東京六大学野球あす開幕 放送席から見どころ紹介[2021/09/17 09:00]

放送席から見る東京六大学野球 個性豊かな選手たちの競演


 9月18日、東京六大学野球の秋季リーグが開幕します。法政大学野球部の寮でクラスターが発生した影響で、当初の開幕予定日から1週間遅れたものの、各大学や連盟が柔軟に日程調整を行い、無事「六大学」での開幕を迎えることができそうです。ABEMAでは東京六大学野球秋季リーグの全試合を生中継します。開幕を前に、実況を担当するABEMAアナウンサーの辻歩が「ABEMAでの東京六大学野球の楽しみ方」や、放送席から見た注目ポイントをご紹介します。


●明治OB 広澤克実さんの「居酒屋解説」!?

 ABEMAの東京六大学野球中継で密かに話題を集めているのは、明治大学OBでヤクルト・巨人・阪神で活躍した広澤克実さんの個性的な解説です。


「よっ!世界三大校歌!」
「今のプレー、島岡御大が生きていたらとんでもないことになっとるよ!」
「3塁走者の『当たりゴー』スタートは俺がきっかけで生まれたんだ。ヒロサワスタートと呼んでほしいね」
「最近の大学生はなんで曇りなのにサングラスするんだ?」


 ABEMAの東京六大学野球中継では、広澤さんのこんな言葉が飛び交います。まるで野球好きがお酒を片手に自らの野球論を自由に語るような、言うなれば「居酒屋解説」。六大学を愛するがゆえの熱いコメントや、厳しいコメントも見どころの一つです。また試合中には、広澤さんが明治大学に在学していた、昭和の古き良き(?)時代の裏話や、過去にプロで対戦し交流があった選手の秘話など、ここでしか聞けない話が次々と飛び出します。

 実況の私も、試合展開と相談しながらではありますが、程よい「脱線」具合になるように話を広げていくことを心がけ、多くの野球ファンが楽しめるよう、他のスポーツメディアとは一線を画した中継を目指しています。

 さらに、ABEMAには「コメント機能」があり、視聴者のみなさんも野球談義に参加することができます。広澤さんも中継中はタブレットを常に手元に置いて(一度ゴルフ場に忘れてきたことはありましたが)、みなさんの野球論に反応します。話題の中で「あの選手誰だっけ〜?」と個人名がすぐに出なかった時は、私や中継スタッフが調べるよりも早く、コメント欄のみなさんがすぐに教えてくれます。このように双方向的に話題が展開することも、ABEMAの東京六大学野球中継の特徴の一つです。

 秋季リーグの中継には広澤さんのほかにも、慶応OBの加藤幹典さん、東大OBの小林至さん、法政OBの大引啓次さんに加え、法政OBのG.G.佐藤さんも解説に初登場する予定です。

●ドラフト候補の大注目選手

 秋季リーグの大きな注目ポイントの一つとしてあげられるのは、リーグ開催中にプロ野球ドラフト会議が行われ、プロを志望する選手の進路が決まることです。今年のドラフト会議は10月11日で、リーグ戦の折り返しでもある第4週に開かれます。去年、大学野球界からの上位指名が相次ぎましたが、アマチュア野球の大会が次々と中止になる中、「ドラフト会議の時期にリーグ戦を行なっていたことが、大学野球界からの上位指名が相次いだ背景」と指摘した関係者もおり、今年もリーグ戦にはスカウトの厳しい目が集まることでしょう。そして、プロを志望する選手にとっては最後のアピールの機会となるため、彼らのより全身全霊を込めたプレーを見ることができます。ここでは、今年の4年生で、特に上位指名が予想される注目選手をご紹介します。


慶応義塾大学4年 正木智也外野手

 春季リーグでは4本のホームランを放って優勝の立役者となり、大学選手権でもMVPを獲得するなど、パワフルな打撃が持ち味の外野手。プロ野球界が望む「右の和製大砲」として、即戦力候補に挙げられています。チームでは副キャプテンも務める主砲は、プロ入りとリーグ戦連覇という2つの大きな目標を掲げプレーします。


法政大学4年 三浦銀二投手

 3年の春秋シーズンでは白星を挙げることができず、苦しんだ時期はあったもの、今年の春季は慶応戦でノーヒット・ワンラン(無安打1失点)を記録するなど、本来のポテンシャルを充分に見せつける結果に。打者の内角を抉る150キロに迫る速球は、広澤さんをして「カンのペキ(完璧)な投球だね」と言わしめました。法政のキャプテン兼エースは、ラストシーズンでどんな輝きを見せるのでしょうか。

