復活!“義足プロレスラー”谷津嘉章 復帰戦の舞台裏[2021/06/23 17:00]

今月行われたプロレスの試合。
リングに向かう谷津嘉章選手。
その右脚を見ると…なんと、義足です。
おととし糖尿病の影響で右脚を切断した谷津選手はこの日、
“義足のプロレスラー”としてリングに帰ってきたのです。

義足とは思えない動きで様々な技を繰り出す谷津選手。
しかし、途中、義足を攻められる場面も。
ワンダースープレックスが炸裂!
さらに技をかけようとしますが…
試合に敗れてしまいました。

□谷津選手
「満足まではいってませんけど、とりあえず今日は元気にこの姿で上がって、
そして、ファンの皆さんにも受け入れてもらったような感じがしますし、
まだまだこんなもんじゃ終われませんよって感じでオリャ!」

谷津選手は1976年にレスリングの日本代表として
モントリオールオリンピックに出場。
その後、1980年に新日本プロレスに入団。
アントニオ猪木選手らとともに活躍しました。

そんな谷津選手でしたが、おととし、
糖尿病の影響で右脚を切断することに…

□谷津選手
「切断当時のことを振り返れば全くこういう事態に、きょうのこの日が来るとは思わなかった。」

絶望の日々から救ったのは、この「プロレス用義足」です。
開発したのは義手や義足のリーディングカンパニー「川村義肢」です。
とはいえ、プロレス用の義足の開発は初めてです。

□川村義肢 小畑祐介義肢装具士
「プロレスの構えとか我々わからなかったので、
実際構えをとっていただいて、実際組んでいただいて
技も若干かけてもらったりとかして」

この義足、“プロレス用”ならではの工夫はどんなところにあるのでしょうか?

□川村義肢 小畑祐介氏
「もともとこの足には人間の足の形をしたカバーが付くんですね。
足のカバーと足のカーボンの板は接着されていないので
どうしても動いてしまって力のロスが生まれてしまうので、
アウトソールを完全オーダーメイドで作った。
(谷津選手に)1回使っていただいたときにひび割れとかそういうの見られたんですが、
そこも補強するのにカーボンの繊維を入れたりとか、コンマ何ミリの世界で調整した。」

□川村義肢 小畑祐介氏
「それともう1つ、ダイヤルですね。
プロレスなどの動きの場合かなり激しい動きになるので、
装着した後にこのダイヤルを回すことでこの中が動いていく、ぐっと押されていく。
谷津さんのふくらはぎの部分をこれでぐっと締め付けていって
義足のフィット感、適合性を高めるというパーツを付けています。」

この「プロレス用義足」の開発により、
谷津選手は再びリングに上がることができたのです。

今後もこの義足の調整は続くとのことです。
谷津選手には、さらなる目標があるそうです。

□谷津選手
「(パラリンピックに)グラウンドレスリング、そういう種目をまだないから作って、
初代のパラリンピックのゴールドメダリストになりたいと思う。
やってないことを挑戦するとこにまた谷津らしいところがあると思う。」

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