18歳。好青年といった印象を受ける北園が注目を浴びたのは3年前のことです。
2018年に行われたユース五輪にて、当時高校1年生ながら大会史上最多の5冠(個人総合・ゆか・つり輪・平行棒・鉄棒)を達成。
そのオールラウンダ―ぶりから“内村2世”と呼ばれました。北園にとって憧れの存在である内村航平。その内村からも「オリンピックに出て一緒に戦いたい」と将来を期待されました。

しかしシニアにあがるとケガの影響もあり思うような結果を残せず。
そんな中、決まった東京五輪の延期。これが奇しくも転機となります。
恩師である梅本監督から「金メダルを取る可能性が上がる」と励まされ、技の難度・出来栄えを着実に磨いたのです。

迎えた代表選考会。
全日本選手権の予選では出場選手で唯一となる87点台をマークし1位。
しかし決勝、初の全日本優勝がかかった舞台でしたが、最終種目の鉄棒でまさかの落下。
さらに両ひじの靭帯損傷・右ひじの剥離骨折と負傷してしまいます。
痛みでうずくまり、演技は続行できず。東京五輪への道は閉ざされたかに思えました。

何をするにしても痛み、体操選手にとって基本と言える倒立すら出来ない状況。
落ち込む北園に、ある日突然、一本の電話がかかってきます。
それはあの内村からの電話でした。「大丈夫?」励ましの電話をもらい、気持ちがすっきりしたという北園。東京五輪にむけて再度奮起します。

怪我からわずか1か月後のNHK杯
「やれる準備はしてきた」と難度を落としながらも、なんとか6種目を通し切り、選考条件である10位以内を死守。

そして代表が決まる種目別選手権では難度を戻して演技を行うと予選・決勝と高得点を連発。
驚異的な追い上げで逆転での代表内定を勝ち取りました。
最終種目の鉄棒では着地を決めると涙があふれ、会場からは温かい拍手が送られました。


そんな北園選手、小学校の卒業文集には「東京オリンピックで金メダル」と記しています。
その夢をいかなる時も見失わずに突き進んできた北園選手だからこそ生まれた逆転劇。
そしてついにその夢を東京五輪で叶える時がやってきます!


オリンピックの先に待っているのは10月開催「世界体操・世界新体操」
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