 他にも、2年で大学日本代表に選出された明治の丸山和郁外野手、大学トップクラス投手との呼び声もある早稲田の徳山壮磨投手、早稲田の大型キャッチャー・岩本久重捕手など、各大学にドラフト指名候補が勢揃いしています。

 なお、プロ志望届の提出はドラフト会議の2週間前の9月27日に締め切られます。プロ志望届を提出した選手の活躍にも注目が集まります。


●目を引く個性的な選手の活躍も期待

 東京六大学野球が人気を集める理由の一つに、さまざまなプレースタイルやバックグラウンドを持つ選手が登場することが挙げられます。ABEMAの中継では、広澤さんがそんな選手たちをニックネームで呼ぶこともあります。


「ザ・東大」東京大学4年 小宗創投手

 東大を支える変則サイドスロー左腕。重要な場面で中継ぎとして登場し、緩急をつけながらコーナーを攻め、打者を幻惑するピッチングが特徴です。そんな小宗投手に広澤さんがつけたニックネームが「ザ・東大」。地力で勝る相手を攻略するために工夫を凝らした投球術を極めた姿は、東大がこのリーグで勝つ上で王道のスタイルとも言えるので、そう名付けられました。しかしABEMAでの中継中、広澤さんが「ザ」と略し始めたため、コメント欄に「ザ 抑えろ!」「ザ 頑張れ!」と、小宗投手へのシュールな応援メッセージが多数書き込まれる事態となり、実況しながらツボに入りかけて大変でした。


「山梨のデストロイヤー」早稲田大学2年 野村健太外野手

 1年生から試合に出場し、その年の秋にはベストナインにも輝いた、早稲田期待の右の大砲です。そんな野村選手は山梨学院高校時代、甲子園で3本のホームランを打ったことから「山梨のデスパイネ」と呼ばれていました。私がそのことを中継中に紹介したのですが、何度言っても広澤さんに覚えてもらえず「山梨のデストロイヤー」と間違え続けました(そこからプロレストークに脱線しがちです)。ただ、一振りの破壊力も桁違いなことから、「デストロイヤー」のニックネームも結構ハマっているのではないかと思い始め、最近はかなりしっくり来ています。人間何事も慣れですね。


 これらのニックネームは、ABEMAのコメント欄のみなさんにもお馴染みで、すっかり定着しています。同郷の茨城県出身の選手には妙に優しい広澤さんが、秋季も新たな個性的な選手にスポットを当ててくれるかもしれません。



●観客制限が続く東京六大学 春には無観客開催も

 当初9月12日までとされていた緊急事態宣言の期限が延長され、秋季リーグも観客上限を5000人とするなど、まだまだ「いつもの東京六大学野球」は帰ってきていません。本来ならば大観衆とともに試合を熱く盛り上げる六大学の応援団も、観客のいない外野席で距離を取った上で応援し、選手たちの背中を押します。

 春季はリーグ戦の途中で感染状況が悪化し、応援団も入れず、無観客開催となった試合もありました。その無観客となった試合の中継で、私は広澤さんに「応援の声がない中で、選手たちはプレーのしづらさなどを感じるでしょうか?」と聞いたことがありました。すると広澤さんは「無観客になっても選手のパフォーマンスは変わらない。なぜなら、選手は普段から球場で耳にする声援だけでなく、家族や周囲の人たちなど、支えてくれる方々の『声援』以外の後押しを普段から既にたくさん感じて力に変えているから。無観客でもそれは同じこと」とおっしゃっていました。

 満員の観客でなくとも、画面を通して応援している多くの人たちの想いは、選手に必ず届き、確実に背中を押しているのです。私もその想いを乗せながら、放送席から選手たちの勇姿を伝えつつ応援したいと思います。東京六大学野球秋季リーグは9月18日に開幕。今シーズンはどんなドラマが待っているのでしょうか。



辻 歩(ABEMAアナウンサー)
1992年生まれ。大阪府大阪市出身。早稲田大学商学部を卒業後、2015年に新卒でKUTVテレビ高知にアナウンサーとして入社。老舗ニュースワイド番組「イブニングKOCHI」のキャスターを務める。並行して高校野球、高校ラグビー、サッカーなどの実況も担当。2018年にABEMAに移籍。NEWSチャンネルはキャスターを務めるほか、Sportsチャンネルでは東京六大学野球、フットサルFリーグ、プロ野球オールスターなどの実況も担当する。

※台風14号の影響で18日の開幕は順延が決定、19日開幕予定。

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